▽ 要約
チェーン 7大「ステーブルコイン専用チェーン」が台頭。
マーケット BTC11.8万ドル、ETH4,500ドル台に回復。
レバレッジ DeFi借入264.7億ドルで過去最高。
リスク ETH解質押が約85万〜90万ETHで警戒。
L2競争から決済特化の「ステーブルコイン専用チェーン」へ焦点が移りつつあり、8月18日時点でBTCは11.8万ドル、ETHは4,500ドル台に戻った。フォーカスキーフレーズであるステーブルコイン専用チェーンは、手数料の安定通貨払い・法定通貨レール・高速最終性を備え、日常決済と企業決済の実需に直結する。本稿では7大プロジェクトの要諦と市場・レバレッジ指標を解説する。
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7大ステーブルコイン専用チェーンの全体像
決済の確実性と規模化需要が高まったため、手数料を安定通貨で支払う高TPS・低遅延の専用チェーンが相次ぎ立ち上がった。
各チェーンはガスの安定通貨化、法定通貨出入金、選択的プライバシー、既存インフラ接続を共通設計とする。
Plasma(BTCセキュアのEVM側鎖)
BTC経済圏の信頼最小化ブリッジを備えるため、USDT即時送金とEVM互換を両立した。
PlasmaBFT(Fast HotStuff系)で高スループットを狙い、USDT無手数料送金とカスタムGas、保秘送金を実装。原生BTCブリッジを持ち、アフリカのUSDT送金やトルコの法定通貨レール連携など実需案件が並ぶ。資金調達は2,400万ドル、公開セール需給も強く、テスト網稼働から主網移行を控える。
Stable(Bitfinex/TetherのL1)
安定通貨移転の摩擦を除くため、StableBFTと楽観的並列実行で1万TPSを目指す。
ガスはgasUSDT、AAによりUSDT0によるガスレス体験を提供。法定通貨出入金・デビット連携・企業向け高速通路を計画。種子で2,800万ドルを調達し、今年のパブリックテスト網を予告する。
Converge(Ethena × SecuritizeのL2)
機関ユーザーの要件が厳格なため、Arbitrum実行+Celestia DAに加えENAステークの検証網で安全性と運用性を担保した。
ブロック目標100ms、GigaGas+志向、ガスはUSDe/ USDtb。AnchorageやFireblocks等のカストディが運用面を補完し、私募・証券型トークン等の許可制アプリも想定する。
Codex(企業決済・外為特化のL2)
給与・貿易等の実務要件に対応するため、OP Stack+Conduitでスループットと確定性を両立した。
ガス抽象と確定的実行、内蔵FX/カストディで多通貨決済を前提設計。2024年中盤に主網、資金は1,580万ドル(Dragonfly主導、Circle/Coinbase等参画)。
Noble(Cosmos発の発行レイヤー → EVMロールアップ)
IBC発行と流動性供給の実績が大きいため、Celestiaを使うEVM互換ロールアップ「AppLayer」で100ms出塊とEVM側ゲートウェイを提供する。
取扱高は累計80億ドル超、A輪1,500万ドル(Paradigm主導)。EVM側への流動性提供とCosmos完全互換で開発者の拡張性を確保。
Arc(Circleのステーブルバンクチェーン)
USDCをガスに採用したため、企業会計と外為を直結しやすく、350ms未満の最終性・約3,000TPSで業務処理を想定する。
外為RFQエンジンや選択的プライバシー、CCTP/Gatewayとの原生統合、残高抽象、請求・返金・AI財務ツールを内蔵。検討段階からMEV緩和の設計を明示し、今秋のパブリックテスト網を計画。
Tempo(Stripe × Paradigmの決済チェーン)
商流を即接続するため、原生トークン無し・手数料は安定通貨のみでStripe加盟店網に深い一体化を図る。
BridgeやPrivyの技術を活用し、ソーシャルログイン型ウォレット×ペイメントUXを前提に設計。世界の決済回路へ安定通貨チャネルを埋め込むことを狙う。
市場動向(8月18日)とレバレッジ指標
現物は強含む一方で、解質押動向や先物残高が増加したため、短期の変動幅拡大にも留意が必要となった。
8月17日、BTCは118,000ドル台、ETHは4,500ドル台へ。ETHの検証者退出待機は直近ピークで約85万〜90万ETHと過去最高圏に達し、stETHのディスカウントや循環レバレッジ解消経路を通じた売り圧の波及が指摘された。
Q2のレバレッジは拡大。DeFi借入は264.7億ドル(史上最高)、CeFi未収は177.8億ドル、合算442.5億ドル。先物未残は1,326億ドル、うち永続は1,089.22億ドルで82%を占め、BTC41.8%、ETH23.1%の構成。安定通貨の平均借入レートは概ね4.7〜4.96%と安定的に推移した。
企業・機関の動き(資金フローと保有)
機関の採用と財庫戦略が広がったため、現物・マイニング・取引基盤の三位一体で資金が入りつつある。
Peter Thiel関連ではFounders Fundの加密投資実績(2014–22年で約18億ドル利得、23年にBTC/ETH再取得)、Bitmineが約120万ETH保有へ拡大、取引所Bullishの上場などが並ぶ。主権ファンドの暗号エクスポージャー増や、Nansenベースでのa16zの週次実現益上位など、機関フローの増加も確認された。
企業財庫ではStrategyやMetaplanetが継続して積み増しシグナルを発信。BSTRはNASDAQ合併上場構想と5万BTC超の保有計画を開示し、上場企業のBTC保有合計は100社で97.5万枚規模に達した。
▽ FAQ
Q. 8月18日のBTC/ETHはどの水準?
A. BTCは118,000ドル前後、ETHは4,500ドル台。ETHは退出待機が約85万〜90万ETHで、ボラ上振れ要因が意識されます。
Q. ステーブルコイン専用チェーンの利点は?
A. USDT/USDCで手数料を払え、数ms〜数百ms最終性と高TPS、法定通貨レールと選択的プライバシーを実装し企業運用に適します。
Q. Q2の借貸・先物の拡大幅は?
A. DeFi借入は264.7億ドル、CeFiは177.8億ドル、合算442.5億ドル。先物未残は1,326億ドル、永続が82%を占めました。
Q. Peter Thielの最新トピックは?
A. Bitmineが約120万ETH保有で話題、BullishがNYSE上場。Founders Fundは2014–22年で約18億ドル利得と報じられます。
■ ニュース解説
実需接続の要件が厳格化したので、安定通貨ガス・法定通貨連結・高速最終性を揃えた専用チェーンが躍進し、一方でレバレッジと解質押動向は短期変動幅を広げ得る。
7つの「ステーブルコイン専用チェーン」が相次ぎ発表・実装され、価格面ではBTC/ETHが持ち直す一方、ETH退出待機が過去最高圏となった。企業決済・越境送金の要件(予測可能なフィー、法定通貨オン/オフランプ、選択的プライバシー)が積み上がり、L2競争から「決済OS」競争へ軸足が移行したため、トランザクションの安定通貨建て・外為同時処理・規制準拠の設計が主流化し、オンチェーン会計・請求・給与のユースケースが前進するが、レバレッジ拡大局面では清算連鎖の火種も残る。
投資家の視点:①手数料通貨(USDT/USDC)・最終性・法定通貨レール・MEV緩和の有無を比較軸にプロジェクト選別、②解質押・借入レート・先物未残の短期指標をモニタ、③企業財庫・主権ファンドの買いフローは中期需給に寄与。ただしボラ拡大時の資金管理を最優先。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:PANews)