▽ 要約
マーケット影響:ビットコイン参入発表で株価14倍まで急騰
インフルエンサー効果:青汁王子の大株主浮上で思惑買い拡大
暴落トリガー:7月1日の「全株売却」投稿で2日間ストップ安
事業実体:BTC保有計画は未着手、財務は依然ぜい弱
投資リスク:価格変動+SNS依存で極端なボラティリティ
エス・サイエンス 株価が2025年3月から7月にかけ急騰と暴落を繰り返し、市場に衝撃を与えました。
結論から言えば、ビットコイン投資参入という“話題”と青汁王子という“影響力”が株価を吊り上げた後、同氏の「全株売却」宣言が熱狂を冷水で冷ましたのです。本稿ではその時系列と背景を整理し、投資家が取るべき視点を示します。
株価ジェットコースター:5か月の全体像
3月――ビットコイン投資をテコに急騰
暗号資産への参入発表が低位株に火を付けた。
2025年3月17日、同社は最大5億円のBTC取得計画を公表。翌18日にストップ高60円。業績と無関係に“日本版MicroStrategy”との思惑で買いが集中し、4月初めには150円台へ。
4月――「青汁王子」室長就任で熱狂加速
インフルエンサー起用がSNS経由でマネーを呼び込む。
4月24日、三崎優太氏がクリプト室長に。フォロワー351万人の情報拡散で、リスクマネーが流入。株価は200円手前まで緩やかに上昇。
6月――大株主浮上で年初来14倍
3月末時点で4.59%保有が判明、投機熱ピークへ。
6月5日招集通知で三崎氏が第2位株主と開示。即日112円ストップ高。以後買い上げは止まらず、6月末高値310円に到達。
7月――「全株売却」宣言で転落
投資家心理は一夜で反転、2日連続ストップ安。
7月1日早朝、三崎氏がXで「全部売った」と投稿。市場は失望一色となり、235円へ急落。翌日も155円のストップ安で売買停止寸前に。
企業側の狙いと実体
老舗ニッケル事業からの脱皮
1946年創業の同社は特殊鋼事業の縮小で長期低迷。財務立て直し策として暗号資産保有を選択した。
ビットコイン投資スキーム
- 取得時期:2025年7月以降
- 予算:上限5億円
- 目的:インフレ耐性と長期価値保存
ただし株主総会で目的変更を可決しない限り実行できず、現時点でBTCは未取得。
SNS資本主義の功罪
プラス:知名度・フォロワーを集客に活用し株価を刺激
マイナス:個人の一言が株価急落を誘発しガバナンスリスクを顕在化
投資家と市場の反応
買い手
- 国内個人投資家:低位株+仮想通貨テーマを好感
- 海外短期勢:日本版“ミーム株”として参入
売り手
- 機関投資家:実体乏しいと分析し見送り
- 個人逃避:暴落局面で狼狽売り
今後の見通しとリスク
価格変動リスク
BTC価格が下落した場合、評価損が直撃。多角化効果は限定的。
ガバナンス・情報開示
インフルエンサー主導の情報開示が続く限り、将来も不安定。法令遵守体制の実効性が鍵。
再成長シナリオ
- ビットコイン高騰 ⇒ オンバランス資産価値増大
- Web3事業商用化 ⇒ 手数料収入確立
ただし両方とも実現確度はまだ低い。
▽ FAQ
Q. エス・サイエンス株は最高いくら?
A. 2025年6月30日に取引時間中310円を記録しました。
Q. 青汁王子は今も関与?
A. 室長職は継続と会社は説明。ただし株式は保有していません。
Q. ビットコイン投資はいくらまで?
A. 上限5億円、7月以降段階取得と計画しています。
Q. 暴落は法令違反?
A. 会社は「未公表重要事実なし」とし、インサイダー疑惑を否定。
Q. 参入成功の鍵は?
A. BTC価格動向とWeb3事業の収益化です。
■ ニュース解説
今回の急騰・暴落は「低位×暗号資産×インフルエンサー」という三要素が引き金になりました。東証は市場区分見直しでスタンダード市場にも高度な情報開示を求めています。個人投資家は話題性とファンダメンタルの乖離に注意し、IRの進捗や財務指標を冷静にチェックする必要があります。
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