▽ 要約
カード:オリコ連携のUSDC担保型を2025年上期目標。
トークン:SVLは収益100%分配、Mantle上でステーキング運用。
ゲートウェイ:手数料0%で4,000店超・累計約1.8億ドル処理。
規制:改正資金決済法の下、KYC/AML対応と交換業連携が要件。
暗号資産決済の実需化は「規制適合」と「UX」が同時に満たされて初めて進むため、Slash Card(USDC担保型クレジットカード)と0%手数料のSlash Paymentは日本市場での検証価値が高い。BVI拠点のSlash Vision Labsは、カード発行スキームとSVLトークノミクス(収益100%分配)を軸に、国内外の加盟店4,000店超へ拡張する計画だ。本稿は仕組み・実績・規制論点を150字ブロック最適化で解説する。
Slashのビジョンと事業全体像
ステーブルコインで法定通貨と暗号資産をつなぐ方針のため、決済UXの簡素化と規制適合を両立するモデルとなった。
Slashは「クリプトをより便利に」を掲げ、決済ゲートウェイ「Slash Payment」と、日本市場特化の後払い型「Slash Card」を主軸に展開。前者はオンチェーン換価で安定通貨に即時着金、後者はUSDC担保で円建て決済を実現する。拠点は英領バージン諸島(BVI)で、CEOは佐藤伸介氏。
決済ゲートウェイ「Slash Payment」
加盟店0%手数料のため導入障壁が低く、2022年10月ローンチ後に4,000店超・累計約1.8億ドル処理へ拡大した。
ユーザーは任意トークンで支払い、加盟店は希望のステーブルコイン(USDC/DAI/JPYC等)で即時受取。非カストディで分散型流動性を自動選択し、価格変動リスクを最小化する。対応ネットワークは複数チェーンにまたがり、マーチャント側はウォレット接続とコントラクト発行で利用開始できる。
導入事例と日本的ユースケース
国内では漫画投稿プラットフォーム「comilio」が導入し、暗号資産でポイント購入→漫画購読が可能に。日本円ペッグのJPYCにも対応済みで、発展途上地域のクリプト決済需要や円連動通貨ニーズにも届く構成となっている。
日本市場の「Slash Card」の設計
BINスポンサーにオリコを据えるため、日本の決済法制への適合性を担保しつつ、USDC担保与信で円建て決済を可能とした。
利用者はMetaMask/Phantom等からUSDCを専用ウォレットにチャージ、同額の与信枠が付与される。決済はオリコ等の決済代行経由で円で清算され、KYC要件に対応。世界に類似カードはあるが、日本国内の規制下での運用は難度が高く、Slashは「国内初の合法的クリプトクレカ」を標榜する。
JPYCの将来活用余地
JPYC発行企業と2023年に業務提携済みのため、カード側でも円ペッグ統合が進めば日本円決済の整合性がさらに高まる。
現在はSlash PaymentでJPYC対応済み。カードへも決済通貨として組み込む設計が検討されれば、為替を跨ぐUXの摩擦は一段と低減し得る。
SVLトークノミクスと流通・価格動向
プロトコル収益の100%をSVLステーカーに分配するため、カード/ゲートウェイの成長がステーカー還元に直結する。
SVLはMantle Network上のユーティリティ/ガバナンストークン。ステーキングでSVLやMNTの報酬を受け取れる。最大供給は100億SVLで、流通は約49.4億SVL。配分は戦略ラウンド13%、コミュニティ13%、提携11%、チーム/アドバイザー10%、報酬10%など。多くがクリフ型で、未解放分は2028年頃まで段階的に市場へ。
市場と上場先
Bybit/Gate.io/MEXC/Zoomexに上場済みのため流動性は多面的に確保され、ユーザーの取得・解放動向も可視化しやすい。
取引は主にSVL/USDTペア。2024年春にBybitで上場、同年夏にGate.ioにも展開。以降、価格・出来高は上場市場に分散して推移している。
価格レンジの更新
2025年8月20日に過去最高値$0.02754、2025年3月28日に最安$0.002313を記録し、8月21日時点は約$0.0266で推移した。
2024年5月の高値を上回って更新されており、直近は循環的な需給とプロダクト進捗(カードの提供時期や導入増)に反応する局面が続く。
日本の規制・運用論点
資金決済法の改正で電子決済手段(ステーブルコイン)の枠組みが整備されたため、KYC/AMLや交換業者連携の厳格運用が必須となる。
2023年6月の法整備以降、信託型等の運用要件が具体化し、2025年も細則の見直しが進む。カードはBINスポンサーや発行体、プログラムマネージャーの三位一体で運用し、決済ネットワークの適合審査、トラベルルール対応、譲渡制限の管理など、レギュレーション実装面の精度が問われる。
競合比較と国内優位性
海外の暗号資産カードは日本での商用展開が限定的なため、国内規制に適合した先行者は与信・加盟店開拓で優位となる。
一方で技術・運用コスト、与信審査、ステーブルコインの裏付け資産管理などの論点は残る。Slashは大手決済企業との連携や、Vプリカ等の日本的プリペイド導線で普及を図る。
▽ FAQ
Q. Slash Cardはいつ、どの会社と発行される?
A. 2025年上期を目標に、オリコ・アイキタス・Slashが連携し、USDC担保の国際ブランドカードとして提供予定です。
Q. SVLの最大供給量と流通量は?
A. 最大100億SVL、2025-08-21時点の流通は約49.4億SVLで、収益は**100%**ステーカーへ分配されます。
Q. Slash Paymentの手数料と実績は?
A. 加盟店0%、導入4,000店超・累計約1.8億ドル処理(2022-10以降)です。
Q. どの取引所でSVLを取引できる?
A. Bybit/Gate.io/MEXC/Zoomex等に上場済みで、主力はSVL/USDTです。
Q. JPYCはどこで使える?
A. Slash Paymentで対応済み。将来はJPYCをカード決済通貨に統合する選択肢も検討余地があります。
■ ニュース解説
カード連携・0%手数料・収益100%分配が揃ったため、Slashは日本規制の枠内で暗号資産決済の“量”を取りに行く局面となった。 背景にあるのは資金決済法の整備と大手決済企業との連携強化であり、一方でKYC/AML、交換業者要件、ステーブルコインの裏付け管理など運用精度が拡張の制約となる。影響として、SVLの需給はプロダクト進捗・解放スケジュール・上場市場での流動性の三点で敏感化しやすい。
投資家の視点:①カード提供時期と加盟店数の月次/四半期推移、②SVLステーク比率・報酬原資(プロトコル収益)のトレンド、③日本の電子決済手段に関するガイドライン更新、の3点をモニターするのが一般的だ。イベント前後は出来高と板の薄さを確認し、約定コストを抑える分割執行が基本。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:Slash公式サイト,PR TIMES,SBペイメントサービス 公式リリース)