9月10日 暗号資産ニュース|Nasdaq・USDH・SOL

▽ 要約

ナスダック申請 株式トークン化の規則変更をSECへ
ステーブル競争 HyperliquidがUSDH発行を入札制に
ソラナ財庫拡大 Forwardが16.5億ドル確保しSOL購入へ
市場サイクル CryptoQuantは10〜11月天井の公算

伝統金融のトークン化進展とオンチェーン収益設計が同時に進み、市場は資金流入の質と配分に敏感化したため、9月10日 暗号資産ニュースの焦点は規制・収益・安全性の三点に収れんした。

規制・伝統金融の動き

市場制度の整備が進んだため、トークン化やETFを通じた資金の正規ルートが太くなり、機関投資家の参加が現物・デリバティブの両面で続いた。

Nasdaq、株式・ETPのトークン化決済を申請

SECへ規則変更を出したため、取引は従来通りで清算のみをDTCのブロックチェーン記録に切り替える選択肢が生まれる。
申請は既存の注文約定の枠組みを維持しつつ、T+0に近い清算効率と24/7運用への布石を狙う設計で、CUSIPや配当・議決権は原株と同一を前提とする。一方で、手数料無料とT+1が普及するリテールには便益が乏しく、スマコン脆弱性や価格乖離リスクの指摘も残る。背景には9/2のSEC・CFTC共同声明(規制市場での一部現物クリプト取引の明確化)がある。

ビットコイン相場は「成熟局面」入りの分析

半減期から504日が経過したため、長期保有者の段階的な分配が進む一方でピーク旗指標は未点灯とされ、10〜11月の点灯可能性が示された。
VDDの極大(3月)と中間分配波(約9.8万・11.7万ドル帯)を経て、LTHの売却は過去より穏やかで、機関需要に吸収されていると読む。ピーク判定は「現物価格がLTH実現価格の約11倍」に接近するかで監視される。

ETF資金と強気発言

9/8の米現物BTC ETFは+3.68億ドルの資金純流入となり、フィデリティ+1.57億、ARKB+0.89億が主導した。
またマイケル・セイラーは年末20万ドル到達の可能性と、2025年に同社が調達しBTCへ投じた累計190億ドル、直近1.217億ドルの追加取得(約2,000BTC)を示した。

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ステーブル・L2の新潮流

発行益の内部化が進んだため、取引所・L2・発行体の収益配分が再設計され、手数料の恒常引下げへとつながった。

Hyperliquid、USDH発行を入札制—還元設計が焦点

USDC準備56億ドルの利回り約4%を自陣営へ取り戻すため、Paxos・Frax・Agora・Nativeなどが提案を提出した。
Paxosは利息の95%でHYPE買戻し、Fraxは基礎利回りの100%をスマコンでユーザーへ無手数料還元、Agoraは純収益100%還元を掲げる。Maker系のSkyは流動性22億USDC・利回り4.85%案を提示し、年2.5億ドルの収益試算も示された。入札の公正性や提案の具体性を巡る懸念も論点となっている。

MegaETH×Ethena、「USDm」でL2のソーター費用を内製化

ソーター(Sequencer)預託をステーブル資産に置換するため、準備金収益でネットワーク運営費を賄い手数料を安定させる設計となった。
初期バージョンはEthenaのUSDtb層で発行し、当初はUSDtbへの償還に対応、メインネット稼働に合わせてパラメータの公開を予定する。L2の原価連動化で手数料の変動を抑える狙いが強い。

USDeの取扱い拡大

Binanceが9/9 20:00(UTC)にUSDeのスポット取引(USDe/USDC, USDe/USDT)を開始し、出金は9/10 20:00(UTC)開始予定とした。
CeFi上場はDeFi原資の循環を太くし、資金調達・裁定のボラティリティ管理に寄与する。

エコシステム/資金調達・安全性

ソラナ財庫の拡大が進む一方で、セキュリティ事故や手数料構造の変化が資金配分の再最適化を迫った。

Forward、16.5億ドルでSOL財庫戦略へ

PIPEで現金・ステーブルを確保したため、Galaxy・Jump・Multicoinが財務・バリデータ・インフラの面で全面支援し、最大規模のSOL財庫が形成される見込みだ。
市場は短期的にSOLを押し上げ、戦略実行過程での買い圧力継続が意識された。

SwissBorgのSOL戦略で約4,130万ドル流出、全額補填方針

外部API侵害によりSOL Earn関連のウォレットが被害を受けたため、同社はSOL準備でユーザー残高の大半を回復し、引出停止・白帽連携での資金回収を進めると表明した。
プラットフォーム内の他戦略・アプリ内資金は影響なしとされる。

OpenSea、モバイル刷新とTGE前最終リワード

AIネイティブの取引体験やマルチチェーン管理を備えた新アプリを公開し、Flagship Collectionへ100万ドル超の投資を実施した。
9/15から手数料の50%をTGE前の最終リワードへ回し、$SEAのTGE時期は10月上旬とされた。

Ethereum収益低下を巡る論争—「税収」か「経済圏」か

手数料低下でL2へ移行が進んだため、2025年8月の月間収益は3,920万ドルまで低下し前年比-75%となり、評価軸を巡る議論が活発化した。
テック企業的なPL評価を重視する立場と、国家的な基盤層(低料金=普及)を志向する立場の対立は、ETHの価値が「収益」よりも「需要×希少性」に依るとの原点回帰を促す。

個人ソロマイニングの現実

1ブロック3.125BTCの報酬は魅力だが、難易度は過去最高圏で、独立マイナーの当選確率は「宝くじ」並みの希少事象となる。
電力・時間・ビジネス上の閾値を踏まえ、多くはプール参加や並列化で分散報酬を獲得するのが実務的だ。

市場観測—「分化するアルト循環」

流動性の制約が強いため、アルトはバーベル構造(現金創出型と高リスクメメ)に二極化し、広範な一斉上昇は起きにくい。

IOSG—キャッシュフロー銘柄×メメの二極化

トークン供給超過と注意・流動性の分散のため、2021年型の全面高は再現しにくく、DeFiの収益還元・買戻し等の実弾が評価軸になる。
一方で短命のエコローカル・メタの循環は続き、ETHプロキシ(UNI/ENS等)へのベータ追随も限定的とされる。

周期の遅延と起点

4年周期の位相は後ろ倒しになったため、引き金はBTCドミナンス低下・ETH/BTC上抜け・利下げ・ETF資金の複合で点火する見立てが増えた。
TOTAL3の圧縮が解けると、全体ではなくセクター単位の急伸になりやすい。

オンチェーン・ブルの前夜

規制の明確化と供給網の整備が進んだため、オンチェーン資本市場の拡大は制度設計と分配設計の勝負になった。
投資戦略は流動性の確保、強いチーム分散、過度な前倒し消耗の回避が肝要だ。

▽ FAQ

Q. Nasdaqのトークン化申請の狙いは?
A. 清算業務の効率化でT+0に近づけるため、DTCで記録管理しつつ既存の取引枠組みを維持する設計(2025-09-08提出)。

Q. HyperliquidのUSDHで何が変わる?
A. 準備56億ドルの利息(年約2.2億ドル)が外部から内製化され、PaxosやFraxなどの還元設計で手数料低下と流動性増が期待される。

Q. SOL財庫16.5億ドルの影響は?
A. Galaxy・Jump・Multicoinの支援で買い圧が継続する見込みだが、集中保有のガバナンス・流動性管理に注視が必要。

Q. 直近のETFフローは?
A. 9/8は+3.68億ドルの純流入で、FBTC+1.57億、ARKB+0.89億が主導、価格変動吸収に寄与。

■ ニュース解説

規制整備とトークン化申請が相次いだため機関マネーのチャネルが拡充し、一方でUSDH入札やUSDmなど収益配分の再設計が進展、ただしハック事案や手数料低下を巡る論争がガバナンス・安全性の課題を浮き彫りにした。
投資家の視点:イベント日程(SEC文書、ETF構成銘柄、L2ローンチ)を軸に、①規制の実装速度、②ステーブル準備の運用方針と還元率、③集中財庫の運用ガイドライン、④セキュリティ実務(API/鍵管理・保険)を点検し、リスクバジェットに応じて現金創出型プロトコルと実需系のバランスを取るのが無難。

本稿は投資助言ではありません。

(参考:PANews