Raydium暴落の真相とSolanaの未来:依存リスクと革新が交錯する最前線
- 2025/2/26
- Solana
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【要約】
・Solana上で人気のDEX「Raydium(RAY)」が、pump.funの動向によって大幅な価格下落を経験
・pump.funが独自AMMをテスト中との情報が、Raydiumの流動性や収益減少リスクを示唆
・Raydiumの主要収益源は取引手数料であり、pump.fun依存度が約2割との試算が出ている
・Solanaの共同創業者であるRaj Gokal氏へのインタビューから、Solanaが大規模拡張性を目指す理由やNFT・DePINの可能性を探る
・同氏は「業界から“終わった”と言われるほど燃える」と語り、逆境下でもイノベーションを続ける姿勢を強調
Raydium急落の背景:pump.funと独自AMMの関係
Solana上の主要DEXであるRaydium(RAY)は、2025年2月26日朝に30%近くの下落を記録し、市場の注目を集めました。直接的な要因として挙げられるのが、meme系トークンのローンチパッドとして知られるpump.funが自前のAMM(自動マーケットメイカー)による流動性プールをテスト中であるというニュースです。
通常、pump.fun関連の新規トークンは「内盤→外盤」の2段階を経て流通します。まずpump.fun独自のボンディングカーブを利用した初期取引(内盤)で約69,000ドル相当の流通量を達成した後、Raydiumにプールを作り外盤トレードを解禁していました。しかし今後、pump.funが自前のAMMに流動性を集めるとなれば、Raydium側に移行する“外盤”取引量が減少するのではないか、という懸念が生じています。
Raydiumの収益構造と“依存度”問題
Raydiumは、取引1回あたり0.25%の手数料を徴収しており、そのうち0.22%を流動性提供者(LP)に、残る0.03%をRAYの買い戻しおよびエコシステムの強化に充てています。つまり、総取引量が手数料収入やRAYトークンの価値に大きく影響する構図です。
DeFi関連のデータサイト(DefillamaやDuneなど)を参照すると、ここ14週間ほどでpump.fun系トークンがRaydium上の取引量に占める割合はおおむね20%前後と推測されています。つまり、pump.funが独自AMMによる流動性確保を本格化すれば、Raydiumは同程度の取引量を失う可能性があるわけです。
今回、RAY価格が一時的に2.82ドルまで急落したことは、この依存リスクをマーケットが織り込みにいった動きと考えられます。その後3.15ドル前後まで下げ幅をやや戻しましたが、依然25%超の下落幅を抱えており、市場のセンチメントは依存度の高さを冷静に評価している印象です。
Solanaの共同創業者インタビューから見る「逆境下のブロックチェーン開発」
3-1.Raj Gokal氏の軌跡:医療テックからSolanaへ
一方で、Solanaエコシステム全体については、共同創業者であるRaj Gokal氏の視点も大きな示唆を与えます。同氏は元々、医療テクノロジー企業に携わり、そこでの規制や保険会社の抵抗を目の当たりにしてきました。その後、「中間業者を排除しやすい」金融サービスに可能性を見出し、2017~2018年頃にかけてAnatoly Yakovenko氏(もう一人のSolana共同創業者)と合流します。
3-2.Solanaが目指す拡張性:分散化と高速処理
Solanaは「高スループット・低手数料」を実現するため、独自の時間同期機能(Proof of History)と並行処理を重視しています。これにより、ユーザーが一気に数百万人単位で流入したとしても遅延や高騰する手数料を抑えられるよう設計されました。
Raj氏によれば、いずれ大規模な金融機関やテック企業がオンチェーン決済を採用する未来が来ると考えており、既にVisaやStripeなどがSolanaに注目し始めています。
NFT・DePIN・Saga端末が示すSolanaの新しいユースケース
4-1.NFTによる大衆向けプラットフォーム化
Solana上ではNFT取引におけるガス代負担が軽く、その結果としてNFTの大量発行も容易です。これにより、アーティストやクリエイターが作品やトークンを発行しやすくなり、独立性の高い経済圏が生まれつつあります。
4-2.DePIN(分散型物理インフラ)のインパクト
Hive MapperやHeliumなど、ネットワークインフラ自体をトークン報酬によってユーザーが支える仕組みが注目を集めています。例えば車載カメラ映像を共有するHive Mapperは、Googleストリートビューのように地図データを更新しながら参加者に報酬を与えるモデルを採用。これらが拡大すれば、既存の大企業だけに依存しない物理インフラ整備が可能になるかもしれません。
4-3.Saga:モバイル活用の最前線
さらに、Solana Labsは高機能スマートフォン「Saga」を開発し、Web3ユーザー向けの端末として注目を集めました。既存のAndroidをベースとしつつ、暗号資産の取引やNFTの管理がスムーズに行えるよう設計されており、発表当初の2万台が短期間で完売。その後も追加予約が続き、モバイル領域へ本格的に進出する動きを見せています。
「終わった」と言われるほど燃える:Solanaの開発者コミュニティ
Raj Gokal氏はインタビューにおいて、「業界全体がSolanaに“死刑宣告”をしていた時、逆に奮い立たせられた」と述べ、ネガティブな評判がむしろ開発や改良への原動力になっていると強調しました。
また、創業期から重視しているのは優秀な仲間との結束であり、否定的な意見を通じて足りない点を学べる姿勢を大切にしていると語っています。失速やトラブルに直面しても、「必ず乗り越える」という強い信念がSolanaの技術進化を後押ししていることが伺えます。