12月25日|予測市場とステーブルコイン新局面

▽ 要約

市況:BTCは$86,999、24時間清算$1.54億
マクロ:米失業保険21.4万件、金は$4,450割れ
実需:Base収益$75.4M、ステーブルコイン送金$27.6T
焦点:CPI予測は市場がMAE40.1%改善

BTCが$87,000を割り込む中、情報の精度と資金フローが年末相場の優先指標になっている。

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年末の材料が錯綜する中、価格だけでなく情報の精度をどう捉えるかが投資家の課題だ。2025-12-25は予測市場を軸に、BTCの下落局面での清算状況、規制・M&A、Baseやステーブルコインの競争を整理し、2026年の論点を短時間で把握できるように解説します。

市況総括

BTCは2025-12-24に$87,000を割り込み、薄商いの中で清算が両建てに広がった。

OKXではBTCが$86,999.80まで下落し、日内-0.51%となった(2025-12-24)。
値動き自体は限定的でも、短期のポジション調整が先物側に波及しやすい地合いが続く。

過去24時間の全市場清算は$1.54億で、ロング$0.92億/ショート$0.62億と両方向に発生した。
銘柄別ではBTCが$4,650万、ETHが$3,360万と、主要2銘柄に集中している。

マクロ指標では米新規失業保険申請が21.4万件と予想22.35万件を下回り、継続受給は192.3万件だった(対象週は2025-12-13)。
同日に金は$4,450/ozを割り込み日内-0.78%となり、リスク資産の方向感を掴みにくい。

フロー面ではBTC現物ETFが2025-12-23に$1.89億の純流出で、4日連続の資金流出とされた。
一方でETH現物ETFは同日に$620万の純流入となり、3日連続でプラスを維持した。

国策としてBTCに賭ける是非を問う動画コンテンツも流通したが、テキスト情報が限定的で検証には追加情報が要る。
価格材料として扱う場合は、当局発表や財務データなどの一次情報に当たることが前提となる。

規制・政策アップデート

投資家区分の明確化と詐欺対策が同時進行し、制度の解像度が2026年の資金流入シナリオを左右する。

ロシア中央銀行は草案で、暗号資産投資を適格投資家と非適格投資家に分けて認める枠組みを示した。
非適格は試験合格後に年30万ルーブル(約$3,800)まで投資可能とし、2026-07までに立法を進める方針で、違法仲介の責任は2027-07から導入する案だ。

米SECは偽装暗号資産取引所3社と投資クラブ4件を提訴し、被害総額は$14M超とされた。
SNS広告やWhatsAppグループで誘導し、偽の登録証・免許を見せた上で資金を集めたとされ、差止命令や民事罰、返還を求めている。

中国では人民銀行など8部門が、デジタル人民元の越境応用をシンガポール等と試行する方針を示した。
タイ・香港・UAE・サウジとのmBridgeやASEAN向けの商取引連携など、決済インフラの多極化がテーマになっている。

決済周りの規制整備は米国と欧州でも進み、2025年は米国でGENIUS法案、EUでMiCAが全面施行と報じられた。
ステーブルコインは「グレー」から「許認可と監督」のフェーズに移り、事業者のコスト構造にも影響が出やすい。

企業・資金調達・プロジェクト動向

M&AとL2、決済の競争が加速し、収益・TVL・送金量といった実需指標が再評価されている。

2025年の暗号資産関連M&Aは267件・総額$8.6Bとされ、CoinbaseによるDeribit買収が最大案件だった。
市場が拡大局面から選別局面に移るほど、買収価格と統合シナジーの説明力が問われる。

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資金調達ではHashKey Capitalが第4期ファンドで$250Mの初回クローズを実施し、FinTechでも$35Mの調達例が出た。
一方、保有リスクの可視化も進み、Trend Researchは4.6万ETHを追加購入して累計58万ETH超となり、含み損は$140M超と報じられた。

Baseは2025年にチェーン収益$75.4M(L2収益の62%)まで伸ばし、TVLは$4.63BでL2の46%を占めた。
アプリ収益は$369.9Mで、Aerodromeが$160.5M(43%)、Virtualsが$43.2M(12%)、Football.Funが$4.7Mとされた。

Baseの次の焦点は「Base App」と創作者経済で、内部βは2025-07開始、累計14.84万ユーザーがアカウント作成した。
2025-11は登録が前月比+93%、週次アクティブ6,300(+74%)、月次アクティブ1.05万(+7%)とされ、Zora経由の創作者収益は累計$6.1M、2025-07以降の月平均は$1.1Mだった。

ただしコンテンツのトークン化は初期段階で、累計652万トークンのうち約99%が5回未満の取引にとどまり、発行48時間後も取引が続くのは0.3%(1.78万)に限られた。
Baseは代替的なトークン発行も探索中とされるが、短期の流動性施策ではなく行動インセンティブ設計が焦点になる。

ステーブルコイン領域では、2025-12-18にドバイで$Uが発表され、USDT/USDC/USD1を組み合わせる「組成型」が注目された。
USDTは2025-12時点で時価総額約$199B・シェア60%とされ、過去にはBUSDが$16Bまで拡大したが、2023年の規制対応と$4.3Bの和解金で構図が変わった。

USD1は2025-03にWorld Liberty Financialが発行し、2025-12時点の時価総額は約$2.7Bで、MGXがBinanceに$2.0B投資する際の決済手段に使われたと報じられた。
Theory Venturesは2025-12時点のステーブルコイン供給を$310B、年換算のオンチェーン取引額を$46T超とし、2026-12に国際送金の30%がステーブルコインになる可能性も提示している。

AIインフラでは、NVIDIAが推論特化半導体のGroqを$20Bで買収するとする投稿が拡散した。
真偽確認は必要だが、年末のテーマがAIと金融インフラの統合に向かっていることは示唆的だ。

メタバースは2025年に「消費者アプリ」と「産業向け」で温度差が拡大し、暗号資産×NFTの仮想世界は調整が長期化した。
RobloxのDAUは1.515億、MetaのHorizon Worldsは月間アクティブ20万未満、ZEPETOは登録4億超とされ、AI+XRが新たな投資テーマとして挙げられている。

注目テーマ:予測市場とDeFi

CPIなどのマクロ指標を取引で当てにいく仕組みは、予測の精度そのものが投資家の武器になり得る。

Kalshi Researchは米CPI(前年比)で、市場含意値の平均絶対誤差(MAE)が専門家コンセンサスより40.1%低いとした。
「衝撃」局面(意外幅が大きい局面)では優位性が拡大し、0.2pt超の大きな衝撃で1週間前比較-50%、前日比較-60%とされ、0.1〜0.2ptの中程度でも-50%〜-56.2%とされた。

さらに市場とコンセンサスの乖離が0.1ptを超えると、衝撃が起きる確率が約81%で、前日には約82〜84%に上がると報告された。
乖離局面では市場側が75%のケースでより正確だったとされ、価格そのものより「乖離」がシグナルになる。

DeFi側ではPolymarketやKalshi周辺で、賭け金が精算まで滞留する性質を利用し、貸出金庫(例:Morpho)に接続して利回り化する設計が議論された。
仮想的な手数料還元や裁定を通じてユーザー・プラットフォーム・DeFiの三者にメリットを作る一方、運用主体のリスク管理がボトルネックになりやすい。

一方でPolymarketは第三者認証サービスの脆弱性に起因する攻撃を認め、ユーザー資金の一部流出が報じられた。
資金効率を上げるほど攻撃面も広がるため、分散投資と同様に「分散したリスク要因」の棚卸しが不可欠になる。

年末のリスク管理では、2025-10-10の急落で160万人超が清算され、合計$19.3Bが整理された事例が再確認された。
Bybitの$1.5B流出やCetusの$220M損失など、2025年の盗難総額は$3.4B超とされ、ボラティリティとセキュリティは同じ軸で扱う必要がある。

技術面ではVitalikが「2030年代には、望めば無バグコードが可能になる」と述べたと伝えられた。
AIエージェントが本番運用に入るほど、形式手法や監査のコストは相対的に重要性を増すだろう。

▽ FAQ

Q. BTCの下落局面で何が起きた?
A. 2025-12-24にBTCは$86,999.80まで下落し、24時間清算は$1.54億(ロング$0.92億/ショート$0.62億)だった。

Q. KalshiのCPI分析は何を示した?
A. Kalshi ResearchはCPI前年比でMAEが共識より40.1%低く、乖離0.1pt超で衝撃確率が約81%とした。

Q. Baseの2025年実需指標は?
A. Baseは2025年収益$75.4M・TVL$4.63B(L2の46%)とされ、Coinbaseの月間取引者930万が追い風だ。

Q. $UとUSD1のポイントは?
A. 2025-12-18にドバイで$Uが発表され、USDT/USDC/USD1を組成。USD1は時価総額約$2.7Bで成長が速い。

Q. ロシアの投資枠組み草案の要点は?
A. ロシア中銀草案では非適格投資家は年30万ルーブル(約$3,800)上限、立法は2026-07まで、違法仲介の責任は2027-07開始。

■ ニュース解説

年末の薄商いでBTCは$87,000を割り込み清算が膨らんだので、価格だけでなく「情報の精度」と資金の出入りを同時に点検する局面だ。
一方でステーブルコインの送金量やBaseの収益は伸びているため、成長ストーリーとリスク管理を分けて評価する必要がある。
投資家の視点:短期は清算データやETFフローなど需給の確認、構造面は規制の明確化とセキュリティ前提での実需指標(収益・TVL・送金)を並べ、シナリオを複数持つ姿勢が有効だ。

※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

(参考:PANews