▽ 要約
概要:創業者・資金調達・拠点を整理
仕組み:Polygon×USDC、YES/NO=1ドル設計
企業価値:ICE20億ドル出資交渉で80〜100億ドル観測
法令順守:CFTC罰金後にQCX買収、米再参入加速
規制の壁を越えられるのか、Polymarket 予測市場はどこまで拡大するのか――結論から言えば、2025年は「米再参入の地ならし」と「大型資本の流入」が並行して進み、事業基盤と評価額が段階的に引き上がった年だった。本稿は創業来の資金調達、仕組み、ユーザー動向、規制対応、競合、そしてICEの20億ドル出資交渉までを一次情報中心に解説する。
企業概要(創業者・設立年・本拠地・資金調達)
NY発の若手創業企業であるため、2024〜2025年に資本と評価が急伸した。 2020年、Shayne Coplanがニューヨークで創業し、本社はマンハッタンに置かれる。2020年10月にPolychain主導の400万ドルシードを調達、2024年5月にはA・B合計で7,000万ドル、2025年6月にはFounders Fund主導で約2億ドルの調達報道で企業評価は10億ドル超に達した。
資金調達の推移と投資家
選挙期の成長を背景に、Founders FundやVitalikら著名投資家が参加した。 2024年のシリーズB(4,500万ドル)はFounders Fund主導、Vitalik Buterinも参加、同時に未公表だったシリーズA(2,500万ドル、General Catalyst主導)も開示された。2025年6月にはFounders Fund主導で約2億ドルの大型ラウンド報道が相次いだ。
本拠地と創業者の略歴
本社はマンハッタンで、CoplanはNYU中退後に起業した。 公式情報・主要メディアでもマンハッタン所在と創業年、創業者が明記されている。
仕組み(Polygon・USDC・価格設計・決着)
USDC建てのYES/NOトークンが常に1.00USDCへアンカーされるため、価格が集合知として機能する。 PolymarketはPolygon上でUSDCのみを受け入れ、YES/NOの合計が1.00となるようミンティング/償還や裁定で価格が保たれる。取引は近年、オンチェーン清算+オフチェーン板によるハイブリッドに進化した。
入金・手数料の実務
入金はPolygon経由のUSDC送付で、ガス代はMATICを少額用意すれば足りる。 公式ドキュメントや解説はPolygon経由USDCの導入手順と費用感を具体的に示している。
決着(オラクル)
ルールに従い結果が確定し、UMAの「楽観的オラクル」やChainlinkデータ連携が補完する。 UMAのDVMは異議申立て時にトークン投票で裁定、2025年8月にはChainlink経由でICEの為替・貴金属等データ流通の拡充も公表された。
ユーザー層・人気カテゴリ
2024年選挙局面で利用が爆発し、政治が活動の主軸となる一方、AI・スポーツ・地政学へ裾野が広がった。 2024年10月の月間取引高は22.8億ドル、選挙が週次で約80〜91%を占め、MAUや新規流入も記録更新が続いた。
政治と経済
選挙は最大テーマで、FOMCやインフレ等の経済イベントも常設化した。 2024年夏時点で選挙関連が週次の大半を占めたとの分析が複数示される。
AI・テック
「年末に最強AIモデルを持つ企業」市場では、GPT‑5発表後にGoogle優位へ急伸した。 2025年8月イベント直後、該当市場でGoogle側が7割超に達した事例が確認できる。
スポーツ・カルチャー・速報テーマ
NFLや著名人ネタ、突発ニュースも即座に市場化される。 代表例としてTitan潜水艇行方不明の市場はUMA裁定に至るほど注目を集めた。
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法規制・コンプライアンス(CFTC・米再参入)
無登録問題での是正後、ライセンス取得とノーアクションを経て米再参入の体制が整った。 2022年1月にCFTCが140万ドルの罰金と停止命令、以後は米居住者を遮断。2025年7月、CFTC登録済みのQCXと清算会社を約1.12億ドルで取得し、9月にはQCX/清算会社向けにイベント契約の一部報告・記録義務免除のノーアクションが公表された。
捜査終結と環境変化
2025年7月、DOJ/CFTCの捜査終結報道で「不起訴・無処分」整理が伝えられ、米再参入の心理的障壁が低下した。 報道各社が7月中旬に一斉に伝えた。
裁判動向(競合Kalshi)
米政治先物の是非を巡る係争でCFTCが控訴を取り下げ、米国内での政治イベント契約に道が開いた。 2025年5月の動きが業界全体の追い風になった。
競合状況とポジショニング
Polymarketは分散×中央のハイブリッドでUXとグローバル性を両立し、Augurや中央集権型のKalshi・PredictItと差別化する。 PolymarketはUSDC・Polygonを軸に板取引/オンチェーン清算で拡張、Augurは完全分散でREP中心、KalshiはCFTC認可のDCMとして米国内に特化、Kalshiは2025年6月に評価額20億ドルで増資を実施した。
最新ニュース(ICEの20億ドル出資交渉と波及)
ICEが20億ドル出資を交渉中と報じられ、Polymarket評価は80〜100億ドル観測、ICE株は時間外で約4%上昇した。 2025年10月7日の報道で、NYSE親会社ICEによる大型出資交渉が伝えられ、市場は好感した。過去にはChainlink経由でICEデータ連携のニュースもあり、戦略的補完関係が匂う。
▽ FAQ
Q. Polymarketの創業者と本拠地は?
A. 創業者はShayne Coplan、2020年設立。本社はNY・マンハッタンのLexington Aveに所在する。
Q. 取引通貨とネットワークは何?
A. Polygon上でUSDCを用いる。YES/NOの合計が1.00USDCにアンカーされる設計だ。
Q. 2025年の資金調達と評価額は?
A. 6月にFounders Fund主導で約2億ドル報道、評価額は10億ドル超。10月にはICEの20億ドル交渉報道も。
Q. 米国再参入の鍵となった出来事は?
A. 2025年7月のQCX/清算会社の取得と、9月のCFTCノーアクションで一部報告・記録義務が免除された点だ。
Q. 2024年の利用トレンドは?
A. 10月の月間取引高は22.8億ドル、選挙関連が週次で約80〜91%に達し、MAU・新規流入が急増した。
■ ニュース解説
ICEの20億ドル交渉報道が出たため、評価レンジは80〜100億ドル観測へ拡張した一方で、正式発表までは不確実性が残る。 2022年のCFTC処分から、2025年のQCX取得とノーアクションを経て米再参入の制度設計が整い、データ連携や端末統合で“情報市場”としての地位が高まっている。
投資家の視点: 規制・司法の前提が変わればリスク/リワードは急変する。①規制進展(CFTC・州規制)と事業モデルの合致、②流動性(外部MM・裁定の偏り)と板の健全性、③データ連携や米機関投資家の採用度(端末・指数化)、④競合(Kalshiや新興分散型)へのシェア移動——をモニターしたい。
※本稿は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
(参考:CFTC,PR Newswire)