▽ 要約
トークン:総供給100億、流通18%で2025-09-25上場。
テクノロジー:PlasmaBFTとRethで高速・確定性。
パートナー:USDT0連携とBinance Earn提携。
市場:初値$1.54後に変動、出来高は高水準。
投資家の関心は「Plasma (XPL) の上場は本当に新規性があるのか」に尽きるため、結論としてゼロ手数料USDT・Bitcoin連携・EVM互換の三点で実需志向の差別化が見られ、Plasma (XPL) 上場は単なる話題先行にとどまらない。この記事では初値・トークノミクス・規制環境まで数値と一次情報で俯瞰し、短期の値動きと長期の実需ドライバーを切り分けて理解できるよう解説する。
上場と初期市場動向
上場初日は主要取引所で取引が開始され高値$1.54を付けたが、流動性の厚みが形成される過程で一時$0.72台まで下押しし、その後は概ね$1前後でのレンジ推移となった。
初日にBinanceやOKXで現物と契約取引が開始され、BinanceはUSDT/USDC/BNB/FDUSD/TRYの複数ペアを提供した。上場時の流通は総供給10Bの18%(1.8B)で、早期に出来高が急増し価格発見が進んだ。
取引所施策と配布
上場に合わせBinanceは「HODLer Airdrops」で7,500万XPL(0.75%)を実施し、さらにBinance Earnの「Plasma USDT Locked Product」利用者へ総計1億XPL(1%)の配布を告知した。UpbitはKRW/BTC/USDTで上場し、初期の過熱抑制措置を適用するなど市場安定化に配慮した。
設計と技術(ゼロ手数料USDT/Bitcoin連携/EVM)
ゼロ手数料USDT転送はプロトコル管理のペイマスターがUSD₮の転送ガスを肩代わりする仕組みのため、少額決済・送金に強みが出る。
一方で通常のコントラクト呼び出しや高度な取引は手数料が発生し、XPLに加えUSD₮やBTCなどホワイトリスト資産での支払いが可能でユーザビリティを高める。
PlasmaBFTとReth
HotStuff系の改良版「PlasmaBFT」とRethベースのEVM実行により、サブ秒の確定性と高スループットを両立した。実行と合意の分離設計がレイテンシ低減と互換性担保に寄与する。
Bitcoin連携とセキュリティ
Plasmaは信頼最小化されたBitcoinブリッジを備え、BTCをEVM環境で扱える設計のため、検閲耐性と決済最終性の強化が狙える。一方、ブリッジは段階導入でメインネットβでは順次解放の計画だ。
EVM互換と開発者体験
100% EVM互換によりSolidity資産をそのまま移植できるため、既存のツールチェーンで短期にデプロイ可能となる。DeFiの移植・統合コスト低減が初期エコシステム形成を後押しする。
トークノミクス(供給・配分・解除)
総供給10Bの初期流通は18%で、Public 10%、Ecosystem 40%、Team 25%、Investors 25%という配分となる。
Ecosystem 40%のうち8%(800M)は上場時に即時アンロックし、残り32%は36か月で月次に解除される。チームおよび投資家は1年クリフの後に24か月の線形解除で、売り圧分散を意図した設計である。
インフレ報酬とバーン
検証者報酬は年5%から開始し年0.5%ずつ低下、年3%で安定化する。外部バリデータと委任開始時に有効化され、EIP‑1559型でベース手数料はバーンされ希薄化を抑制する。
資金調達と投資家
2024-10にBitfinex主導の$3.5M、2025-02にFramework主導の$20–24M(報道差)を調達し、2025-05にはFounders Fundが戦略投資を実行した。参加投資家はDRW/Cumberland、Flow Traders、IMC、Nomuraなど市場系の顔ぶれが並ぶ。
トークン配布キャンペーンの実情
2025-06の預託(デポジット)プログラムは数十分で$500Mに達し、参加は1,100超・中央値は約$35kだった。割当は「平等配布」ではなく、預託の時間加重シェアに基づく配分である点が重要だ。続くPublic Saleは$373M規模のコミットで終了し、上場後の流動性形成に寄与した。取引所側ではBitgetがLaunchpoolで2.2M XPLを報酬として用意した。
オンチェーン・デリバティブフローと短期センチメント
先物・プレマーケットでは8月末にHyperliquidで200%急騰—急落が発生し、クジラの買い上げとショート清算が観測されたため、短期はボラティリティが高い地合いが続いた。上場当日のスプレッド縮小や出来高増を経て、$0.7〜1.5の広いレンジでの面合わせが進んだ。
規制・運用上の留意点(MiCA対応など)
EUのMiCA施行に伴い、EEAでは未許可ステーブルコインの取扱いが段階的に制限されており、USDTを核にするPlasmaの利用体験は地域により差異が出うる。取引所側もEEA向けの安定通貨提供で制約・代替の案内を行っており、域内での実需拡大には規制準拠の枠組み整備が鍵となる。
今後の注目点(実需拡大とエコシステム)
「Plasma One」によるカード・決済連携や、Aave/Curve等のDeFi統合が本稼働し、ゼロ手数料USDT送金の導線に実需が乗るかが焦点だ。Bitcoinブリッジやプライバシー機能の段階導入、インフレ開始と委任ステークの設計も中長期の需給に影響する。
▽ FAQ
Q. XPLはいつどこで上場し、初値はいくら?
A. 2025-09-25にBinance・OKXで上場。初期高値は約$1.54、流通18%で時価総額約28億ドル。
Q. 総供給・流通・配分は?
A. 総供給10B、流通1.8B。Public10%、Ecosystem40%(8%即時)、Team25%、Investors25%で36か月の段階解除。
Q. ゼロ手数料USDTは恒久無料?
A. 無料対象はUSD₮の単純転送のみで、プロトコルのペイマスターがガスを肩代わり。複雑な取引は通常どおり課金。
Q. 追加配布とEarn施策は?
A. BinanceはHODLer向けに7,500万XPL、Plasma USDT Lock参加者へ1億XPL配布を告知。BitgetはLaunchpoolで2.2M XPLを用意。
■ ニュース解説
上場初日に主要取引所で取引が始まり高値$1.54を付けた一方で一時$0.72台まで下押ししたため、需給の初期歪みと大量配布の消化が同時進行した。背景にはゼロ手数料USDT・EVM互換・Bitcoin連携という仕様と、VC/取引所による強い支援があり、短期影響は高ボラ継続だが中長期は実需導線の具体化次第で評価が定まる。
投資家の視点:短期はローンチ直後の供給・配布(エアドロップ/解除)と先物主導のフローで乱高下しやすいため、板厚・清算動向・主要ペアの資金流入をモニターする。中期はEcosystem 8%即時+36か月解除の使われ方、Aave/Curveの実需・「Plasma One」の利用KPI、MiCA等の地域規制対応をチェックし、ゼロ手数料導線が日次TX・TVL・決済回数に転化するかで見極めたい。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:Binance,Plasma Docs,Plasma)