マックハウス、ビットコイン購入と採掘参入

▽ 要約

参入概要:アパレル大手がゼロフィールドと組み暗号資産マイニング開始へ【買う×掘る】戦略
資金規模:6月調達24億円のうち最大17億円でBTCを取得予定──財務多角化を狙う
企業価値:BTC購入報道で株価4.6倍急騰、マイニング収益で中長期改善図る
業界影響:非IT企業のWeb3進出事例として注目、他業種の追随可否を占う
主なリスク:価格変動・電力コスト・規制変更で損失拡大の懸念も

「アパレル企業は服だけを売る時代ではない」――マックハウスがビットコイン購入とマイニング参入を同時に打ち出しました。伝統小売が暗号資産に挑む狙いは何か? 本稿では発表内容の要点、投資家が見るべき財務インパクト、アパレル・Web3業界への波及、そして想定リスクを整理します。

速報:提携とハイブリッド戦略の全容

マックハウス(7603)は7月4日、マイニング国内首位のゼロフィールドと暗号資産事業に関する包括的協業基本契約を締結したと発表。前年6月に公表した最大17億1500万円のビットコイン購入計画に続き、「買う+掘る」ハイブリッド戦略で暗号資産収益を狙う。

ゼロフィールドとは

ゼロフィールドはトリプルアイズ傘下で、マイニング機器販売台数・顧客数シェア4年連続国内1位。最新調査で機器販売シェア39%、稼働顧客シェア69%を握る。
同社は米ワシントン州など再エネ拠点も運営し、年利150%超の高収益実績を掲げる。

資金調達とBTCトレジャリー計画

6月20日の第三者割当増資完了で約24億円を調達。そのうち最大17億1500万円をBTC購入に充当と開示した。
目的は①インフレ耐性資産の保有、②長期的企業価値向上、③マイニング事業とのシナジー。
専門部署「デジタル資産運用グループ」を新設し、運用・会計・リスク管理を行う。

財務インパクトと株価の反応

BTC購入報道後、株価は3営業日で4.6倍に急伸。その後は利食い売りで乱高下し、7月4日終値は336円(▲5.3%)。
総資産73億円規模の同社にとって17億円投資は大きく、BTC価格上昇なら含み益が財務を押し上げる一方、下落時は評価損リスクが拡大する。

業界・市場への波及

  • 異業種×Web3の象徴:非IT小売のBTCトレジャリーは国内初。楽天やSBIなど先行例に続く「第2波」の火付け役になる可能性。
  • 追随見通し:アパレル各社は自社のESG・DX施策と照合し慎重に検討。成功すれば“横展開”のモデルケース、失敗すれば反面教師。
  • 機関投資家視点:Evo Fundなど既にBTC保有企業へ出資するファンドが引受先に名を連ね、企業版「BTC ETF」としての株式魅力度が高まる。

リスクと今後の注目点

ビットコインは2025年半減期後に報酬が3.125BTCへ減少、マイニング収益性が低下し得る。電力コストや全ネットワークハッシュレート上昇も逆風だ。
2018年にはDMM.comやGMOがマイニング撤退・特損計上に追い込まれた前例がある。
規制面では税制優遇やマネロン対策など不確実性も残る。運用チームの専門性と柔軟なポートフォリオ管理が成否を分けるだろう。

▽ FAQ

Q. マックハウスはいつ暗号資産マイニング参入を発表?
A. 2025年7月4日にゼロフィールドとの基本契約締結を公表しました。

Q. ビットコイン購入額はいくら?
A. 調達資金のうち最大17億1500万円分をBTCなど暗号資産に充当します。

Q. ゼロフィールドの実績は?
A. マイニング機器販売台数4年連続国内1位、販売シェア約39%です。

Q. 株価はどう動いた?
A. BTC購入報道後3営業日で4.6倍に急騰、その後乱高下しています。

Q. 主なリスクは?
A. BTC価格急変、採掘報酬半減、電力コスト上昇、規制変更、本業リソース分散が挙げられます。

■ ニュース解説

マックハウスの決断はコスト構造が重いアパレル業界で「資産の質」を変える試みです。現金代替としてBTCを保有し、再エネ型データセンターでマイニングを行うことで、低利益率ビジネスの天井を突き破る狙いがあります。一方で、暗号資産事業は相場に左右されやすく、DMM・GMOの失敗事例が示すように撤退コストも高い。株式市場は短期的には材料視しやすいものの、長期的には実際のマイニング収益とBTC評価損益が決算にどう反映されるかが評価の分かれ目になります。

(出典:prtimes,biz-mac-house)