韓国ステーブルコイン法案が提出、金融主権を巡る攻防

▽ 要約

法案概要:最低資本金五十億ウォンで発行可能/金融委員会許認可制を採用
中央銀行懸念:金融安定リスクを指摘し CBDC を一時停止
市場影響:Upbit・Naver Pay がウォンコイン決済を計画
国際比較:米 GENIUS 法・EU MiCA に追随し規制競争が激化

韓国ステーブルコイン法案――それは「ウォン建てコイン」を正式に認め、暗号資産の資本流出を止めたい政府の切り札だ。読者の疑問は「なぜ今、民間発行を解禁するのか?」。本記事は結論として「金融主権の確保とイノベーションの両立」が狙いであることを示し、読むメリットとして投資家・事業者が取るべき次の一手を提供する。

法案の核心ポイント

発行者の最低資本金50億ウォンとFSC許認可制で無秩序発行を防ぐ。詳細は以下。

発行資格とライセンス

  • 国内企業は資本金50億ウォン以上、海外企業は営業所設置が条件。
  • 発行・解散・合併時も FSC の再承認が必要。

準備資産と償還義務

  • 1:1 で法定通貨に裏付け、毎月残高を公開。

政策背景と狙い

Terra/Luna 崩壊→海外流出19億ドル超→李在明政権の公約実行。

国内事情

  • Q1 にドル建てコイン19億ドル流出。中央銀行は「フリーバンキング」と批判。

国際比較

  • 米 GENIUS 法(2025.7.18)、EU MiCA(2024)と同水準。

中央銀行 vs. 議会

韓国銀行はCBDC実験を停止しつつ監督権限拡張を要求。

民間セクターの即応

Upbit × Naver Pay がウォンコイン決済を共同検討。

関連:JPYC ステーブルコイン最新動向と制度改正

残る論点

  • マネロン対策と外為法整合
  • 中央銀行の緊急停止権限
  • ウォンコインの実需創出

▽ FAQ

Q. 韓国ステーブルコイン法案の資本金要件は?
A. 発行主体は最低資本金50億ウォン(約5億円)が必要です。

Q. 発行にはどの機関の許認可が必要?
A. 金融委員会(FSC)からの事前ライセンス取得が必須です。

Q. 韓国銀行はどのような立場?
A. 中央銀行は金融安定リスクを理由に慎重姿勢を示し、監督権限の付与を求めています。

Q. 民間企業の動向は?
A. Upbit と Naver Pay がウォン連動ステーブルコイン決済を共同検討中で、銀行も商標を出願しています。

■ ニュース解説

本法案は「通貨主権の強化」と「デジタル金融競争力」の二兎を追う挑戦だ。規制明確化は市場の透明性を高め、短期的に仮想通貨への資金流入を促す。一方、中央銀行が警告するシステミックリスクや外為管理の課題を解消できるかが成否のカギだ。投資家は法案審議とFSCガイドラインの行方を注視し、ライセンス要件や準備金開示を満たす発行体を見極める慎重さが求められる。

※本稿は投資助言ではありません。

(出典:CoinDesk,Bloomberg.com,Financial Times