▽要約
複合稼働*: 7月中旬のdeUSD実運用開始でELX需要拡大
踏み上げ*: Bybit先物の売り建玉踏み上げが現物を牽引
分散型取引所出来高急増*: 24h 2.6億USDで板薄のまま価格上昇
上場説否定*: 3月以降リスティング無し、影響は限定的
ELXの直近急騰は「Compound担保運用×ショートスクイーズ×DEX資金流入」の複合効果であり、取引所上場は無関係だ。
読者が抱く「また上場で上がったのか?」という疑問を一掃し、価格変動の真因をオンチェーンとデリバティブ指標から読み解く。この記事を読めば、短期筋の動向とプロトコル実装が価格に与えるインパクトを俯瞰できる。
直近急騰の三要因
Compound担保運用の開始
deUSD/sdeUSDが7月16日にCompoundで実際に供給・借入可能となり、ELX需要が急伸。
ELXをロックして発行するdeUSDは、7月9日のガバナンス承認後、16日に金庫が開放され上限の80%が24時間で埋まった。レバレッジを求めるユーザーはELXを追加購入してdeUSDをミントし、Compoundにデポジットする流れを取ったため、現物の買い圧が高まった。
デリバティブ市場のショートスクイーズ
マイナスFundingのまま価格が上昇し、売り方の買い戻しが現物まで波及。
BybitパーペチュアルのOpen Interestは7月18日に1,600%増、Funding Rateは−0.38%で売り優勢が続いていた。そこへCompound関連の現物買いが入り価格が跳ね、売り方が踏み上げられたことで先物→現物へと連鎖した。
DEX主導の出来高急増
Uniswapなどでのスワップ量がCEXの板を凌駕し、薄い流動性のまま価格が倍増。
24時間DEX出来高は2.6億USDで前週比約3倍。大口はクロスチェーンブリッジ経由でウォレットへ資金移動し、オンチェーンプールに流入した。CEX側では新規ペアがなく、既存板の厚みが変わらないまま買い注文が膨らみ、価格が急騰した。
取引所上場説を否定する証拠
最新リスティング情報の空白
3月11日のGate Launchpool以降、公式ブログに新規上場告知はない。
上場ラッシュは3月上旬で一段落。7月18日時点で公式・CEX双方から新たな取り扱い発表は確認されていない。従って、今回の上昇を「新規上場の買い」と結び付けるのは時系列が合わない。
出来高内訳の変化
上昇局面のボリュームは既存ペアとDEXが中心であり、新ペア誕生による増分ではない。
取引所別出来高シェアではBybit・Gate・Uniswap合計が全体の77%を占め、いずれも3月に既に扱いがあったペア。新上場があれば各CEXブログや公式チャネルで告知されるが、流入先ウォレットのタグも旧ペア宛が大半だった。
オンチェーンデータで読む資金フロー
トランザクションとアクティブアドレス
Tx数3.5万件突破と新規アドレス増加が需要拡大を裏付ける。
Etherscan集計では7月17〜19日に2,400件/日超。新規アドレス比率も31%に上昇。取引所入出金トラッカーではGate→個人ウォレット→Uniswapの経路が顕著で、DEX流動性提供を目的とした資金移動が多い。
市場全体のセンチメント
アルト優位に傾くマクロ環境
米下院の仮想通貨法案可決でBTCドミナンスが低下し、資金が中小アルトへ。
7月15日可決の3法案は機関参入ハードルを下げるとの見方が強く、時価総額小型のELXにも資金が流入。ビットコイン停滞時の回転資金がElixir周辺のRWA銘柄に集中する構図が鮮明になった。
▽ FAQ
Q. 今回のELX急騰で最重要視すべき指標は?
A. deUSD供給上限とBybit Funding Rateの二つです。
Q. 24時間出来高はいくら?
A. 約2.6億USDで前週平均の3倍強です。
Q. 取引所上場は関係ある?
A. 3月以降新規リスティングはなく、今回の上昇には影響していません。
■ ニュース解説
今回のケースは「プロトコル実装→先物構造的短 squeeze→DEX資金流入」という連続イベント型の値動きだ。ニュースヘッドラインでは「Compound担保運用」が目を引くが、裏では先物市場のポジショニングが発火点となり、二次波としてオンチェーン資金が加わった格好だ。取引所上場が話題にされがちな国内コミュニティにとっても、データドリブンで要因を読み解く契機となる。
(出典:coinmarketcap)