Mint Your Brain(MYB)は、Web3の音楽コミュニティブランドMta1verseが2023年に打ち出した、脳波データをアート制作に用いるイベント構想です。当時は専用パスや音楽祭の計画とともに紹介されました。ただし、予定の公表だけでは、イベントが実施され作品が発行されたことまで確認できません。2026年9月時点で確認できた報道と、実施記録が見つからなかった部分を分けて読み直します。
2023年1月に報じられた三つの計画
ChainCatcherは2023年1月11日、Mta1verseによる専用パスの発行方針、4月のMint Your Brain、6月末のニューヨークでの音楽祭構想を報じました。パスはコミュニティやオンライン・現地イベントに参加するための証明として説明され、MYBは会場で脳波を取り込みアートNFTを制作する企画として紹介されています。
このニュースには、参加資格を扱うパス、作品制作の体験、より大きな音楽祭という三つの要素があります。相互に関連する構想ですが、同じ商品でも同じ催しでもありません。専用パスがあるという説明だけで、MYBの作品がすでに完成していた、あるいは音楽祭の全出演者が確定していたとは判断できません。
旧記事は、予定を紹介する文章の途中で、すでに作品を制作しているように読める表現を使っていました。本記事では、発表時点の構想として時制をそろえます。「イベントを開催する計画が報じられた」という事実と、「イベントで作品が作られた」という実績の報告を混ぜないことが、このニュースを保存する際の前提です。
MYBが目指したのは参加者を取り込む作品制作
当時の説明でMYBの特徴となっていたのは、参加者が完成品を見るだけでなく、自分から得られる信号を制作の入力として提供する点でした。アーティストとの共同制作も構想に含まれていました。このため、一般的なデジタル画像の販売とは異なり、会場での体験と、そこから生まれる作品を結び付ける企画として読むことができます。
ただし、公開された短い紹介からは、どの機器を使い、どの信号を抽出し、どのような規則で画像などへ変換する設計だったのかまでは確認できません。計測機器の名称や解析手法が示されていない以上、特定メーカーの装置を使った、感情を正確に分類した、といった説明を付け足すべきではありません。
ここでいうリアルタイムとは、その場で得たデータを制作に使うという構想の説明です。処理の遅延、完成までの所要時間、作品の形式や解像度を保証する仕様ではありません。また、一点物という紹介があっても、実際の発行数や重複の有無は作品の記録を確認しないと分かりません。MYBの技術的な成果を評価するには、計画の紹介より詳しい資料が必要です。
脳波の記録と「考えを読むこと」は異なる
米国国立医学図書館のMedlinePlusは、脳波検査を脳の電気的活動を測定するものと説明しています。頭皮に取り付ける電極を通じて信号を記録するという基礎的な仕組みです。ここで参照しているのはEEG一般の説明であり、MYBで同じ医療用機器や検査手順が使われたと確認したわけではありません。
そのため、MYBという名称を「脳内の記憶や思考をそのままNFTにする技術」と受け取るのは適切ではありません。生体信号を入力にした作品を作ることと、人が思い浮かべた内容を特定して画像化することは、主張している能力が違います。今回確認できたMYBの報道には、後者を実証する研究結果はありません。
仮に信号の大きさを画面上の線の太さへ割り当てれば、記録の変化を視覚表現へ移すことはできます。ただしこれは仕組みを考えるための例で、MYBの実装を説明したものではありません。何を入力にしてどんな変換を行ったかが分からない状態で、作品の色や形から参加者の心理状態を逆算することもできません。
専用パスと生成される作品は権利を分けて読む
当時の告知では、パスを通じたコミュニティ参加、イベントへのアクセス、会場での作品制作体験、将来の特典が説明されていました。しかし、参加証としてのパスと、体験から生まれる作品NFTが同一のトークンなのか、別に発行されるのかを確定できる詳しい規約は今回確認できませんでした。
これは参加者にとって実際の体験を左右する違いです。たとえば、パスの所持によって入場資格を得ることと、計測の予約枠を確保できること、生成された作品を受け取れることは別々の条件になり得ます。MYBがどの条件を採用したか不明なため、「パスがあれば必ず作品を受け取れる」とは案内できません。
作品の商用利用や再配布についても、制作体験に参加したことだけから範囲を決めることはできません。参加者の入力データ、アーティストの表現、発行されるNFTについて、誰が何を扱えるのかを示す条件が必要です。今回の資料ではその条件を確認できないため、購入者が作品の著作権を取得するといった説明は採用していません。
音楽祭の予定には6月末と7月の記述がある
1月のChainCatcherの記事は、mta1verse festを6月末にニューヨークで予定していると伝えていました。一方、36氪が2023年3月1日に掲載した中国のライブイベントに関する記事では、関係者の郭海氏が、同年7月にニューヨークで行う音楽祭を並行して計画していると述べています。
この二つの記録は、少なくとも報道上の予定月が一致していないことを示します。ただし、後の記事に正式な日程変更の告知が添えられているわけではありません。本記事では「6月から7月へ正式延期された」とまでは断定せず、それぞれの時点で異なる予定が語られていたと整理します。
3月の記事も準備段階の話であり、開催後のレビューではありません。出演者が登壇したことや観客数、チケット販売実績を裏付ける資料としては使えません。また、音楽祭の計画が続いていたとしても、それだけで4月のMYBの実施が証明されるわけではありません。別の催しの予定を相互の実績証明にしないことが必要です。
2026年に確認できたことと残る空白
今回の確認では、MYBの開催後レポート、作品の公式一覧、会場が公表した開催記録、発行に使われたコントラクトを特定できませんでした。旧記事が参照したMta1verseの公式Xアカウントからも、この確認に必要な投稿内容を取得できていません。したがって、2023年に計画が報じられたという範囲を超えて実施済みとは記述しません。
確認できなかったことは、中止されたことの証明でもありません。告知の削除や閲覧制限、検索に出ない記録が存在する可能性があり、公開検索だけでは開催の有無を決着させられません。ただし、実施を肯定するための資料もない以上、現在まで特典が提供され続けていると期待させる案内はできません。
生体信号を扱う体験としては、元の計測データを保存するのか、作品だけを残すのか、第三者へ共有するのかも確認すべき点です。MYBの保存方針や同意文書は見つからず、脳波そのものをブロックチェーンに公開したとも断定できません。NFTの発行という言葉だけでは、生体データの保存場所までは分からないためです。
この記事は、過去のアート企画を検証する記録です。現在のパス販売や参加者募集、日本からの申込み受け付けを確認した案内ではありません。もし今後公式の作品台帳や実施報告が確認できれば、予定と実績を結び付けて更新できます。それまでは、構想の面白さと、確認できる成果の量を分けて評価する必要があります。
よくある質問
Q. MYBは実際に開催されましたか?
A. 2023年の開催計画は報道で確認できますが、今回の調査では開催後の公式記録や作品一覧を特定できませんでした。開催済みとも中止とも断定していません。
Q. 脳波から考えている内容をNFTにするのですか?
A. 当時の紹介は脳波データを作品制作に利用する構想です。思考や記憶を読み取って再現する技術が実証されたという資料は確認できません。
Q. 今からパスを取得すればイベントに参加できますか?
A. 現行の販売条件や募集、特典の提供状況は確認できません。2023年の計画を現在の参加資格の案内として使うことはできません。
この記事の出典
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。




