2024年9月10日|AIウォレット・Fractal採掘・SocialFi

2024年9月10日前後は、AIに暗号資産の決済機能を持たせる試み、稼働したFractalの採掘方式、friend.techの管理権限変更が注目された。元記事には、採掘方式の誤訳や、条件を省いた利益の説明があった。本稿では公式資料に基づいて3つの話題を整理し、当時の発表と後日の製品説明・参加状況を区別する。

AIエージェントにウォレットを持たせるという構想

2024年9月10日の元記事は、AIエージェントと暗号資産の接点に注目していた。AIエージェントは、与えられた目的に沿って情報を調べ、外部の道具を呼び出して作業するプログラムとして考えると分かりやすい。ウォレットとの接続は、その作業の一部として支払いを実行できるようにする試みだった。

当時の具体例を確認できる資料として、Coinbaseの9月11日付公式解説がある。これは記事の日付より後の補足資料である。同社はプログラムから操作するMPC Walletsを通じて、AIエージェントと人、あるいはエージェント同士が送受金する仕組みを紹介した。AIの判断機能そのものがブロックチェーンになった、という話ではない。

この解説が挙げるデモでは、人が複数の画像から良いものを選び、検証されたフィードバックに対してBase SepoliaのETHを自動送付する。Base Sepoliaはテスト用のネットワークであり、実証の報酬をそのまま実収益と見なしてはいけない。実際の資金で運用する場合には、支払いを決めるロジック、残高、実行権限を別途設計する必要がある。

その後は支払額の制限や鍵の分離も製品の確認点に

2026年9月に確認したCoinbaseのAgentic Wallets製品ページでは、セッション単位と取引単位の支出上限、秘密鍵をエージェントのプロンプトや言語モデルに渡さない構成が説明されている。これは現在の製品説明であり、2024年のデモに同じ機能がすべて備わっていたと示すものではない。

この後日の説明から分かるのは、単にAIが送金できるだけでは運用上の課題が終わらないということだ。例えば、資料を要約する作業と、外部サービスへ料金を支払う操作では必要な権限が異なる。利用者が任せたつもりのない取引まで実行されないよう、金額や操作の範囲を具体的に決めることが重要になる。

また、秘密鍵を直接見せない構成でも、許可された送金機能を誤って呼び出す可能性は残る。鍵の保管と、送金先や金額の判断は別の問題である。元記事が挙げた複数エージェントの協力も、それだけで計算資源の集中が解消したり、投資判断が正確になったりする保証ではない。技術の可能性と、実際に検証された機能を分けて評価したい。

FractalのCadence Miningは「一部が許可制」ではない

Fractalは2024年9月9日にメインネットの稼働を発表した。翌10日のニュースでは、その採掘方式であるCadence Miningが焦点になった。元記事にあった「3ブロックのうち1つを許可制で採掘する」という説明は修正が必要だ。公式資料が示すのは、3分の2がpermissionless mining、3分の1がmerged miningという組み合わせである。

merged miningはマージマイニング、または併合採掘と呼ばれ、Fractalの説明ではビットコインを採掘しながらFractalのブロックも採掘する方式を指す。運営者から許可を受けた人だけが参加するという意味ではない。二つの方式を区別する軸を取り違えると、ネットワークの参加条件まで誤って理解することになる。

FractalはProof of Workを採用し、既存のASICなど対応する機器を使う構成を説明している。新しい採掘モデルという言葉だけで、誰でも一般的な端末から同じ条件で報酬を得られるとは考えないほうがよい。機器、採掘プール、ソフトウェアの対応状況は、参加の可否や費用に直接関わる。

後続の採掘参加と、利益が出る条件を混同しない

後日の動きとして、Fractalは2025年4月24日にFoundryがマージマイニングを開始したと発表した。公式発表から、開始時の構想に続いて採掘参加が広がった経緯を確認できる。ただし、大きな採掘プールの参加は、個々の参加者の利益を保証するものではない。採掘を支える参加者が増えることと、一人当たりの採算は別の話である。

元記事には、FBの価格が10ドル以上であることが利益の条件だという記述があった。しかし、機器の消費電力、電気料金、借りる計算能力の費用、採掘難易度、プール手数料、計測期間が分からなければ、一般化できる損益分岐点にはならない。そのため、本稿では10ドルを共通の基準として採用しない。

概算する場合でも、得られると見込むFB数量に価格を掛けた収入から、同じ期間に発生する費用を引く必要がある。価格だけ上がっても、参加する計算能力や難易度が変われば得られる数量は変わる。マージマイニングでは既存設備との費用の分担も論点になる。開始直後の一時的な条件を、長期間続く採算として扱わないことが大切だ。

friend.techは管理パラメーターの変更とWeb継続を発表

SocialFiの話題では、friend.techの2024年9月8日付公式投稿が重要だった。取得できた投稿本文は、adminとownershipのパラメーターをゼロアドレスへ設定し、将来の手数料や機能の変更を防ぐと説明している。同じ投稿には、この変更は別に運営されるWebクライアントへ影響せず、従来の状態で動き続けるという説明もある。

したがって、「管理権限を手放した」という情報から「その日に全サービスが停止した」と結論づけることはできない。契約の権限と、利用者が開く画面は役割が違う。既存の仕組みを変更できなくすることと、その仕組みへの接続口を閉じることを分けて読む必要がある。

この発表には、運営者が後から条件を変えにくくなる面と、不具合や利用者の要望へ対応する余地が小さくなる面がある。どちらを重く見るかは、固定された契約の内容や、周辺サービスの運営方針によって変わる。変更できないこと自体を、すべての安全性や使いやすさが確保された証拠と考えるのは適切ではない。

SocialFiは利用継続と取引の指標を分けて評価する

friend.techの投稿から確認できるのは当時の変更内容と運営側の説明であり、2026年までのWebアプリの連続稼働や利用者数を証明するものではない。本稿では、それらの長期的な結果を確認できたとはしていない。古い継続表明を、現在もすべての機能が同じ条件で使えるという案内に読み替えないことが必要だ。

元記事はFarcasterも停滞していると述べていたが、新規登録者数、投稿する人数、再訪する人数、取引量は異なる指標である。どの期間を比べ、何を一人と数えたのかが分からないまま、二つのサービスを同じ衰退の事例として扱うことはできない。今回は裏付けが取れたfriend.techの管理方針を中心に整理した。

SocialFiを評価するなら、報酬がある時だけ取引する人と、交流やコンテンツのために戻ってくる人を分けて見ると、利用の実態を捉えやすい。売買の多さだけでは会話の質や継続性は分からず、登録数だけでは実際の活動も分からない。数値を比較する際は、集計期間と行動の定義をそろえることが前提になる。

9月10日前後の3つの話題は、送金できるAI、採掘への参加、サービスの変更権限という異なる仕組みを扱っていた。実行できる操作と、その操作が望ましい結果を生む条件を分けることで、技術への期待を具体的な確認事項へ変えられる。

よくある質問

Q. Fractalの3分の1は運営の許可が必要な採掘ですか?

A. 公式資料の表現はmerged miningです。ビットコインと併せて採掘する方式を指し、許可制という訳では意味が変わります。

Q. Coinbaseの画像評価デモでは本物のETHを稼げますか?

A. 2024年9月の公式解説が示す報酬はBase Sepolia上のテスト用ETHです。その実証を実際の収益として紹介することはできません。

Q. friend.techの権限変更は即時のサービス停止でしたか?

A. 9月8日の投稿では、別途運営されるWebクライアントは従来どおり継続すると説明されています。契約の管理変更と画面の停止を同一視できません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。