▽要約
購入概要:21,021BTCを平均117,256ドルで取得し総保有628,791BTCへ
調達手段:STRC優先株IPOで25.21億ドルを確保、年9%配当予定
市場反応:ビットコイン高値圏も調達即買い増しで強気シグナル
財務影響:評価益+272億ドルが純資産を押上げ、負債コストは増
投資家視点:レバレッジ戦略継続、価格急落時の下方リスク要監視
導入――なぜ今、さらなる大口買いなのか
マイクロストラテジー(以下、Strategy)は「ビットコインを企業資本の中核に据える」方針を再確認し、7月29日に21,021BTCを一括取得しました。本稿では調達構造・市場影響・財務リスクを整理し、読者が本件の本質を短時間で把握できるよう解説します。
購入のキモは「即時全額投入」
STRC優先株IPOで25.21億ドルを調達
Strategyは年9%配当のSTRCを28,011,111株発行し、約25.21億ドル(手取り24.74億ドル)を得た。同日中に全額で21,021BTCを購入した。
取得内容
- 平均取得価格:117,256ドル/BTC
- 総取得額:24.6億ドル(手数料込)
- 取得後保有量:628,791BTC、全BTC流通量の約2.9%
過去の購入と比較すると?
年月日 | 追加BTC | 支出額(億$) | 平均価格($) | 保有累計BTC |
---|---|---|---|---|
2024-11-25 | 55,500 | 54 | 97,862 | 386,700 |
2024-11-18 | 51,780 | 46 | 88,627 | 331,200 |
2025-07-29 | 21,021 | 24.6 | 117,256 | 628,791 |
今回の数量は過去最大より小さいが、取得単価は過去最高。平均取得コストも73,227ドルへ大幅上昇した。
市場と投資家の反応
高値圏での即買いは需給を締め、市場心理は強気寄り。ただし外部要因で短期的に価格は乱高下。
- CoinDeskは「最大級IPO直後の即時購入は機関投資家需要の強さを示す」と報道。
- 株式市場ではMSTR株が発表翌日に一時‐1.2%と調整しつつも、TD Cowenは目標株価を680ドルへ引き上げた。
財務インパクトとリスク
評価益は純資産を押し上げる一方、9%配当優先株・既存社債の利払いでキャッシュアウトは増大。
- 含み益:約272億ドル(BTC@117k時点)
- 年間配当負担:STRCだけで約2.2億ドル
- 本業(BIソフト)の営業CFは年数億ドル規模でギャップ大
- ビットコイン価格下落時は減損損失とマージンコールリスクが顕在化
今後のシナリオ
ビットコイン強気継続なら保有100万BTCも視野。弱気入りなら一部売却や追加担保が必要。経営陣は「21/21プラン」で今後3年420億ドルの追加調達計画を示唆している。
▽ FAQ
Q. 取得したビットコインは何BTC?
A. 21,021BTC。総保有量は628,791BTCに達した。
Q. 資金調達の方法は?
A. STRCシリーズA優先株をIPOし、25.21億ドルを調達した。
Q. 平均取得価格は?
A. 117,256ドル/BTCと過去最高値圏。
ニュース解説
本件は「企業が高配当優先株を発行し、その全額を暗号資産に即投入する」という前例の少ない資本政策だ。調達コストを上回るBTC上昇が続けば高い財務レバレッジが利益を押し上げるが、逆に下落局面では配当維持が重荷になる。投資家はBTC変動とMSTR株価が高い連動性を持つ点を理解し、ポートフォリオ全体のリスク管理を徹底すべきだ。
本稿は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。
(出典:CoinDesk,Business Wire,)