メタプラネット、750億円自社株買いを新設

▽ 要約

自社株買いは上限1.5億株・750億円、期間は1年で市場買付を予定。
BTC担保の5億ドル枠を設定し、資金は買い戻し・BTC追加取得・事業投資に活用。
資本配分方針ではmNAV1倍未満で自社株買いを優先する原則を明文化。
発表後は買い優勢、割安是正と資本効率の改善に期待。

メタプラネットはメタプラネット 自社株買い を750億円で新設し、BTC担保5億ドル枠と新資本配分方針でmNAV割れ時の還元を機動化する。
投資家の関心は「割安解消の切り札になるか」です。本件は上限1.5億株・750億円の自社株買いと、BTC担保の最大5億ドルクレジット枠を組み合わせた資本政策で、mNAVが1倍を下回る局面での買い戻しを明確化しました。2025-10-28公表の新しい資本配分方針は、普通株発行を抑制しつつ、BTCイールド最大化と1株価値の向上を両立させる狙いです。

メタプラネットの750億円自社株買いと資本配分方針

上限1.5億株(13.13%)・750億円を1年で市場買付するため、BTC担保5億ドル枠と新ポリシーを併用する方針が示された。
取締役会は2025-10-28に自社株取得枠(2025-10-29〜2026-10-28)を決議。取得方法は取引一任契約による市場買付で、原資は手元資金・永久型優先株・BTC担保クレジット・BTCインカム収益を想定。あわせて発表した資本配分方針は①優先株の積極活用②mNAV<1で普通株発行を原則抑制③mNAV<1での自社株買い執行を中核に据える。

要点(時系列)

市場ボラとmNAV低下を受け還元へ舵を切ったため、BTC保有3万超・発行済の13.13%を上限に割安修正を狙う動きに転じた。
(1)2025-06〜09に株価が急変動しmNAVが低下(0.98倍近辺の局面も)。(2)10-28に取得枠とクレジット枠、資本配分方針を同時開示。(3)以降は進捗と執行ペースが焦点。

背景

BTCトレジャリー戦略の拡大で株価とmNAVの乖離が拡大したため、プレミアム相場から割安相場への転換に備えたルール化が必要となった。
同社は約30,823 BTCを保有し、アジア最大級のBTCトレジャリー企業へと変貌したが、相場変動に伴いmNAVは大きく振れる。資本配分方針は、BTC価格変動や規制環境変化に耐える“規律”として機能する設計で、普通株発行と買い戻しの使い分けを明文化した。

市場への影響

需給改善と1株価値向上期待が先行したため、発表当日は後場で上げ幅を拡大し、短期の流動性需給はポジティブに傾いた。
取得枠は浮動株減少と1株当たり価値の押し上げに直結する一方、執行ペースと財源ミックス(手元資金・優先株・借入)のトレードオフ管理が不可欠。BTC担保借入は価格下落時の追加担保リスクがあるが、上昇局面では資金調達妙味が高まる。

論点とリスク

BTC担保のレバレッジは柔軟性を高める一方で下落局面の流動性リスクを増幅し得るため、執行とヘッジの規律が問われる。
(賛成)割安是正・EPS/1株BTCの改善・敵対的買収コスト上昇。(懸念)負債増・優先株の資本コスト・BTC下落時の担保リスク・規制環境の不確実性。

今後の注目点

初期3カ月の執行速度とmNAVの戻り、BTC相場・規制動向・優先株上場可否が評価分岐点となる。
買い戻し価格帯と消化ペース、優先株の設計・利回り、BTC価格の方向性、そしてアジア各所のDAT企業への規制スタンスがモメンタムを左右する。

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投資家・市場心理

強弱両論の中で「割安修正への期待」と「BTC依存への警戒」が併存し、アナリスト評価も分化している。
SNS/個人投資家は割安是正を歓迎する声がある一方、希薄化の副作用や調達継続に懸念も。7月にはBenchmarkのMark Palmer氏が「日本版MicroStrategy」と評価し目標株価2,400円を提示したが、その後の調整で見方は二極化した。

同業比較とトレンド

MSTRは発行でBTC増を志向する一方、メタプラネットは割安時の買い戻しで1株価値を高める戦略へ転じたため、資本政策の住み分けが鮮明だ。
国内ではコンヴァノが「21,000 BTC」方針を掲げDAT参入を加速するが、還元より蓄積フェーズが中心。アジアではDAT企業への規制警戒が強まり、HKEXやASXの動きが資本政策に影響し得る

▽ FAQ

Q. 自己株買いの枠と割合、期間は?
A. 上限は1.5億株(発行済13.13%)・750億円。期間は2025-10-29~2026-10-28で市場買付です。

Q. 資金手当ての内訳は?
A. 手元資金、永久型優先株、BTC担保の5億ドル枠、BTCインカム収益の複線で賄う設計です。

Q. BTC保有量とmNAV方針は?
A. 2025-10-28時点で約30,823 BTCを保有し、mNAV<1では自社株買いを適切に執行します。

Q. 発表後の株価反応は?
A. 後場で上げ幅を拡大し、割安是正と需給改善への期待が意識されました。

Q. 他社の動向と規制面は?
A. MSTRは発行中心、国内はコンヴァノがBTC蓄積を加速。アジア取引所はDAT警戒を強めています。

■ ニュース解説

発行増から還元へ軸足を移す方針が示されたため、mNAV割れ時の自社株買いと優先株活用を柱とする「規律ある還元+成長」体制に入った。一方でBTC担保調達は相場下落時の担保リスクを伴い、執行の速度とヘッジ設計が信用力に直結する。
投資家の視点:執行進捗(買付数量・平均取得単価)、mNAVの回帰、優先株条件、BTC相場と規制ニュース(HKEX/ASX)を点検し、還元と成長投資のバランスを継続評価する。

※本稿は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

(参考:メタプラネット