MetaMaskがTRONをネイティブ統合

▽ 要約

発表:2025年8月19日、MetaMaskがTRONを統合。
機能:TRX/TRC20送受金とDApp接続を順次提供。
設定:当面はRPC手動追加(Chain ID 728126428)。
影響:1億人超の接点でUSDT活用拡大が期待。

「MetaMaskでTRONはいつ正式に使えるのか?」という疑問に対し、MetaMask TRON ネイティブ統合が2025年8月19日にTRON DAOから発表された。順次反映後はTRX・TRC20・TRON DAppへ直接アクセスでき、既存のEVM系と同一UXで資産管理が可能になるため、ユーザーと開発者の双方に実務上の利点が大きい。

発表の要点—「ネイティブ統合」で何が変わるか

TRON DAOとMetaMaskの戦略的提携により、ウォレット側にTRONが正式実装されるため、サードパーティSnapや非公式RPCに依存せず直接利用可能になる。
MetaMaskはEthereum系やL2に限らず複数チェーンを単一UIで扱う方針を強化し、非EVM系対応の裾野も広げている。

対象機能とカバレッジ

ウォレットUIからTRX/各種TRC20の残高表示・送受金、DAppへの接続とトランザクション署名が行えるようになり、Solanaなどに続く非Ethereum系チェーン対応の拡大となる。
ステーキング(フリーズ)やスーパーレプレゼンタティブへの投票もMetaMask上の操作で完結する見込みだ。

使い方—自動反映までの「手動追加」手順

反映完了前でもEVM互換JSON‑RPCで手動追加できるため、検証・運用を先行できる。
ネットワーク追加(例)

  • ネットワーク名:TRON
  • RPC URL:api.trongrid.io/jsonrpc
  • チェーンID:728126428(TRON EVMメインネット)
  • 通貨記号:TRX
  • ブロックエクスプローラ:tronscan.org

注意:正式統合後はMetaMaskのネットワーク一覧からワンクリック選択が可能になる見込み。

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技術的背景—TVM/EVM互換とJSON‑RPC

TRONはTVMによりEVMと高い互換性を持つため、Ethereum互換のJSON‑RPC経由でMetaMaskのWeb3インターフェイスが機能する。
Solidity資産の再利用が容易で、Truffle/Remix系ツールの知見を生かしやすい。

コンセンサスとリソースモデル

TRONはDPoSとBandwidth/Energyのリソースモデルにより低手数料・高スループットを特長とし、MetaMask統合でもガス設定や履歴など既存UXが踏襲される。
ユーザーはEnergy消費などの概念を意識せず送信でき、バックエンドで最適化される。

エコシステム・市場への影響

MetaMaskの1億人超のユーザー接点がTRONに加わるため、USDTを中心とする決済・DeFiの流入が拡大しうる。
TRON側は2025年8月時点で総アカウント3.24億、累計取引110億件超、TVL260億ドル超、USDT流通820億ドル超を公表しており、受け皿はすでに大規模だ。

市場反応と位置づけ

発表前後にはTRXの注目度が上がり、流動性増への期待が指摘された一方で、価格は地合いの影響を強く受ける。
短期イベントの材料化にとどまらず、実需に結び付く継続指標の観測が重要となる。

公式コメントの要旨

TRON DAOのSam Elfarra氏は「MetaMaskの広大なユーザー基盤と信頼性はDAppの重要なゲートウェイ」と述べ、MetaMaskのAngel Gonzalez‑Capizzi氏は「アジアで強いTRONの存在感が橋渡しになる」と強調した。
創設者のJustin Sun氏も「実世界での採用に向けた前進」と評価している。

▽ FAQ

Q. いつからMetaMaskでTRONが使えますか?
A. 2025年8月19日に提携発表。最新版MetaMaskへ順次展開し、TRXとTRC20の直接利用が可能になります。

Q. 何ができるようになりますか?
A. TRX・USDT‑TRC20の送受金、TRON上DAppへの接続や署名、NFT取引などが標準UXで行えます。

Q. 手動追加の設定値は?
A. RPCはapi.trongrid.io/jsonrpc、Chain IDは728126428、通貨TRX、Explorerはtronscan.orgです。

Q. TRONの規模は?
A. 2025年8月時点でアカウント3.24億、累計取引110億件超、TVL260億ドル超と公表されています。

■ ニュース解説

TRONのMetaMaskネイティブ統合が2025年8月19日に発表されたため、非Ethereum系チェーン対応の拡大が進み、USDT決済などTRONの実需領域での採用加速が見込まれる一方で、短期の価格変動は市場全体の地合いに左右される。

投資家の視点:流入・定着の見極めには①MetaMask経由のTRC20アクティビティ(USDT移転量)、②TRON上DAppの接続・署名件数、③TVL・アカウント増加の持続性、④公式ウォレット更新の配信速度とRPC可用性を追うのが実務的である。ボラティリティやUI変更リスク、エコシステム間の競合も勘案し、段階的な運用テストから始めたい。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:TRON DAO