1月9日 市場構造:流動性と規制

▽ 要約

市況:ETF流出と薄い板でボラ増幅
規制:米CLARITY法案が2026-01-15審議へ
企業:Babylon資金調達とGT焼却で需給調整
リスク:北朝鮮関連の盗難$3.4B超と洗浄45日

ETFフローと規制審議が同時進行するなか、流動性の薄さが価格形成を左右しやすい。上場・焼却・資金調達とセキュリティ指標から1月9日の論点を整理する。

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暗号資産は「次の上昇局面」より、なぜ値動きが歪むのかが問われている。結論は、流動性・規制・取引所の上場権、そしてセキュリティが絡む市場構造の変化を押さえることだ。本稿ではETFフローから予測市場、事件・資金調達までを解説します。

市況総括

ETFフローと大口ポジションの偏りが、薄い流動性下で値動きを増幅させている。

ETFフローと大口ポジション

米国の現物ETFからの資金流出が続く一方、デリバティブではロングの積み上がりが目立つ。

ビットコイン現物ETFは2026-01-07(米東部)に$486Mの純流出となり、短期の需給を押し下げた。FidelityのFBTCが$248M、BlackRockのIBITが$130Mと流出が大きく、AUMは$118.364Bと整理されている。

デリバティブ側では「Strategy対手盤」のロングが$205M、巨鲸「pension-usdt.eth」が$60.87Mまで膨らんだ。保有銘柄がBTC・ETH・SOL・XRPなどに分散していても、薄い板では清算連鎖が先に起きやすい点は変わらない。

薄い流動性の可視化(予測市場も含む)

板の厚みが戻らない局面では、現物・デリバ・予測市場のいずれでも「出来高がない」ことが最大のリスクになる。

CoinDeskが引用したBitMEX Researchでは、現物の市場流動性が2022年以来の低位にとどまり、2025-10-11の崩壊が転機になったと整理した。報告では当日だけで約$20Bの連鎖清算が起き、裁定(デルタニュートラル)収益は年率4%未満に沈むなど、マーケットメイカーの採算が悪化したとされる。

Polymarketの29.5万市場分析では、周期7日未満が67.7%と短期偏重だが、進行中短期市場の63.16%は24h出来高0だった。短期(1日未満)の平均出来高はスポーツ$1.32Mに対し暗号資産は$44Kで、長期(30日超)は平均流動性$450K、米政治は平均流動性$811Kへ集中している。

規制・政策アップデート

ルールの確定は価格の先行指標になりにくいが、資金の入退出コストを変えるため中期の市場構造に効く。

米上院銀行委員会はデジタル資産市場透明度法案(CLARITY法案)の審議日を2026-01-15に設定した。Tim Scott委員長は1月初の協議を経て投票方針を示し、2026-01-30の政府支出期限(停滞回避)を意識した日程観も示されている。

上海二中院の研究会では、個人の持币・売買は原則として「非法经营罪」に当たらないとしつつ、外汇の違法売買を知りながら暗号資産兑换で助けた場合は共犯になり得ると整理した。洗钱事件での主観的認識の判断や、既遂の基準の取り方も論点として挙げられている。

中国公安部は2026-01-07にカンボジアで拘束された跨境赌诈犯罪集团首謀者・陈志(中国籍)を金边から中国へ押解したと発表した。陳志グループは開設赌场、诈骗、非法经营、犯罪所得の隠匿などが疑われ、当局は骨幹メンバーの通缉も示唆している。

企業・資金調達・プロジェクト動向

資金調達は「利回り×貸借」や企業会計など、実務インフラに集中している。

Babylonはa16z Crypto主導で$15Mを調達し、ステーキングしたBTCを担保にステーブルコインを借りる仕組みを2026年Q2にAaveへ統合する計画だ。BTC利回りの金融化が進むほど、担保管理と清算設計が価格安定のカギになる。

企業向けではFireblocksが暗号会計TRES Financeを$130Mで買収し、管理・監査の整備を加速させた。伝統金融ではモルガン・スタンレーが現物Ethereum ETFの申請を行ったとされ、オンチェーン資産の保有手段がさらに多層化しうる。

トークン需給ではGateToken(GT)が2025年Q4に2,163,900.48229 GT($26.92M超)を焼却し、累計184,819,426 GT($1.901B超)まで供給を圧縮した。GateChain開始時の3億枚から約61.61%の減少としており、通縮設計を「使われるガス」と接続できるかが論点になる。

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消費者向けの配布・上場イベントも続く。Solana MobileはSeeker向けに2026-01-21 12:00 JST(2026-01-21 10:00 UTC+8)に20億SKRを空投予定とした。Binanceも2026-01-09 12:00 JST(11:00 UTC+8)に一部取引ペアを上場廃止する予定で、同日にはAlphaでDeepNode(DN)を新規掲載し空投も計画している。

決済・ウォレットではRumbleとTetherが非托管の「Rumble Wallet」を発表し、BitcoinとUSDT、Tether Gold(XAUt)をサポートする。プラットフォーム内でクリエイターへのチップ機能も想定しており、オン/オフランプにはMoonPayを採用するとされる。

Binance周辺では「上場権」が最大の論点になりやすい。何一(He Yi)の投稿をきっかけにミームコインが生成・注目される事例や、CZ(赵长鹏)が回想録の中文名を「币安人生」とする可能性に言及しつつミームとの無関係を強調した件は、情報と流動性が短期で結び付く典型といえる。

論点とリスク(セキュリティ・AI・ガバナンス)

大規模事件の「極端値」と、AI時代のデータ争奪が、リスクプレミアムを押し上げる。

Chainalysisによれば2025年の暗号資産盗難額は$3.4B超で、2025-02のBybit事件だけで$1.5Bを占めた。北朝鮮関連は$2.02Bで前年比+51%とされ、洗浄は約45日、個人ウォレット盗難は158,000件・被害者80,000人といった統計も示されている。

跨境赌诈の取り締まりは、取引所・OTC・ブリッジ・混币などの出口を経由する資金に波及し得る。陈志事件では米司法省が2025-10に被害総額「数十億ドル」として起訴し、$14B超のBTCを押収したと報じられており、資金経路の遮断が同時多発的に進むリスクがある。

AIが「物理世界」へ広がるほど、プライバシーと本人性が競争力になる。CES 2026では具身AIやAIハードが前面に出ており、李飞飞(Fei-Fei Li)は空間知能(Spatial Intelligence)が次の波になると論じた。a16zが2026年の競争優位としてプライバシーを挙げたという見立ても、ウォレットUXと規制順守の両立を迫る。

算力を「新石油」、BTCを「新黄金」と見る見方は、RWAやステーブルコインの制度整備と同時に検証が必要だ。Waterdrip CapitalはNVIDIAの時価総額が2025年10月に$5Tへ達したことや、巨大テックの投資が約$300B規模に膨らむ点を挙げ、算力の金融化(RWA化)とBTCの価値保存機能を対比させた。

2026年の相場観は「4年サイクル」よりも、BTC・ステーブルコイン・RWA・アプリの役割分化で捉えるべきだ。火币成长学院は、資金の目的が短期売買から配置・ヘッジ・機能利用へ分化するほど、価格は物語ではなく構造で決まると整理している。

▽ FAQ

Q. CLARITY法案とは?
A. 米上院銀行委が2026-01-15に審議、Tim Scott委員長の下で監督権限を整理し2026-01-30期限前の採決を狙う。

Q. 北朝鮮関連ハッキングの規模は?
A. Chainalysisは2025年の被盗額$3.4B超とし、北朝鮮分は$2.02B(+51%)で洗浄は約45日と推計した。

Q. GateTokenの焼却はどの程度進んだ?
A. Gate発表で2025年Q4に2,163,900.48229 GT($26.92M超)を焼却、累計184,819,426 GTで供給は約61.61%減。

Q. Polymarketの流動性は実際どうか?
A. 29.5万市場の分析で周期<7日が67.7%、進行中短期の63.16%が24h出来高0。短期平均出来高はスポーツ$1.32M、暗号$44K。

Q. Solana MobileのSKRはいつ配布?
A. Solana MobileはSeekerユーザー向けに2026-01-21 12:00 JSTに20億SKRを空投予定で、配布条件と受領手続きの確認が必要。

■ ニュース解説

ETF流出と規制審議が並走するため、短期は流動性の薄さが値動きを増幅しやすい一方で、企業のインフラ投資とトークン需給管理は着実に進む。ただし、巨額ハッキングや跨境犯罪の摘発はリスク許容度を急変させ得る。
投資家の視点:フロー(ETF/デリバ)、ルール(審議日程と適法範囲)、供給(焼却・配布)、セキュリティ(被害の極端値と洗浄経路)を同一フレームで点検したい。

※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

(参考:PANews