James Wynn:貧困街出身の“ハイリスキー”が挑む12億ドルの仮想通貨ゲーム

【要約】
・James Wynnは貧困地域で育ち、わずか数ドルから仮想通貨投資で莫大な利益を上げた人物
・2024年にPEPEで数千万ドルの利益を得たことで「ハイリスキー」の異名を獲得
・その後、複数のMEMEコインで「喊単(かんたん)」による影響力を行使し、コミュニティとの軋轢を招いた
・2025年にHyperliquidへと戦場を移し、12億ドルものハイレバレッジポジションを保有して注目を集める
・最近ではBTC空売りを拡大し、高リスクな取引を継続中

James Wynnとは何者か

James Wynnは、英国の治安が悪い地域で生まれ育ったと自称しています。周囲には犯罪や薬物が蔓延し、本人も「週の食事を賄うのがやっとだった」と語っています。そんな彼が仮想通貨業界で頭角を現したのは2022年頃です。当初は“ハイリスキー”グループの一員としてごく少額の資金でMEMEコインに積極参加し、数々の小規模トークンを渡り歩いてきました。

PEPEでの大成功

James Wynnが名を馳せる決定打となったのがPEPEです。2023年頃からPEPEの情報発信に力を入れ、「PEPEの時価総額は数十億ドルに達する」とSNSで強気に宣言し続けました。結果的にPEPEは2024年10月に時価総額100億ドルを超え、James Wynnは最初に投入した約7600ドルの元手から最終的に5000万ドル以上の利益を得たと推定されています。

“収益拡大”から“収割騒動”へ

PEPEで莫大な利益を得た彼は、その勢いでBIAOやANDY、WOLFなどのMEMEコインをSNS上で推薦し、“喊単”とも呼ばれる形で投資家を呼び込みました。特に2024年4月にはELONというトークンを強くプッシュし、買い煽りをしたのちに、自身の複数ウォレットで保有していたELONを高値で一気に売り抜けました。この操作によってELON価格は瞬間的に70%近く暴落し、多くの投資家が被害を被ったのです。
この騒動を機にJames Wynnの評判は一時大きく下落。コミュニティからは「信用できない」「投資家を食い物にした」などの声が相次ぎました。

先物取引への転身

批判の声が高まる中、2024年後半からはMEME銘柄のプロモーションを控え、投資家視点での市場分析やビットコインに関する見解を中心に投稿し始めました。SNSのアカウント名も「James Wynn巨鯨」に変更し、まるで自分はプロのトレーダーであるかのような印象を強めています。
2025年3月以降、James WynnはHyperliquidという取引所に約600万ドルの証拠金を投入し、高レバレッジの先物取引を開始。たった2か月で4800万ドルもの利益を生み出したとも伝えられます。彼が好んで取引するのは、ビットコインやPEPE、TRUMP、FARTCOINなど少数の銘柄です。

12億ドルのハイレバレッジポジション

特に注目を集めているのが、2025年5月24日までに築き上げた合計12.5億ドル相当の大口ポジションです。James Wynnは約22倍のレバレッジをかけており、市場が5%ほど逆行しただけで全ポジションが清算されかねない非常に危険な取引を行っています。実際、5月24日には巨額ポジションを決済し、約1339万ドルの損失を確定させました。それでも過去のトレード込みでは約4000万ドルの利益が残っているといいます。
さらに5月25日には、40倍レバレッジのBTC空売りを開始。徐々に追加でポジションを積み増し、1.95億ドル→7.41億ドル→9.38億ドルと拡大。清算価格が現値に接近しながらも取引を継続しています。本人はSNSアイコンを李小龍に変えるなど、まるで“武道家”さながらの不退転の姿勢を示しています。

市場への影響

James Wynnのような巨鯨投資家の派手なポジション取りは、時に追随トレーダーを増やし、価格変動を加速させます。一方で、トレード内容をオープンにすることで注目を集め、周囲の過度な期待や反感を引き起こす懸念もあるでしょう。著名トレーダーEugeneが「あまりに大きな負の影響が広がらないか見極める必要がある」と述べているように、James Wynnのハイレバ戦略は多くのプロにもリスクと映っています。

ニュースの解説

近ごろは『金持ち父さん 貧乏父さん』著者のRobert Kiyosakiが「次の経済危機に備えてBTCや現物の金・銀を蓄えるべきだ」と発信するなど、加熱気味の投資環境に冷静な視点を促す声も聞こえます。James Wynnのように超高リスクのポジションを構築し、短期の大勝負を挑むスタイルは、市場のボラティリティを大きく揺さぶる要因になるでしょう。一方で、本人がPEPE投資などで得た莫大な原資を背景にしていることを考えれば、一般トレーダーが安易に追随するのは極めて危険です。仮想通貨の魅力である高い投資リターンの裏には、同じだけのリスクが常に潜んでいることを、改めて示す事例といえます。