EXPO2025デジタルウォレットとUSDC

▽ 要約

キャッシュレス:会場全域でミャクペ!等が利用可能。
USDC交換:Aptos上で相互交換を段階導入予定。
JPYC:2025年秋に正式発行、円1:1で償還可能。
技術基盤:Aptos×SBT×XRPLで大規模運用。

会場全面キャッシュレスの実装を担う公式アプリが、電子マネー・ポイント・NFT・デジタルIDを束ねる統合基盤となったため、EXPO2025 デジタルウォレット USDCの導入は来場者の決済利便と国際対応を同時に引き上げる。海外向けUSDC交換、国内向けEXPOトークンとJPYCの接続が見込まれ、万博後の社会実装に橋を架ける。

ウォレットの機能と目的

来場体験を「支払う・貯める・集める・つながる」で一体化し、既存決済網とブロックチェーンを併用するハイブリッド設計のため、会場全面キャッシュレス運用とデータ連携が実現した。
ミャクペ!(電子マネー)はVisaのタッチ決済・オンライン決済とNTTドコモのiDに対応し、会場内外の加盟店で利用できる。ミャクポ!(ポイント)は来場行動に応じて付与・交換でき、ミャクーン!(NFT)は限定デザインの取得・閲覧でデジタル記念体験を拡張する。さらにSBT(ソウルバウンドトークン)を用いたExpo ID連携で、本人確認済アカウントの証明や予約・特典と結び付き、参加意欲を高める。顔認証決済や会場ラウンジ利用などの「ミャクミャクリワードプログラム」も備え、チャージやミッション達成でランクが上がる仕組みだ。

会場・全国での決済対応

Visa・iD・二次元コード・オンライン決済に対応するため、万博限定に閉じない日常利用と国際ECでの使い勝手が確保された。
会場内は二次元コード決済に加え、顔認証決済にも対応する。会場外ではタッチ決済対応の全国のVisa加盟店やiD加盟店で使える。オンラインではVisaネットワークに対応し、海外加盟店の利用も可能だ。上限は残高10万円・1回のチャージ10万円・月間チャージ12万円で、家計管理やイベント決済に過不足ない設計となっている。

エンゲージメント設計(リワードと特典)

ランクに応じて特設ラウンジや撮影特典が開放されるため、参加行動が自然に増える。
リワードは「exp」で可視化され、チャージに加え、Face登録・ID連携・チケット保有・イベント参加などで大量獲得が可能だ。最上位「レジェンド」到達には高いexpが必要だが、会期前からの参加やミッション達成で現実的に狙える。

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USDC・JPYCの導入計画と用途

安定通貨との交換機能を段階導入するため、海外来場者の両替負担を軽減しつつ国内の制度整備と歩調を合わせた展開となる。
ハブとなるのは1コイン=1円相当のEXPOトークンで、チャージ残高として全国のVisa/iDで利用できる。2025年5月以降、Aptos上のUSDCとの交換機能を段階導入する計画が示されており、会期後半に利用拡充が見込まれる。海外来場者は手持ちのUSDCをEXPOトークンへ交換して円相当で支払いに充当でき、残高は必要に応じて戻す運用が可能になる想定だ。円建てのJPYCは2025年8月18日に資金移動業登録を得て今秋に正式発行・償還を開始予定で、万博後の社会実装を見据えた統合対象となりうる。

EXPOトークンの使い道

会場体験のインセンティブと日常決済の橋渡しとなるため、トークン配布→消費→体験の循環が設計できる。
EXPOトークンはミッション/スタンプやイベント参加で配布され、ミャクペ!残高に変換して飲食・物販に使える。KYC済み同士のP2P送付も可能で、グループ内の費用分担やチケット代相当の送付に活用できる。SBT基盤で譲渡先制御が効くため、不正移転やなりすましリスクを抑えられる。

為替・手数料・KYC

デジタル両替で為替手数料の透明化が進む一方、KYC/AML手続は不可避なため、UI/UXで負担軽減が鍵となる。
USDC↔円相当交換では市場レートとスプレッドが適用される。Aptosのトランザクションは数千分の1ドル水準と低廉で、リアルタイム送金やインセンティブ配布のコストを抑制できる。国内では資金決済法と金融庁ガイドに沿ったKYC/AMLが必要で、追加認証や上限管理が導入される見込みだ。

技術基盤(Aptos・SBT・NFT)

高速・低手数料のAptosとSBT/複数チェーンNFTを組み合わせたため、UXを損なわず大規模配布と監査性が両立した。
Aptosは大規模並列処理と低コストで、EXPOウォレットはAptos公式パートナーとして稼働。開幕直後からオンチェーンでアカウント作成や配布が進み、5月時点で累計トランザクション55.8万件、新規アカウント13.3万件などの運用実績が公表された。NFTの「ミャクーン!」はSBINFTが技術提供し、XRPL上での発行も採用され、SBI VCトレードの閲覧サイトへ移管される動線が整備されている。SBTはKYC完了の証として機能し、トークンの転送先制御とサービス連携の鍵になる。

決済インフラとの統合

既存ブランド決済を裏側で束ねるため、来場者はチェーン差や鍵管理を意識せずに使える。
ミャクペ!は三井住友フィナンシャルグループの枠組みでVisa/iDに対応し、全国230万台超の端末で利用可能。会場ではstera端末や顔認証を活用し、約70種のブランド決済と共存する。Web2の口座・カード連携とWeb3の資産管理をHashPort基盤で抽象化した構造だ。

▽ FAQ

Q. USDCはいつ・どこで使える?
A. 2025年会期後半に段階導入見通し。Aptos上USDCとEXPOトークンの交換をウォレット内で提供予定。

Q. JPYCはどう変わる?
A. 2025年8月18日に資金移動業登録、今秋にJPYC(電子決済手段型)正式発行・償還開始予定。円と1:1で扱える。

Q. 会場の対応ブランドは?
A. ミャクペ!に加えVisaのタッチ・オンライン、NTTドコモのiDに対応。会場内は顔認証決済も利用可能。

Q. 上限や目安手数料は?
A. ミャクペ!残高・チャージ各10万円、月間12万円。Aptosのオンチェーン手数料は1回あたり極小で実用的。

■ ニュース解説

USDC交換は2025年5月以降の段階導入が計画され、JPYCは2025年秋に電子決済手段として正式発行されるため、会期後半はドル・円の安定通貨を軸に国際決済の実証が深まる一方でKYCや為替スプレッド管理の運用設計が焦点となる。
投資家の視点:ステーブルコイン実装は規制順守・流動性・UIの三位一体で評価される。短期はUSDCのオンランプ/オフランプ整備とEXPOトークン循環の定着、中期はJPYCの商用展開と銀行連携(Progmat等)による相互運用性を注視したい。規制・手数料・チャネル拡大のKPIで実需の伸びを見極めるのが無難。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:日本国際博覧会協会,HashPort,公式FAQ