イーサリアム(Ethereum)3日間で40%急騰、その理由を徹底解説

【要約】
・イーサリアム(Ethereum)が3日間で約40%も急騰し、SNSなどで大きな話題に
・Abraxas Capitalが取引所から約18万5,000ETH(約3.99億ドル相当)を引き出し
・Lidoのオラクル多重署名ウォレットがハッキング被害を受け、1.4ETHが盗難
・イーサリアムの時価総額がコカ・コーラを上回り、世界資産ランキング40位に
・低レバレッジ(2倍)でETHをロングしていた巨鯨が、3日間で約1,000万ドルの含み益を獲得
・世界的な貿易摩擦の緩和が加密資産市場全体を押し上げ、ビットコイン(BTC)も10万ドル台を回復
・Coinbaseが29億ドルでDeribitを買収する動きも大きな話題に

イーサリアム3日間で40%急騰が話題に

2025年5月上旬、イーサリアム(Ethereum)がわずか3日間で40%近い価格上昇を記録し、多くの投資家やアナリストの注目を集めています。実際の価格は約1,800ドルから最大で2,600ドルに迫り、SNS上では「イーサリアムが3日間で40%急騰──いったい何が起きたのか?(3日間で40%暴騰、イーサリアムに何が起きた?)」という話題が急上昇し、ショート動画プラットフォームの抖音(Douyin)でも人気トピックの1位となりました。この急騰により、イーサリアムは主要な暗号資産の中でも際立った値動きを示し、時価総額や取引量で他のコインを上回る急伸ぶりを見せています。短期的な上昇要因としては、技術アップグレードへの期待、高まる機関投資家の需要、そして世界的な貿易摩擦緩和による市場心理の改善などが挙げられます。

大口投資家Abraxas Capitalの動向

Lookonchainのデータによると、ここ3日間でAbraxas Capitalが取引所から185,309ETH(約3.99億ドル相当)を引き出したことが確認されています。こうした大口投資家の買い増しや大量引き出しは、市場の需給バランスを大きく変動させる可能性があります。

イーサリアム価格が1,800ドル付近から一時2,600ドル近くまで急伸したタイミングと重なっており、このような大規模な引き出しがさらなる上昇圧力につながったとみられています。

Lidoオラクル多重署名ウォレットへのハッキング

Defillamaの創業者0xngmiによれば、Lidoのオラクル多重署名ウォレットの1つのアドレスが何者かにハッキングされ、1.4ETHが盗難される事件が発生しました。幸い被害総額は大きくありませんでしたが、ウォレットが不正侵入されていることが比較的早期に発覚したことで対策が講じられたとみられています。

さらに、0xngmiは“多重署名ウォレットにいくつか少額のコインを入れておくことで、ウォレットが侵害された際にアラートを出すカナリアとして機能する”と指摘し、今後のセキュリティ対策を強化する必要性を示唆しました。

イーサリアムの時価総額がコカ・コーラを上回る

暗号資産の市場データサイト8marketcapの最新情報によると、イーサリアムの時価総額が一時3,000億ドルを突破し、コカ・コーラ(約3,035.3億ドル)を超えて世界資産時価総額ランキングの第40位に浮上しました。

この急伸はイーサリアムの価格上昇と連動する形で起こり、暗号資産が伝統的な上場企業の時価総額を上回る動きに、多くの投資家が改めて関心を寄せるきっかけとなっています。

レバレッジ取引による巨額利益

Lookonchainのモニタリングデータでは、ある巨鯨トレーダーがイーサリアムを2倍の低レバレッジでロングしていた結果、3日間で1,000万ドル以上の含み益を得たことが確認されました。一般的にレバレッジ取引はハイリスク・ハイリターンですが、比較的低めのレバレッジ設定が功を奏した格好です。

イーサリアムの短期的な急騰は、空売り(ショート)ポジションの大量清算(ショートスクイーズ)を誘発し、結果的にさらなる上昇を後押ししたと考えられています。
 

トレード摩擦緩和による市場心理の改善

今回の暗号資産市場全体の上昇には、世界規模の貿易摩擦が一部緩和傾向を見せている点も大きく影響しています。5月8日、米国と英国が一部製品の関税を撤回する新たな貿易協定を締結。また、5月10日にはスイス・ジュネーブで米中経貿ハイレベル会合が行われました。

これらの外交的前進により、リスク資産への投資意欲が高まり、ビットコイン(BTC)の価格も10万ドル台を回復。Nexoの共同創設者であるトレンチェフ氏は「ビットコインの動きは投資家心理回復の証であり、暗号資産市場が再度注目を浴びている」とコメントしています。

CoinbaseのDeribit買収

さらに、市場をにぎわせているもう一つの重要ニュースが、米国の大手暗号資産取引所CoinbaseによるDeribitの買収です。報道によれば、Coinbaseは29億ドル(現金7億ドル+株式支払い)の取引で、世界最大規模の暗号資産デリバティブ取引所を手中に収めました。

Deribitの昨年の取引量は1.2兆ドル近くに達しており、この買収は暗号資産業界史上最大規模のM&A(合併・買収)とされています。Coinbaseがデリバティブ市場に本格進出することで、イーサリアムを含む主要コインの先物・オプションなどの取引量拡大がさらに見込まれると専門家は指摘しています。

ニュースの解説

今回のイーサリアム急騰劇には、技術アップグレードへの期待や大口投資家の存在が大きく作用しました。特に「Pectraアップグレード」による手数料の最適化や利便性向上が投資家の注目を集めたこと、そして大規模な空売り清算が加わって上昇が加速した形です。また、世界的な貿易摩擦の緩和がリスク資産全般にポジティブな風を吹かせ、ビットコインや他の主要アルトコインの価格にも好影響を与えました。

加えて、CoinbaseがDeribitを買収したことにより、デリバティブ取引の拡大・多様化が加速し、相場のボラティリティ(変動幅)が高まりやすい環境が生まれています。これらの要因が重なった結果、イーサリアムは3日間で40%を超える力強い上昇となり、時価総額がコカ・コーラを上回るという記録的な快進撃を成し遂げました。

イーサリアム(Ethereum)は今後もさまざまな技術的改良やアップグレードが予定されており、セキュリティ面やスケーラビリティを高める取り組みは続いていきます。一方で、市場は依然としてボラティリティが高く、不正アクセスやハッキングのリスクも小さくありません。今後もイーサリアムを含む暗号資産市場から目が離せない状況が続くでしょう。

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