この記事の結論
- 法定通貨の価値と連動するいわゆるステーブルコインの仲介等を業として行うには、資金決済法にもとづく「電子決済手段等取引業」の登録が必要です。この制度は令和5年6月1日から開始されました。
- 銀行法にもとづく「電子決済等取扱業」も同じ令和5年6月1日から始まっています。名称が似た「電子決済等代行業」とは別の制度です。
- さらに令和8年6月1日からは「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」の制度が開始され、電子決済手段等取引業者または暗号資産交換業者の委託を受けて媒介のみを行う場合は、この登録で業務が可能になりました。
本記事は2026年9月10日時点で金融庁サイトに掲載されている情報にもとづきます。
ステーブルコインの規制は暗号資産とは別枠
日本では、暗号資産の売買・交換サービスを業として行う場合は「暗号資産交換業」の登録が必要です(平成29年4月1日から)。一方、法定通貨の価値と連動するいわゆるステーブルコインは「電子決済手段」として整理され、その仲介等を業として行う場合には別の登録制度が用意されています。それが「電子決済手段等取引業」です。
金融庁のサイトには、令和5年6月1日から「電子決済手段等取引業・電子決済等取扱業」に関する新しい制度が開始され、国内でこれらを営むにはそれぞれ資金決済に関する法律・銀行法にもとづく登録が必要になったと記載されています。
3つの登録制度の整理
| 制度 | 根拠法 | 開始時期 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 暗号資産交換業 | 資金決済法 | 平成29年4月1日 | 暗号資産と法定通貨の交換サービス等 |
| 電子決済手段等取引業 | 資金決済法 | 令和5年6月1日 | いわゆるステーブルコイン(電子決済手段)の仲介等 |
| 電子決済等取扱業 | 銀行法 | 令和5年6月1日 | 同上(銀行法側の枠組み) |
| 電子決済手段・暗号資産サービス仲介業 | — | 令和8年6月1日 | 電子決済手段等取引業者・暗号資産交換業者の委託を受けた媒介のみを行う者 |
令和8年6月1日から始まった仲介業
金融庁のサイトによれば、令和8年6月1日から「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」に関する新しい制度が開始されました。電子決済手段等取引業者または暗号資産交換業者の委託を受けて、国内で次の行為のいずれかのみを当該業者のために業として行う場合は、この仲介業の登録を行うことにより業務として行うことが可能になります。
- 電子決済手段の売買又は他の電子決済手段との交換の媒介
- 暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換の媒介
登録業者の確認方法
金融庁は、暗号資産交換業者と電子決済手段等取引業者のそれぞれについて登録一覧をPDFとExcelで公開しています。利用を検討しているサービスの運営会社名が一覧に載っているかを、必ず金融庁のドメイン(fsa.go.jp)から確認してください。事業者側が自称する「ライセンス取得済み」といった表示をそのまま信用するのは危険です。
- 暗号資産交換業者登録一覧
- 電子決済手段等取引業者登録一覧
あわせて金融庁は、無登録で暗号資産交換業を行う者について、警告書の発出を行った国内業者と海外所在業者(所在不明を含む)の一覧も公開しています。勧誘されたサービスがこの警告リストに載っていないかも確認してください。
制度設計を議論してきた会議体
金融庁のサイトには、この分野の制度設計に関する報告書が並んでいます。「仮想通貨交換業等に関する研究会」報告書(平成30年12月21日公表)、金融審議会「資金決済ワーキング・グループ」報告書(令和4年1月11日公表)、金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」報告書(令和7年1月22日公表)、金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」報告(令和7年12月10日公表)です。制度の方向性を追いたい場合は一次資料としてこれらを確認できます。
なお、資金決済法の改正(令和2年5月1日施行)により、法令上「仮想通貨」は「暗号資産」へ呼称変更されています。
登録があれば安全、ではない
登録の確認でわかるのは、日本の法令にもとづく登録を受けているか、分別管理等の義務が課されているか、警告を受けた無登録業者かどうかです。取り扱う資産の価格が下がらないことや、ハッキング等の事故が起きないことを保証するものではありません。登録は最低限の出発点として扱ってください。
よくある質問(FAQ)
電子決済手段等取引業とは何ですか?
法定通貨の価値と連動するいわゆるステーブルコインの仲介等を業として行う場合に必要となる、資金決済に関する法律にもとづく登録制度です。金融庁のサイトによれば、この制度は令和5年6月1日から開始されました。銀行法にもとづく「電子決済等取扱業」も同日から始まっています。
暗号資産交換業の登録とは何が違いますか?
暗号資産交換業は、国内で暗号資産と法定通貨との交換サービスを行う場合に必要な登録で、平成29年4月1日から制度が開始されています。電子決済手段等取引業は、法定通貨の価値と連動するステーブルコイン(電子決済手段)を対象とする別の登録制度です。金融庁は両者の登録一覧をそれぞれ公開しています。
登録業者かどうかはどこで確認できますか?
金融庁のサイトで「暗号資産交換業者登録一覧」と「電子決済手段等取引業者登録一覧」がPDFとExcelで公開されています。必ず金融庁のドメイン(fsa.go.jp)からたどって確認してください。あわせて、警告書の発出を行った無登録の国内業者・海外所在業者の一覧も公開されています。
出典(一次情報)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言・税務助言ではありません。個別の判断は専門家や公的機関の一次情報をご確認ください。




