【要約】
・SECが5月12日に第4回暗号資産ラウンドテーブルを開催:ベライダ、フィデリティ、ナスダックなどの大手金融機関が出席予定
・米4月CPI発表:5月13日20:30(日本時間)にインフレ率が明らかに
・VanEckが新仮想通貨関連ETFを5月14日にローンチ:暗号経済全体への幅広い投資機会を提供予定
・主要トークン大量アンロック多数:5月13日から15日頃にかけてAptosやArbitrum、Avalancheなどが続々解除
・BlockFiが債権者へ5月15日までに破産賠償請求を呼びかけ:アメリカ外ユーザーの申請率は43%に留まる
・BSVホルダーが2019年のバイナンス下架問題で再度集団訴訟を検討:最大100億ポンド(約130億ドル)の損害を主張
・ソラナのDePIN(物理インフラネットワーク)系プロジェクト:HeliumやHivemapperを含む複数プロジェクトの4月実績が上向き
SEC第4回ラウンドテーブル開催 ~5月12日~
米国証券取引委員会(SEC)は、5月12日に暗号資産に関する第4回ラウンドテーブル「代币化:資産のオンチェーン化―伝統金融とDeFiの交点」を開催します。議題は「金融の進化:資本市場2.0」や「代币化の将来像」に及び、SEC主席ポール・アトキンス(Paul S. Atkins)氏や、仮想通貨(暗号資産)部門を率いるリチャード・ギャバート氏、さらにフィデリティ(Fidelity)やナスダック(Nasdaq)、ベライダ(BlackRock)といった大手金融機関の重役が集結する予定です。
今回のSECのラウンドテーブルは、3月に始動した暗号資産規制イベント・シリーズの一環であり、伝統金融と暗号資産の融合点がどこにあるか、各社トップの見解が注目されます。
5月13日の米4月CPIに注目
5月13日20時30分(日本時間)に発表予定のアメリカ4月CPI(消費者物価指数)は、今後の金融政策やビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)等の価格に大きく影響する可能性があります。インフレ率が予想以上に高止まりすれば利下げ観測が遠のき、市場が混乱するシナリオも考えられます。
一方、CPIが安定または低下傾向を示せば、暗号資産市場のリスクオンムードが続くとの見方も存在します。BTC価格は10万ドル台を回復し、アルトコイン(山寨コイン)全般にも買いが入っている状況から、さらに上昇トレンドが強まるか注目されます。
VanEck、新仮想通貨ETFを5月14日にローンチ
5月14日に、世界的な運用会社VanEckが暗号関連ETF(上場投資信託)「NODE」をローンチします。BTCマイニング企業や仮想通貨取引所、データセンター等に紐づいた最大130銘柄から、30~60銘柄を選択して投資するアクティブ戦略を採用。1つのETFを通じて暗号経済全体に幅広く投資できる点が特徴です。
大手企業のETF参入が続けば、これまで直接暗号資産へ投資しづらかった層にもリーチしやすくなり、市場の拡大が期待されます。
主要トークンの大量アンロック続々
5月13日から15日にかけ、Aptos(APT)、Arbitrum(ARB)、Avalanche(AVAX)など複数銘柄で大量のトークン解除(アンロック)が予定されています。
- Aptos(APT):5月13日午前2時(日本時間)に約1131万APTを解放(現流通量の1.82%、価値約6750万ドル)
- Arbitrum(ARB):5月16日21時に約9265万ARBを解放(1.95%、約4270万ドル)
- Avalanche(AVAX):5月17日午前8時に約167万AVAX(0.4%、4130万ドル)
- Starknet(STRK):5月15日午前8時に約1.27億枚(4.09%、2300万ドル)
- Sei(SEI):5月15日20時に約5556万枚(1.09%、1450万ドル)
- ApeCoin(APE):5月17日20時30分に約1560万枚(1.95%、1030万ドル)
- Melania Meme(MELANIA):5月18日8時に約2625万枚(6.63%、1040万ドル)
トークンの大量解除は流動性供給と売り圧力を同時に引き起こす可能性があるため、各プロジェクトの今後の価格動向が注視されています。
BlockFi、債権者へ破産請求の締切を再告知(~5月15日)
破産手続きを進める大手暗号資産貸付プラットフォームBlockFiは、債権者に対して5月15日までに破産賠償請求を行うよう強く呼びかけています。米国内ユーザーの97%が既に手続き済みとのことですが、米国以外のユーザーで完了しているのは43%にとどまり、未請求の顧客が資産を失うリスクも懸念されます。
BlockFiはKYC(本人確認)完了後に配当が行われる方針で、請求漏れユーザーの負債は「無担保債権」へ回されるため要注意です。
BSV投資家がバイナンスへの訴訟再開を模索
Bitcoin SV(BSV)の投資家グループは、2019年にバイナンスがBSVを上場廃止した措置に対し、再び集団訴訟を起こす可能性を示唆しています。過去の裁判では機会損失の因果関係が立証できず棄却された経緯がありますが、今回は被害総額を100億ポンド(約130億ドル)規模まで拡大し、バイナンスの決定がBSV価格の長期的な下落を招いたと主張。今後の法的判断に注目が集まります。
ソラナDePINプロジェクト成長 ~Helium、Hivemapperなど~
DePIN(分散型物理インフラネットワーク)関連で、ソラナ(Solana)上のプロジェクトが引き続き活況を見せています。たとえば地図網構築のHelium MobileやHivemapperなどが4月の稼働実績を伸ばし、収益合計が45.8万ドルに達したとも報じられました。
Helium Mobileは4月のモバイルデータオフロード量が前月比で32%増、Hivemapperは企業向けプラットフォーム拡大に伴いマッピング距離を安定的に維持。Solanaでの開発活性化が、これらDePIN系の普及を後押ししている模様です。
市場動向 ~クジラ動向とNFT下落~
- クジラ(大口投資家)の動き:ある大口は2万BTC以上を過去48時間で買い増した形跡があり、ETHでも数万ETHの引き出しが相次いでいます。
- NFT動向:doodlesのNFTフロア価格が一時1.5ETH近くまで暴落するなど、NFTセクター全体で値動きが荒くなっている側面がみられます。
ニュースの解説
この一週間は、米国SECによる暗号資産ラウンドテーブル開催や米CPI発表、さらに大手運用会社の新ETFローンチなど、金融規制面とマクロ経済イベントが交錯する形となっています。SECが伝統金融機関を交え「資本市場2.0」を議論する動きは、暗号資産がいよいよ成熟期へ差しかかっているシグナルとも言えます。
また、トークン大量アンロックや破産手続きの締切など、市場流動性と投資家保護が入り混じるニュースが相次ぎ、ビットコインやイーサリアム以外の山寨コイン(アルトコイン)にも注目が集まっています。VanEckのETF上場で、機関投資家や一般投資家の参入ハードルが下がれば、市場の資金流入がさらなる拡大を見せる可能性もあるでしょう。
一方で米4月CPIなどのインフレ指標が高止まりすれば、利上げの長期化懸念で株式・暗号資産ともにボラティリティが上昇するリスクがあります。BlockFi破産のような既存事業者の問題や、BSV訴訟再燃のように過去の不透明案件が持ち上がる動きもあり、投資家は短期的な値動きと長期的な規制・法務リスクの両方を見極める局面になりそうです。こうした全体状況を踏まえつつ、新興のDePINプロジェクトなど技術革新が続く分野にも注目する価値があります。暗号資産市場は引き続き多方面からの要因が複雑に絡み合っており、しばらくは大きなイベントや指標発表のタイミングごとに神経質な値動きが予想されます。