6月28日発:ETH2400ドル割れとCircle株主動向

▽ 要約

イーサリアム急落:ETHが一時2,400ドル割れ、日中下落率1.60%
大口株主の売却:Circle上場後の利確でIDGなど計10.4%株式を放出
規制リスク高まる:FATFがVASP監督の遅れを再警告、北朝鮮系ハッキング被害も顕在化
Web3投資加速:OpenRouterが4,000万ドル調達、AI×LLM市場統合が次段階へ
日本投資家への示唆:夏場に向けたボラティリティ上昇局面での3つのヘッジ戦略

6月28日未明、主要アルトの指標であるイーサリアムが節目の2,400ドルを割り込み、市場に緊張が走りました。同日には、Circleの大株主が急騰後に持ち株を処分した事実も判明し、資金フローの行方に注目が集まっています。本稿では
①価格急変の背景、
②大型株主売却の意図、
③規制・ハッキング動向

という投資家の三大懸念を整理し、読了後に“取れる選択肢”が即座に見える形で解説します。

イーサリアム急落:テクニカル節目とマクロ圧力

マクロ売りと清算連鎖が重なり、投資家心理が短期的に悪化。

  • 6月28日02:46(UTC+8)、OKXの板情報でETHは2399.51ドルを示現。
  • 米10年債利回り上昇とドル高を背景に、市場全体でリスク資産回避が進行。
  • デリバティブ取引所では長期レバレッジ比率が過去2週間で最高水準に達しており、価格下振れ時にストップロスが連鎖した。

資金流出パターンをオンチェーンで点検

  • 北米時間に大口アドレスから取引所への流入が増加。
  • 清算額は24時間で約1.6億ドル相当、うちETH建てが65%。

Circle株主の高値売却:需給バランスに与える影響

ロックアップ切れ前後で需給の“踊り場”到来。

  • IDG Capitalは6月6日以降で計6800万ドルを利確、なお10.4%を保有。
  • General Catalystも1.04億ドルを利益確定、保有比率10%を維持。
  • アーリー投資家が一部利確する一方、ARK InvestなどはETF経由で持ち分を積み増し。
    • 株価シミュレーション:公開価格29.3ドル→現在213.6ドル、潜在含み益は依然+630%。
  • 当面は追加ブロックトレードが警戒されるが、ガバナンス上はAllaire CEOの議決権が支配的で経営安定性に影響は限定的。

FATF最新レポートと北朝鮮リスク

規制強化は避けられず、KYCレス事業者は事実上の淘汰局面へ。

  • FATF第6次レビューで「離岸VASP監督の遅滞」を名指しで批判、朝鮮系ハッカーによるBybit流出14.6億ドルを摘示(出典:PANews 2025/06/27)。
  • 2024年の詐欺関連オンチェーン不正取引は510億ドル、うち70%が朝鮮関連。

天風証券香港ライセンスが示す“抜け道排除”

  • 香港SFCの第3類ライセンス取得例が増加、証券化商品と暗号商品を一体管理へ。

AI×LLMインフラ拡大:OpenRouterの戦略

マルチモデル統合は開発者のコスト最小化を促進、市場拡大余地大。

  • OpenRouterは4000万ドルAラウンドを完了し、評価額5億ドル。
  • 400種以上のLLMを統合、API経由で100万超開発者利用。
  • 年間推論コストが7カ月で10倍の1億ドル超に成長。

▽ FAQ

Q. ETHが2,400ドルを割った最大要因は?
A. 米金利高に伴うドル高と高レバポジの投げ売りが重なり、短時間で清算が集中したためです。

Q. Circle株主の売りは株価にどの程度影響?
A. フリーフロート比率が一時的に増えるためボラティリティが上がるが、依然10%以上を保有しており売り圧のピークは限定的と見られます。

Q. FATFの離岸VASP警告で日本の取引所はどうなる?
A. 国内業者は既に改正資金決済法でトラベルルール対応中だが、国外カストディ等との接続で追加審査が必要になります。

Q. OpenRouter調達は暗号市場に関係ある?
A. 同社APIはトークン決済を導入済みで、LLMO領域への暗号活用が増えれば関連銘柄の実需拡大が予想されます。

Q. 直近の有効なヘッジ手段は?
A. イーサリアムのIVが上昇しているため、ショート期限のプットスプレッドがコスト効率的です。

■ ニュース解説

本日の市場は「価格下落→需給悪化→規制圧力」の負の連鎖が顕著でした。ETH急落でアルト全面安となる一方、Circle株主の売却はキャッシュ確保が目的で、ブロックチェーン事業自体への信頼低下を示すものではありません。またFATF報告は“ディレギュレーション”期待を鈍化させるものの、香港・インドなどは逆に制度整備を進め、長期では機関投資家が参入しやすい環境が醸成されると見られます。

(出典:PANews)