▽ 要約
・COINBASE が S&P500 採用で株価60%超回復、事業多角化も加速
・Strategy が 1 週間で 1 万 BTC を追加購入し、保有枚数 59.2 万 BTC へ
・Metaplanet が 1,112 BTC を追加取得し、日本企業のビットコイン戦略が鮮明に
・ETH クジラが 81.8 万 ETH を一日で買い越し、六年ぶりの規模
・Binance Alpha、Spark(SPK)や Bombie(BOMB)など新トークン供給を発表
Coinbase S&P500 採用が象徴する市場成熟
米大手取引所 Coinbase は 5 月中旬に S&P500 採用が決定し、6 月16日時点の株価は 242.71 ドルへ反発。4 月安値比で +60% を記録した。構成銘柄入りは機関投資家の指数連動買いを呼び込み、時価総額は約 580 億ドルに膨張した。
積極的な M&A と製品展開
- 29 億ドルで Deribit を買収し、オプション・永続先物の流動性を即座に取り込む。
- 米国内で規制準拠の永続先物を上場予定。CFTC 委員の前向き発言も追い風。
- Base L2 とアプリ統合を進め、DEX 流動性を自社エコシステムに呼び込む。
- Coinbase One Card(AmEx 提携)により、BTC4% 還元を武器に決済分野へ浸透。
リスク要因
2024 年の収益の 63% を手数料に依存。25Q1 取引収入は前期比‑19%。
5 月の個人情報漏えい(影響 6.9 万人)と SEC の利用者数表示に関する調査は、ブランド信頼性を揺さぶる。
連鎖する「財務ビットコイン」戦略
Strategy が再び攻勢
6 月 9〜15 日に 10,100 BTC(約 10.5 億ドル)を買い増し。保有残高は 59.21 万 BTC、平均取得 70,666 ドル。株価は mNAV 1.7 倍で推移し、株式発行による追加調達余地を残す。
アジア勢の台頭
- 東証上場 Metaplanet は 1,112 BTC 追加購入で 1 万 BTC 達成。
- 香港上場 迷策略 は 2,440 SOL を取得し株価 +21%。
- 英 Coinsilium 子会社 Forza も保有 25 BTC へ拡大。
BTC を財庫化する企業は年初 75 社→現時点 130 社へと急増しており、Balance‑Sheet Bitcoinization が加速している。
クジラ資金フロー:ETH・BTC に二極化
Glassnode によれば、1,000〜10,000 ETH を保有するアドレスは 6 月15日に 81.8 万 ETH(25 億ドル相当)を買い越し、2018 年以降最大規模となった。供給ひっ迫が続く一方、BTC では 10 万ドルを割り込む水準で機関投資家の OTC 買いが観測され、防衛ラインを形成している。
Binance Alpha/Wallet:新規トークン攻勢
- Spark(SPK):DeFi・CeFi・RWA を横断する資本最適化プロトコル。6 月17日に USDT など 5 通貨建てで上場。
- Bombie(BOMB):Wallet 限定 TGE 第24 期で販売。Alpha Points 保有者が認購可能。
- Alpha Points 計算式は ZKJ・KOGE 暴落を受けて 17 日より変更される。
トレンドピックアップ
日付 | 重要指標・イベント | 注目点 |
---|---|---|
6/17 | 米上院で安定コイン GENIUS 法案最終採決 | 規制枠組みの明確化でステーブル市場拡大へ |
6/17 | Starknet v2 質押開始 | STRK トークン経済の実需創出 |
6/17 | ZKsync・ApeCoin 等大型アンロック | 市場供給の瞬間的増加に注意 |
■ ニュース解説
6 月17 日の暗号資産市場は、Coinbase S&P500 採用という象徴的イベントを軸に「メジャー化」と「財務戦略」の二層構造が鮮明になった。取引所ビジネスの手数料依存リスクを抱えつつも、Coinbase は Deribit 買収や L2 拡張で収益源の多角化を急ぐ。一方、Strategy や Metaplanet に代表される企業は、マクロ環境下での BTC 長期保有 を選択し、株式・社債市場を資金源にレバレッジを効かせる手法が定着した。
短期的には大型アンロックや米安定コイン法案の行方がボラティリティ要因となるが、中長期的には企業財務への BTC・ETH 組み込みが価格の押し上げ要素として機能する可能性が高い。投資家は個別銘柄ごとの 資本政策 と 規制動向 の両面を見極める局面に入ったと言えるだろう。