【要約】
・杭州で暗号資産従事者への大規模調査――税務・外貨規制リスクが顕在化
・米CPIと米国10年債入札がビットコイン11万ドル攻防の震源に
・ETHはOI史上最高の400億ドル到達、2,800ドルが多空分水嶺
・香港「定币条例」成立――発行ライセンスは大資本専用、副産業に商機
・DePAIプロジェクトReborn、動作データをトークン化しロボットAIの壁を突破
杭州調査が映す「9.24通知」以降の新局面
中国・杭州では6月8日以降、代替通貨発行経験者やUSDT場外取引歴のある個人・法人に対し警察がPC携行を求め、Telegram等のログを復元する聞き取りが行われた。背景には①大型チームの刑事事件化、②外為・人民銀による資金フロー監視、③将来の課税試行――三点が指摘される。内地での取引禁止は継続しつつも、保有課税という次段階が射程に入った点は留意したい。
CPI×米債入札――BTCが試される二重試練
米5月CPIは前月比+0.1%と市場予想を下回り、10年債390億ドル入札も堅調なら金利上昇圧力は限定的となる。しかし予想超えインフレと低調入札が重なれば、BTCは105,000ドルの支持線を割り、100,000ドル台前半まで調整余地がある。ETF資金は6月10日時点で+4.31億ドルと底堅いが、短期ボラティリティには構えておきたい。
イーサリアム:2,800ドルを超えられるか
ETHの先物未決済建玉は初めて400億ドルを突破、多空の清算ポイントが2600–2900ドル帯に集中する。現物ETFは17日連続で資金流入し、2,800ドル終値維持で3,200–3,500ドルへの跳躍が視野に入る。一方、ガス手数料の90%減少でステーキング利回りは3%前後に低下、「主網貧血」の是正が急務だ。
香港ステーブルコイン条例で浮上する五つの副産業
発行ライセンスには2,500万HKD資本・100%準備資産など高いハードルが課され、「車庫発行」は事実上不可能。代わりに
- PayFi決済インフラ(商流・物流のHKD清算)
- RegTechツール(AML・KYC自動化)
- マルチチェーン清算ブリッジ
- ステーブル資産運用(RWA連動商品)
- 準備資産カストディ+監査
といった周辺ビジネスが成長余地を持つ。中小企業は「ライセンス競争の外側」でこそ勝機を狙える。
DePAIが開くロボティクス×トークン経済
Rebornはモーションキャプチャ端末「ReboCap」を用い、人間の動作データを代替不可能な訓練資源としてトークン報酬で収集。仮想環境とのSim2Realギャップを埋め、汎用人型ロボットの基礎モデルを育成する。メタが148億ドルでScale AIに出資した今、「データこそAIの石油」をWeb3的インセンティブで開放する流れは無視できない。
ニュースの解説
2025年6月12日は**「規制強化」と「データ資本化」の二本柱が市場を形作った。杭州の動きは中国がマネロン・税務面の統制を実務レベルへ深化させた象徴であり、香港は真逆に国際資本を呼び込む制度を整備した。投資家は地域差による資金シフト**を踏まえ、KYC透明度の高い取引経路と、ステーブルコイン周辺サービスへの分散投資を検討すべき局面だ。一方、BTC・ETHはマクロ指標の一段の波乱を控えつつも、ETFマネーと実需アプリ層がクッションとなり、浅い押し目を拾う戦略が有効と考えられる。