6月7日仮想通貨ニュース: IOSTの大型調達からBSCの「帝国の逆襲」、そして最新のL3動向まで

【要約】
・IOSTが約2,100万ドルの戦略的資金調達を完了し、RWA(Real World Asset)3.0領域に本格参入
・Strategyが優先株で約10億ドルを調達し、ビットコイン取得を強化へ
・BSC(Binance Smart Chain)が新プロダクトやMemeトークンの躍進でエコシステムを再構築
・InfoFi(インフォファイ)三巨頭Kaito、Cookie、Galxeが“ソーシャルFi”という新しい参加手法を確立
・Apple、X(旧Twitter)、Airbnb、Googleなどの大手テック企業がステーブルコイン導入を検討
・L3+チェーン抽象+トークン・フライホイールで注目のB3がゲーム分野の新潮流を形成
・北京での新たな“仮想通貨処置モデル”が香港合規取引所の役割を強調
・Memeトークンの限界と「収益モデルを持つトークン」が今後の焦点に

IOSTが約2,100万ドルを調達:RWA強化への道

IOSTは6月7日の公式ブログで、2,100万ドル(約29億円)規模の戦略的資金調達を完了したと発表しました。投資家にはDWF LabsやPresto、Rollman Management Groupsなどが名を連ねます。今回の資金は、IOSTのバリデータネットワークをより分散化させるためのカスタム型割り当てに利用される見込みで、今後のRWA 3.0領域での技術革新や新製品の展開を後押しするといわれています。
IOSTはこれまでもマルチチェーンの強みに着目しており、今回の資金調達により、より多角的かつ高速なエコシステムを構築できるかが注目されるポイントです。

Strategy:優先株で10億ドルを調達しビットコイン買い増しへ

加えて、米国の投資会社Strategyは、Aシリーズ永続ストライド優先株(STRD株)を発行する形で約10億ドルを調達すると表明。6月10日交割後の最終的な資金は、約9.8億ドルに達する見通しです。この資金をビットコインの買い増しや運転資金に活用する計画であり、大手企業によるビットコイン投資意欲は依然根強いことを示唆しています。
仮想通貨市場では機関投資家のビットコイン保有量が価格に影響を与えるケースが多く、Strategyによる大規模投資は、ビットコインの価格動向にも注目を集めそうです。

BSCの“帝国回手”:再燃するエコシステムとMemeトークン

「帝国回手」と題されたレポートでは、BSC(Binance Smart Chain)の過去の栄枯盛衰と最近の再構築の動きを振り返っています。BSCは初期にDeFiブームを背景に大きく躍進しましたが、ここ1年ほどはSolanaやL2チェーンの台頭で存在感が薄れていました。
しかし、BSC上でのMemeトークンや新しいレイヤー2ソリューション(opBNB)の開発、ステーブルコインUSD1との連携といった取り組みにより、再び活発さを取り戻しています。CZ氏の復帰やコミュニティ主導のプロジェクトが多面的に展開され始めており、「信仰・戦略・運命」の交錯ともいえる動きが“帝国回手”と称されている理由です。

InfoFi三巨頭“Kaito・Cookie・Galxe”:新たな参加手法「ソーシャルFi」とは?

最近「ソーシャルFi」というキーワードが話題です。これは、X(旧Twitter)などSNSへの投稿やコミュニティ発信を通じてトークン配布や特典を得る“発信型エアドロップ”に近い手法を指します。

  • Kaito:プロジェクト関連の解説や言及でポイントを獲得し、上場前のトークンを先行入手できる仕組みが特徴
  • Cookie:Snapsシステムでコミュニティへの投稿や反応を積み重ねると点数が貯まり、トークンやNFTにつながる
  • Galxe:Starboardを介してリワードを配布することで、初期ユーザーやコミュニティメンバーを取り込み
    このように“情報発信そのもの”を価値化するInfoFiは、価格変動に依存しない新規参入ハードルの低さから注目を集めています。

大手テック企業と暗号通貨企業の接近:AppleやXもステーブルコインを検討?

アップルやX(旧Twitter)、Airbnb、Googleなど世界的テック企業が、ステーブルコインを用いた決済導入を検討していると報じられています。
報道によれば、Airbnbは年初からWorldpay社と連携し、Xは「X Money」でのステーブルコイン活用をStripeと議論中。さらにGoogle CloudはPayPalが発行するPYUSDを一部決済で受け入れ始めました。
これらの企業がステーブルコインを本格採用するなら、クロスボーダーの手数料削減や高速化が期待され、仮想通貨市場全体にポジティブな影響を及ぼす可能性が高いでしょう。

L3+チェーン抽象+トークン飛躍:ゲーム特化「B3」が示す未来

BaseチェーンのL3として登場したB3は、ゲーム領域における新たなプラットフォームとして話題です。

  • L3化:手数料の大幅削減と高速処理
  • チェーン抽象:異なるゲームチェーンを統合しつつ独自性を維持
  • 代替不可能トークン(NFT)やMemeの発行を容易に:共通基盤を活かした流動性と開発支援
    B3はMemeコイン依存ではなく、トークンを通じた実際の収益獲得モデルを模索している点で、次世代ゲームの“ハブ”としての地位を狙っています。

北京発「仮想通貨処置」モデルと香港合規取引所の役割

北京で公安当局が新たな“仮想通貨処置システム”を導入し、香港合規取引所を経由する形で違法収益の仮想通貨を現金化・国庫へ返納する取り組みを始めたとの情報があります。
以前は国内の法整備不足や取引先不足などの理由で、押収した仮想通貨の処理には困難が伴っていました。しかし今回、香港の持つ合規フレームワークや国際的な流動性を活用することで、「香港取引所で売却→外為管理承認→国内口座へ資金回収」というルートが構築された形です。これにより行政と司法双方が効率的に資金を回収できると期待され、今後ほか地域への水平展開も可能とみられています。

Memeから収益モデルへ:トークン市場の新時代

最後に、最近の市場観測では、純粋なMemeトークンは勢いが落ち、実需や収益分配モデルを備えたトークンが注目されているといわれます。
「価格上昇の根拠が単なるコミュニティの熱狂だけでは、投資家が長期保有する意欲を保ちにくい」という指摘が増え、現在は手数料収入をトークン買い戻しや配当につなげる仕組みが好評を得ています。DeFiやGameFiも含め、こうしたモデルへの移行が“トークンエコノミー2.0”の大きな潮流になるかもしれません。

ニュースの解説

今回の一連のニュースを俯瞰すると、RWAの取り込みやゲーム分野の拡張を通じ、仮想通貨業界が新しいビジネスモデルを模索している様子がうかがえます。IOSTやBSCの動きからは既存の仕組みを超えた次世代型のエコシステムを模索する姿勢が見え、北京×香港の事例は司法面での活用例として象徴的です。また、大手テック企業がステーブルコインを検討することで、グローバル規模の商流がどこまで迅速化されるかも重要なトピックでしょう。
さらに、単なるMemeブームから脱却し、収益モデルを伴うトークンの時代へ移る流れは、投資家・開発者・ユーザーの三者が長期的にメリットを共有できるかどうかを左右する重要要素です。これらを踏まえ、今後の仮想通貨市場は資金の流れだけでなく、規制・実ビジネス・コミュニティそれぞれの連携が進むかどうかが大きな鍵になりそうです。