【要約】
・イーサリアムがL1「提速・降費」を目指し供給面の改革を検討
・Solanaは「Alpenglow」共識で大規模ノード時代の新安全策を模索
・香港では法定通貨担保型ステーブルコイン発行に向けた法案が成立
・Binanceが70番目のLaunchpoolプロジェクト「Huma Finance(HUMA)」を発表
・InfoFi分野ではCookie、Kaitoらが注目を集め、注意力経済が加速
・Krakenは主要企業株式のトークン化提供へ
イーサリアム、L1への回帰と供給改革の動き
イーサリアムは従来「L2重視」の方針が語られてきましたが、近頃は主ネットワーク(L1)の強化に力を入れ始めています。
- 提速・降費の取り組み
- これまではロールアップ(Rollup)やL2に負荷を逃がす形が続きました。しかし需要増大と手数料の高騰を受け、Vitalik氏もL1をアップグレードすべく積極姿勢を見せています。
- 具体的にはトランザクション処理速度をさらに上げるための変更やRisc-Vの導入を検討。効率面でSolanaを追い越す構想が注目されています。
- 供給側の改革
- セキュリティと分散性を維持しながら、いかにガスコストを抑制できるかが鍵。
- 大規模化したノードをどうまとめるか、LidoやCEXが保持するステークをどう扱うかなど、引き続き議論が続きます。
Solana「Alpenglow」共識が示す大規模ノード時代の可能性
イーサリアムがL1を守る姿勢を強化する一方、Solanaは速度とスケーラビリティを追求する「Alpenglow」共識を公表。
- 20%共識モデル
- 従来の約33%よりさらに低い安全閾値20%を設定し、ネットワーク全体のブロック承認時間を劇的に短縮する狙い。
- 1500程度のバリデータ規模であればノード間の合意を高速化できる一方、中心化や安全性のリスクが議論されています。
- Turbineの改良
- Solanaの従来のブロック伝播機構「Turbine」を拡張し、ノード階層を整理しながら分散度を確保。
- 高いスループット(TPS)を維持しつつ、数秒未満の承認時間を追求する設計です。
香港「ステーブルコイン条例」成立で市場に新機運
香港政府はステーブルコイン(法定通貨担保型)の発行人に対するライセンス制を導入する法案を5月21日に可決しました。これは香港が国際金融センターとしての地位を強固にするための重要な一手となっています。
- 法案のポイント
- 港元や人民元など、法定通貨と1:1で裏付けられたステーブルコインの発行・販売を明確に規定。
- 備蓄資産の充実、利用者保護、マネロン対策など、厳格な条件を満たす必要あり。
- 議会では今後、海外発行・販売に加え、離岸人民元を活用した国際展開が検討されています。
- 狙いと期待
- 安全かつ信頼できるトークンを発行することで、香港がWeb3やクロスボーダー決済分野のハブになることを目指す。
- 議員からは、「複数の企業が積極的にライセンス申請し多種多様なステーブルコインが生まれるべき」との声も上がっています。
Binance Launchpool第70弾:Huma Finance(HUMA)が登場
大手取引所Binanceは、同社のLaunchpoolで70番目となるプロジェクト「Huma Finance」を発表しました。Humaは「PayFi」を標榜し、国境を越えた支払いのリアルタイム送金や流動性提供の効率化を図るプロトコルです。
- エアドロとステーキ
- BNBやFDUSD、USDCなどをプールにロックするとHUMAトークンの獲得が可能。
- 5月23日からマイニングが始まり、5月26日にHUMAの取引が開始される予定。
Kraken、主要株式・ETFのトークン化取引を提供開始
Krakenはアップル、テスラ、エヌビディアなど50種類以上の株式やETFをトークンとして扱うサービスを一部地域で提供すると発表しました。
- トークン化の意義
- 株式の所有権を暗号資産(トークン)に変換し、少額取引や即時決済を可能に。
- 今後はEU、アジア、南米、アフリカなどの複数地域で利用を拡大する方針。
InfoFiの新潮流:CookieとKaitoが示す注意力経済
情報量が爆発的に増える中、ユーザーのアクティビティや情報貢献にトークンで報酬を付与する「InfoFi」領域が加速しています。
- Cookieのv1.0 AlphaとSnaps機能
- 5月21日、Cookie DAOがアルファ版のCookieプラットフォームとSnapsスコアを導入。
- ユーザーのSNS投稿や分析提供にトークン報酬を与え、コミュニティで価値を循環させる仕組みが注目されています。
- Kaitoとの競合と期待
- 先行例としてはKaitoが「Yap to Earn」で話題に。
- InfoFiプロジェクト間の競合が新たな経済圏を生み、質の高いコンテンツや分析が生まれると期待されています。
【ニュース解説】
イーサリアムとSolanaの技術競争は、L1主ネットワークの性能をどこまで高められるかが焦点です。イーサリアムはセキュリティとユーザーフレンドリーの両立を目指し、Solanaは大胆な共識プロトコル改変で極限のスピードを狙います。一方、香港が推進するステーブルコイン規制は国際資金の呼び込みにつながる可能性が大きく、今後はステーブルコインを基軸とした実需の発展にも注目が集まるでしょう。さらに、BinanceのLaunchpoolやKrakenの株式トークン化など、仮想通貨と既存金融の融合は進展を続けています。今後は規制枠組みや実際の採用事例が増え、仮想通貨全体の位置づけがいっそう明確化していく見通しです。