9月17日:AP2始動、AVAX ETF申請、上海FIL処分

▽ 要約

グーグルAP2 AI決済標準がステーブルコインに対応しCoinbase等と提携。
AVAX ETF BitwiseがS-1提出、現物保有で米上場を目指す。
ソラナ資金 PanteraがSOLを11億ドル保有と表明。
司法動向 上海法院が9万枚超FILの換価・送還を初実施。

9月17日の暗号資産は、GoogleのAP2によるステーブルコイン決済対応、BitwiseのAVAX現物ETF申請、上海法院の9万FIL処分が注目であり、資金フローの回復と規制設計の新段階が重なったため、投資判断の前提が更新された。

AP2(Agent Payments Protocol)がステーブルコイン対応へ

AIエージェントの相互決済標準がステーブルコインを組み込み、Coinbaseや業界60社超の協力で「AI×クリプト決済」の実装が前進した。
AP2はAIエージェントがユーザー意図に沿って送受金できるオープン標準で、Googleはステーブルコインレールを導入するためCoinbase等と連携し、決済の相互運用性と準拠性を高めた。SalesforceやAmerican Express等も関与し、実運用の射程が広がる。

Suiがローンチ・パートナーに

SuiはAP2の初期パートナーに選定され、トークンSUIは発表後に相対強含みとなったため、L1の実用事例として存在感が増した。
Googleの公式発表は、近代的ブロックチェーン(Sui等)とA2A/MCPを組み合わせる設計を示し、エコシステム側の参画表明も相次いだ。国内JCBのコメントも掲載され、商用導入の現実味が増している。

BitwiseがAVAX現物ETFをS-1提出

米国でAVAXへの上場投資経路が拡張する可能性が生じ、アルトETF競争の第2幕が始まった。
提出日は2025年9月15日。Bitwise Avalanche ETFはAVAX現物を保有し、CME CF Avalanche–Dollar Reference RateでNAVを算出、カストディはCoinbase Custodyを予定する。承認可否は未定だが、制度枠の選択肢が増える点は大きい。

市場反応と位置づけ

提出報道後、AVAXは短期的に強含みとなり、既存のVanEck等の動きと併せてマルチ資産ETF時代の到来を印象づけた。

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上海法院が9万枚超のFILを初処分

国内委託・海外換価・閉環回流のスキームにより、刑事財産としての暗号資産の処分と還流の前例が確立した。
上海高院の公表によれば、宝山区人民法院が9万枚超のFILを香港の認可取引所で換価し、外為手続きを経て裁判所口座へ回収、国庫納付や被害者返還に充当できる道筋を示した。これは初の成功例で、規制実務の分水嶺となる。

AML設計の視点—BIS提案

BISは2025年8月にAMLコンプライアンス・スコアの導入を提案し、由来と履歴に基づく評価でオンチェーン資産の扱いを再設計すべきと論じたため、今回の実務例は行動起点の検証という潮流と符合する。

資金フローとプレーヤー動向

ETF・機関フローが回復し、個別テーマ(SOL・AI×決済)が相場の物語を下支えした。
資金流入:先週はデジタル資産に33億ドルの純流入。9月15日(米東部)はBTC現物ETFに2.60億ドルの純流入で6日連続プラスと、需給が改善した。

PanteraのSOLエクスポージャー

Pantera CapitalはSOLを約11億ドルで最大保有と公表し、同社は過去4年のパフォーマンスを評価しているため、SOL主導の機関テーマが継続している。

周辺トピック(要点)

ETHGasはプリコンファメーションとブロックスペースの金融化で“リアルタイムEthereum”を掲げ、Hyperliquid/Native MarketsはUSDHの権利獲得で利回りのコミュニティ還元設計を前面化した。

▽ FAQ

Q. GoogleのAP2は何を追加し、誰が参画?
A. ステーブルコインを含むAI決済標準で、CoinbaseやSalesforce、Ethereum Foundation等が連携(2025-09-16)。

Q. BitwiseのAVAX現物ETFの提出日は?構成は?
A. 9月15日にS-1提出、AVAX現物保有・CME CF指標連動・Coinbase Custody予定。

Q. 上海法院のFIL処分は何が画期的?
A. 9万枚超を香港認可市場で換価し資金回流、刑事財産で初成功(2025-09-16)。

Q. 直近のETF資金フローは?
A. 先週に33億ドル流入、9/15はBTC現物ETFが2.60億ドルで6日連続。

■ ニュース解説

AI決済標準AP2にステーブルコイン対応が追加され機関協業が広がったため、実利用の射程が可視化された一方で、AVAX現物ETF申請と中国の司法処分例が制度面の前進を示し、資金流入の回復が相場の下支えとなった。
投資家の視点:短期はイベントの通過(FOMC・ETF審査)で変動拡大を想定し、現物ETF資金の継続性と実需(AP2×ステーブルコイン)の進展を観察したい。テーマ配分ではSOL系・AI決済レイヤー・周辺インフラ(Hyperliquid/ETHGas)の実装速度と規制対応(BIS指針・各国当局の実務)を合わせて確認する。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:Google Cloud,U.S. SEC EDGAR,BIS Bulletin No.111,CoinShares Research Blog