▽ 要約
• ● マーケット:BTCは113,000ドル台回復、日次+0.10%。
• ● ステーブル:USDeがBinanceで0.6567ドル、約90分で復元。
• ● リスク:10〜11日に清算約193億ドル、MM撤退説が浮上。
• ● レギュレーション:米司法省がBTC12.7万枚没収提起、他州動向も。
投資家が知りたいのは「急落後の回復力と規制の方向」だが、10月15日 暗号資産市況ではUSDeの一時乖離が短時間で収束し、米司法省の127,271BTC没収提起が進む中でBTCは11.3万ドル台に戻ったため、流動性の脆弱性と規制強化の両圧力を同時に点検する必要がある。
市場動向と価格
主要資産は急落後の自律反発で落ち着きを取り戻し、BTCは113,012.80ドル前後に位置した。
10月11日の急落後、現物・先物の建玉整理が進むなか、短期の買い戻しでレンジを切り上げた。ビットコインはOKX表示で113,012.80ドル(日本時間15日)を示現し、日次+0.10%と小幅高に留まった。アルトは銘柄選別が強まり、リスク許容の低下が続く。
ETFフローとセンチメント
米現物ETFは資金流出が続いた一方で、ボラティリティ後のプット買いなどヘッジ志向が強まった。
日次ベースでBTC現物ETFが3.27億ドル、ETH現物ETFが4.29億ドルの流出と伝えられ、デリバティブ市場ではプット需要が増加した。短期投資家は下方リスクに備えつつ、反発局面では玉持ちの軽量化を優先した。
10/10–11急落の構造—USDe乖離とMM撤退仮説
流動性の薄い単一会場に売り圧が集中したため、USDe等の乖離が増幅し連鎖清算が拡大した。
10〜11日の“フラッシュ”では、USDe・wBETH・BNSOLがBinanceで同時に大幅乖離し、他所では相対的に安定する「会場特異」現象が観測された。時系列は、広範な売り→オルトの清算加速→23分後に3資産が同時崩落という順で、意図的売り仕掛けの疑義が残る。清算規模は約193億ドルに達した。
USDeの90分—局所的フラッシュとプロトコル耐性
DEXや主要オラクルが安定していたため、プロトコル起因の破綻ではなく会場流動性の歪みと評価された。
USDeはBinance現物で最安0.6567ドルまで下落したが、約90分で0.99ドル台へ回復。Curve/Uniswapでは0.995ドル近辺で推移し、Aave上のChainlink参照価格は0.992〜1.000ドルで安定した。Ethenaは24時間で20億ドル超の償還処理を完了し、障害や大規模清算は確認されなかった。
規制・政策アップデート
米司法省の民事没収は127,271BTCで史上最大規模となり、制裁・押収と連動した国際的対応が強化された。
EDNYでの起訴・没収提起は「ピッグブッチャリング」詐欺への包括対応で、BTCは米政府管理下に置かれていると発表された。米英は関連個人・企業に制裁を発動し、押収価値は約150億ドル規模に達する。
州・新興国の制度整備
州法はデジタル資産を実物同様に扱う方向へ進み、アフリカでは包括法制が整い始めた。
カリフォルニアではSB822が成立し、休眠暗号資産の強制現金化を禁じ原資産のまま州管理とする。ケニアはVASP法案を可決し、中央銀行と資本市場庁の二層監督で安定通貨・交換業をライセンス化する方針だ。
取引所・プロジェクト動向
取引所は上場・エアドロで需要喚起を図る一方、UEX構想やAI取引など多角戦略を示した。
Binanceは第53弾HODLerエアドロとしてYBを15日11:00 UTCに上場、最大供給は10億枚で初期流通は約8,791万枚、1,000万枚のエアドロを実施。Bitgetは「UEX(Universal Exchange)」構想とAIトレーディング強化、BGBのエコシステム活用を打ち出した。
ステーブル特化L1の台頭(Plasma/Stable/Arc)
送金手数料ゼロ等のUX改善が普及を押し上げ、USDT/USDCの陣営別戦略が明確化した。
IOSGは、Plasma(USDT中核・ガス無料送金)、Stable(EIP‑7702活用のガスレスUSDT/PYUSD)、Arc(CircleのUSDCネイティブ、決定性最終性1秒級、2026年β)を整理。2024年のステーブル決済規模は約26兆ドルと推計され、競争軸は「送金コスト」から「付加価値」へ移る。
マクロ・論点
通貨価値の希薄化とエネルギー裏付け論が交差し、長期の代替資産需要を後押しした。
AI投資の巨額化や財政赤字を背景に、法定通貨の希薄化懸念が再燃。Elon Muskは「ビットコインは偽装不能なエネルギーに基づく」とコメントし、金・BTCの代替資産性を強調した。
▽ FAQ
Q. 10月10〜11日の清算総額は?
A. 約193億ドルで過去最大規模。対象口座は多数に及び、市場構造の脆弱性が露呈した。
Q. USDeの下落幅と回復速度は?
A. Binanceで最安0.6567ドル、約90分で0.99ドルへ復帰。DEXやAaveは概ね安定推移だった。
Q. 米司法省の没収提起はどの規模?
A. 127,271BTC(評価約150億ドル)。EDNYで民事没収を提起し、史上最大級の案件となった。
Q. YBの上場・配布条件は?
A. 10/15 11:00 UTC上場。最大10億枚、初期流通約8,791万枚、エアドロ計1,000万枚が配布される。
Q. 本日のBTCはどの水準?
A. 113,012.80ドルで日次+0.10%。乱高下後も11.3万ドル台を維持し、方向感は限定的。
■ ニュース解説
10〜11日の急落は会場特異な流動性崩れで清算約193億ドルに膨らんだ一方で、USDeは約90分で復元し、同時に米司法省は127,271BTCの没収提起を公表したため、相場面と規制面のインパクトが重なった。
投資家の視点:レバレッジと会場偏在を抑え、流動性の深い板・異なる会場の指値併用、清算トリガー(指数価格・マーク価格)の仕様確認、安定通貨は複数プロバイダに分散、API/アービトラージ系は非常時の停止基準を明文化しておく。
※本稿は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
(参考:U.S. Department of Justice,U.S. District Court E.D.N.Y.)