Bybitサービス終了、日本居住者の制限と代替策

▽ 要約

発表:Bybitは2025-12-22に日本居住者向けの提供終了方針を公表。
期限:居住地修正は2026-01-22までにKYC2(住所証明)が必要。
背景:金融庁の無登録警告3回と2025-02のアプリ停止要請が焦点。
影響:多銘柄・デリバティブ環境が縮み、移行計画が急務。

Bybitは日本居住者を2026年から段階的に制限する方針を示した。2026-01-22のKYC2期限を起点に、資産移動と代替環境の確保が課題となる。

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Bybitサービス終了の発表を受け、日本居住者は「いつから何が使えなくなるのか」「資産はどう移すべきか」が最大の関心事となる。結論から言えば、2026年の段階制限に備え、2026-01-22のKYC2期限と、代替取引環境の確保を同時に進める必要がある。本稿では、規制背景と他社事例も踏まえ、影響と論点を解説します。

日本居住者向け制限スケジュールの要点

Bybitは2025-12-22、日本居住者を対象に2026年から段階的なアカウント制限を実施し、最終的に提供を終了する方針を示した。

今回のポイントは、停止が一括ではなく「居住地判定」と「KYC2期限」に連動して進む点だ。制限の具体策は後日公表とされ、ユーザー側は時間軸で準備する必要がある。

時系列は「新規停止→終了方針→KYC2期限→制限」

Bybitの対応は、2025-10-31の新規口座受付停止に続き、2025-12-22の終了方針公表へと進んだ。

2026年以降は、当該アカウントが順次制限対象となる予定だ。取引・入出金・カード等のどこから止まるかは未確定で、追加情報を待つ局面が残る。

誤判定の修正はKYC2完了が分岐点

日本居住者に誤って分類された利用者は、住所証明を含む本人確認レベル2(KYC2)の完了が重要になる。

Bybitは2026-01-22までにKYC2を完了しない場合、当該利用者を日本居住者として確定するとしている。国籍ではなく居住実態で扱いが変わり得るため、転居や長期滞在の予定がある場合は早めに確認したい。

背景:金融庁の警告とアプリ流通の締め付け

無登録業者への警告に加え、アプリストア上の流通制限まで進んだことで、日本向け提供のハードルが上がった。

金融庁はBybitに対し、2021-05-28、2023-03-31、2024-11-28の3回、無登録で暗号資産交換業を行ったとして警告を公表している。警告は「日本居住者を相手方としてインターネットを通じて業を行った」と整理され、当局の問題意識は一貫している。

2025-02上旬には、金融庁がAppleとGoogleに対し無登録の海外取引所アプリ5社(Bybit、KuCoin、Bitget、MEXC、LBank)のダウンロード停止を要請したと報じられた。アプリ流通は新規獲得や利便性に直結し、実務面での圧力として作用しやすい。

登録と利用者保護が「提供可否」を分ける

日本では暗号資産交換業の登録が原則で、レバレッジ取引などは金融商品取引法の規制枠組みとも接続する。

未登録状態での勧誘・取引提供は、当局から警告や技術的な遮断要請の対象になり得る。海外勢が日本市場に残るには、登録取得や登録業者との提携など、提供スキームの再設計が避けにくい。

市場への影響:取引環境と資金移動

最も直接的な影響は、海外取引所で提供されていた多銘柄・デリバティブ等へのアクセスが縮むことだ。

制限の詳細が未公表である以上、保有資産の出金経路、オープンな建玉の決済方法、ステーキングやEarn系の解除条件などを棚卸ししておきたい。手続きが集中すると出金処理やサポートが混雑する可能性もあるため、期限前の計画化が重要になる。

移行先の選択肢は大きく「国内登録業者」と「自己管理(オンチェーン)」に分かれる。国内登録業者にはbitFlyerやCoincheck、bitbankなどがあり、日本円の入出金導線が明確だ。国内は法令面の明確さが強みだが、取扱銘柄や高機能取引は限定されがちで、用途に応じた使い分けが必要になる。

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論点とリスク:利便性と保護のトレードオフ

規制強化は利用者保護を目的とする一方で、取引手段の選択肢を狭める副作用もある。

SNSやコミュニティでは「主要な海外取引所が使えないのは痛い」との声が出る一方、「無登録業者の利用はリスクが大きい」との意見もあり評価は割れている。投資家視点では、利便性だけでなく、資産保全・法的保護・税務導線まで含めて比較する必要がある。

他社事例は「遮断」か「国内法人化」に収れん

Bybitに限らず、無登録状態のまま日本向けに提供するモデルは縮小傾向にある。

Binanceは2023年に日本居住者向けBinance.comを段階的に終了させ、2023-08-01に国内向け「Binance Japan」を開始した。OKXは2023-06頃から日本で取引所機能が利用できない旨の表示が確認され、KuCoinも2024-11-28に金融庁から警告を受けた。

BitgetやMEXC、LBankなども警告・ストア対策の対象に含まれており、「未登録のまま日本居住者を取り込む」余地は狭まっている。国内で継続するには、登録・提携・サービス設計変更のいずれかが現実的な選択肢となる。

規制回避の手段はアカウントリスクを増幅し得る

VPN等で地域制限を回避する行為は、取引所の利用規約違反となる可能性がある。

短期的にアクセスできても、本人確認や入出金で居住実態が判明すれば継続利用が難しくなる。最終的に口座凍結や出金制限につながれば、規制回避のメリットを上回る損失になり得る。

今後の注目点:2026年までに確認すべきこと

焦点は、Bybitの制限詳細がいつ・どの範囲で実装されるか、そして国内の代替環境がどこまで整うかにある。

Bybitは制限の詳細を後日公表としており、2026-01-22までに追加の実務案内が出るかが最重要だ。利用者側は、出金の実行テストや代替口座の本人確認を先に済ませると、期限前の混雑影響を受けにくい。

当局の無登録業者排除が続く場合、アプリ流通だけでなく広告・決済・カードなど周辺チャネルも影響を受けやすい。取引の利便性と保護の水準をどこで最適化するかが、日本市場の競争力にも直結する。

▽ FAQ

Q. Bybitの制限はいつから始まる?
A. Bybitは2026年から日本居住者を順次制限予定で、誤判定の修正は住所証明付きKYC2を2026-01-22までに完了する必要がある。

Q. 金融庁の警告はいつ出た?
A. 金融庁はBybitに2021-05-28、2023-03-31、2024-11-28の計3回、無登録営業として警告を公表。

Q. アプリ停止要請の対象は?
A. 2025-02上旬、金融庁はBybit・KuCoinなど5社のアプリ停止をApple/Googleに要請し、App Storeで非表示化が報じられた。

Q. VPNで利用を続けてもよい?
A. VPNで居住地を偽る行為は規約違反となり得て、本人確認や入出金で判明すると2026年以降に口座凍結・取引停止・出金制限のリスクが高まる。

■ ニュース解説

Bybitの日本向け提供終了方針は、無登録業者への警告とアプリ流通の締め付けが重なったためで、ただし制限の範囲は後日公表とされている。
投資家の視点:期限(2026-01-22)と制限範囲を確認しつつ、規制に沿う取引導線と自己管理の範囲を冷静に設計したい。

※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

(参考:Bybit,金融庁