▽ 要約
アナウンス:Bybitが日本の新規登録を10/31 21:00(JST)から停止
規制対応:FSA準拠へ体制を見直し、将来の「完全登録」を模索
影響:既存ユーザーは当面継続、追加措置の可能性は明示
代替:国内登録CEXの選択肢とセキュリティ事例を比較整理
Bybit 日本の新規登録停止は2025-10-31 21:00(JST)に発効し、規制準拠強化のため既存は継続・将来は追加措置の余地と示す。
Bybitの日本向け新規登録停止と規制順応の行方
停止は規制準拠のためであり、既存は継続しつつ新規流入を止め体制整備に集中する方針が示された。
本稿は、世界第2位の取引所Bybitが2025-10-30に日本居住者・日本国籍保有者の新規アカウント受付停止を発表し、10-31 21:00(JST)に施行する決定の背景と実務的影響を整理する。停止対象は新規のみで、既存ユーザーには即時の変更なし。ただし将来の追加措置(出金のみ許可・取引停止など)の可能性も明記された。規制面では、金融庁(FSA)が無登録事業者への監視・是正を強め、アプリ配信停止の要請や周辺制度改定(FIEA側への整理検討、トラベルルール徹底等)が進む中での一手といえる。
要点
| 日付・時刻 | 事項 | 概要 | 影響・補足 | 
|---|---|---|---|
| 2025-10-30 | 発表 | 日本向け新規オンボーディング一時停止を公表。 | 既存ユーザーは当面継続利用可能と案内。 | 
| 2025-10-31 12:00(UTC)/21:00(JST) | 施行 | 日本居住者・日本国籍の新規アカウント開設を停止。 | ログイン・取引など既存機能は継続(変更がある場合は告知)。 | 
| 以後(時期未定) | 追加告知 | 日本での登録取得を視野に、運営体制・プロダクト適合性を評価。 | 追加措置は事前告知。必要に応じ段階的制限(出金のみ等)へ移行の可能性。 | 
背景
FSAの無登録業者是正とAML/CFT強化が続くため、無登録での継続は実務・ガバナンス両面でコスト高となっていた。
日本は2017年の登録制以降、2019年改正(2020年施行)でコールド管理・広告規制等を明確化し、近年はトラベルルール徹底やFIEA側での位置付け検討も進む。加えて2025-02にはBybitで約$1.5B流出の大型インシデントが発生し、各国当局が求めるカストディ管理・運営統制のハードルは一段と上がった。
市場への影響
新規流入が止まるため、国内投資家のCEX選好は登録済み事業者へシフトしやすい一方、既存の流動性は直ちに大きく毀損しない。
短期的には日本発の新規口座開設が国内CEXに向かい、KYC/本人確認を済ませた国内口座やBinance Japan等の登録済み外資系へと分散。既存Bybitユーザーは情報更新に応じつつ、段階的な制限移行リスクに備え出金動線・代替先の確保を進める公算が大きい。
論点とリスク
投資家保護とイノベーションの両立が論点であり、無登録CEXのUX/流動性と法的保護のトレードオフが表面化した。
規制強化は投資家保護とガバナンス明確化に資する一方、上場スピードやプロダクト多様性は低下し得る。既存ユーザーにとっては「突然の出金停止・アプリ配信停止」など運営側措置の先回り対策が要点。
今後の注目点
| 期間・ステージ | フェーズ/議題 | 具体トピック | 期待されるアクション/影響 | 
|---|---|---|---|
| 2025-10〜 | 新規停止下での運用整理 | アナウンス更新、要件整備、既存ユーザー対応方針の明確化 | Bybitが日本向け情報を順次更新。追加措置の有無を告知、KYC/出金動線の確認が進む。 | 
| 2025-12〜2026 | 制度設計の深掘り | FIEA側での位置付け議論、銀行グループの参入容認検討、登録済みCEXの拡充 | FSA/JVCEAが制度論点を具体化。国内外CEXは日本戦略を見直し、上場銘柄やサービス範囲を再設計。 | 
| 継続(審査期間全般) | 登録審査 | 資産分別・カストディ、情報開示、広告・勧誘、アプリ配信再開条件の整備 | Bybitが内部統制・保全体制を強化し、当局審査に対応。条件充足後、段階的な機能再開の可能性。 | 
日本で新規利用可能な中央集権型取引所(2025-10時点)
国内登録済みCEXは顧客資産の分別管理・コールド管理・トラベルルールなど厳格基準により運営される。
主要CEXの比較(新規受付=日本居住者の可否/登録=FSA登録状況/主なセキュリティ事例/日本語)
| 取引所名 | 本拠地 | 日本人新規登録 | ライセンス/登録状況 | 過去の主なセキュリティ事件 | 日本語対応 | 
|---|---|---|---|---|---|
| bitFlyer | 日本(東京) | 〇 | 登録済(FSA) | 大規模流出事例なし | 〇 | 
| Coincheck | 日本(東京) | 〇 | 登録済(FSA) | 2018年 NEM流出 約$530M | 〇 | 
| bitbank | 日本(東京) | 〇 | 登録済(FSA) | 大規模流出事例なし | 〇 | 
| GMOコイン | 日本(東京) | 〇 | 登録済(FSA) | 大規模流出事例なし | 〇 | 
| DMM Bitcoin | 日本(東京) | 〇 | 登録済(FSA) | 2024-05 BTC流出 約$305M | 〇 | 
| SBI VCトレード | 日本(東京) | 〇 | 登録済(FSA) | 大規模流出事例なし | 〇 | 
| 楽天ウォレット | 日本(東京) | 〇 | 登録済(FSA) | 大規模流出事例なし | 〇 | 
| OKCoin Japan(OKJ) | 日本(東京) | 〇 | 登録済(FSA) | 大規模流出事例なし | 〇 | 
| Binance(Japan) | 日本(東京) | 〇 | 登録済(2023取得) | 2019年 7,000BTC流出 | 〇 | 
| CoinBase(Japan) | — | —(2023-01に国内事業停止) | — | — | — | 
| BitTrade(旧Huobi Japan) | 日本(東京) | 〇 | 登録済(FSA) | 大規模流出事例なし | 〇 | 
| KuCoin | 海外 | △(無登録・警告) | 未登録(FSA警告) | 2020年 約$280M流出 | 〇 | 
| Bitget | 海外 | △(無登録・警告) | 未登録(FSA警告) | 公表大規模流出なし | 〇 | 
| MEXC Global | 海外 | △(無登録・警告) | 未登録(FSA警告) | 公表大規模流出なし | 〇 | 
※「△」は技術的に口座開設可能な局面があり得ても、無登録に対する度重なる警告・アプリ配信停止要請等のリスクが高いことを示す。
セキュリティの含意
国内ではCoincheck事件以降、ガバナンスと保全体制の底上げが進み、近年の大規模流出は限定的となった。
一方、グローバルCEXでは2019年のBinance、2020年のKuCoin、2025年のBybitなど大型事案が発生。二要素認証・出金許可リスト等のユーザー側対策は引き続き有効。
▽ FAQ
Q. Bybitの日本での新規登録停止はいつ、誰に適用?
A. 2025-10-31 21:00(JST)から、日本居住者・日本国籍の新規登録が対象。既存は当面継続可。
Q. 既存ユーザーは何を準備すべき?
A. 追加措置に備え、二要素認証・出金アドレス固定・代替CEX口座や自主管理ウォレットを準備。
Q. 類似の海外対応は?
A. 英国(2023-10)での一時停止、仏(2024-08)での撤退・出金のみ化、加(2022-06)でのOSC和解等。
Q. 国内の登録済み主要CEXは?
A. bitFlyer、bitbank、GMOコイン、SBI VC、楽天W、OKCoin Japan、Binance Japanなどが新規受入可。
■ ニュース解説
新規登録停止は日本の規制整備に適合するための暫定措置であるため、既存顧客の即時影響は限定的だが、段階的制限への移行余地は残る。
投資家の視点:登録済みCEXの口座確保と、保全(2FA・出金許可リスト・コールド保管併用)を標準装備にし、運営側の告知・期日を基に計画的にリスクを低減する。
※本稿は一般的な情報提供であり投資助言ではありません。
(参考:CryptoBriefing,Markets Insider)


 
											


