▽ 要約
マクロ … 10-31にFRBがレポ$29.4B、12月利下げ観測。
EU監督 … ESMA一元監督案が台頭、MiCA補完へ。
KITE … 11-03に上場・エアドロ解放、需給に一石。
オンチェーン … 鯨の1,200 BTC入金で短期フロー変化。
FRB資金供給とEU監督案、KITE上場が重なったため、11月3日の暗号資産はBTCフロー主導でレンジ継続となった。
投資家が知りたいのは、金利・規制・個別材料が価格にどう効くかであり、結論は「BTCフローが主役のレンジ継続」です。10-31のFRBレポ$29.4Bと12月利下げ観測、EUの一元監督案、さらにKITE上場・配布が同時到来したため、資金の出入りが短期の値動きを規定しました。本稿は11月3日の暗号資産市況を、BTCフローの観点で整理し、当面の注目点を解説します。
市況総括
FRBの流動性供給と米中関係の緊張緩和でリスク許容度は上向いたが、BTCは$110,000前後の攻防が続き、ETHは$3,900を回復した。
・10-31にFRBがオーバーナイト・レポで$29.4Bを実施、短期資金のひっ迫シグナルを和らげました。加えてウォーラー理事は12月の追加利下げ支持を明言し、金利低下期待がデジタル資産にテール風を与えています。
・一方で、月末・週末要因とイベント前のポジション調整が重なり、現物・先物のフローは弱含みと強含みが交錯。BTCは$110,000割れと戻りを反復し、方向感はなお限定的です。
レンジ・需給の見方
短期は「イベント→反応→消化」のサイクルが早く、鯨のCEX入金や新規上場銘柄の資金吸収で上値を抑えやすい一方、金利低下観測が下値を切り上げるため、$105k〜$115kのレンジ維持が妥当とみる。
・オンチェーンでは、過去に急落前ショートで知られるアドレスのCEX(Kraken)入金が累計1,200 BTC規模で観測され、短期の売り圧力として意識されています。
・ETHは$3,900台を回復。清算動向は薄商いで増幅されやすく、イベント寄りの値動きに注意が必要です。
規制・政策アップデート
EUはESMAによる取引所等の一元監督案を検討しており、MiCAの実装を補完する形で越境事業者への直接監督を強化する見通しのため、欧州向け上場・清算のコスト構造が変わる可能性が高い。
・米国ではFRBがバランスシート縮小の年内停止とTビル再投資方針を併記、10-31のレポ実施は「流動性ファシリティの弾力運用」を示唆します。ウォーラー理事は12月利下げを支持、ローガン総裁は慎重姿勢で、内部でも見解の相違が続きます。
・米中は関税・レアアース・農産品での緊張緩和に合意。サプライチェーン不確実性の低下は、リスク資産のボラティリティ縮小要因となり得ます。
・犯罪対策では、米当局がカンボジア関連詐欺事件で約$15B相当のBTCを押収。不正資金の追跡・没収能力が再確認され、コンプライアンス強化の圧力が続きます。
企業・資金調達・プロジェクト動向
イベント前後での新規上場・施策が資金フローを分散させるため、短期の個別物色と指数の小動きが併存した。
・KITE:Binanceで11-03 13:00(UTC)上場、Airdrop請求は同日12:00(UTC)開始。初期流通18%見込みで、短期の資金吸収要因になりやすい。
・Bybit:資金調達率の結算頻度を上限到達時に自動的に短縮する機能を全体適用。極端なレバ偏り時の価格発散抑制が狙い。
・Berkshire Hathawayの現金保有は$381.7Bで過去最高。安全資産需要の再確認は、暗号資産のリスクプレミアム評価にも影響します。
・オンチェーン:鯨の取引所入金やデリバ清算の「点の圧力」は続くが、金利面の「面の支え」が拮抗。
KITEの上場・配布
配布はコミュニティ配分が厚く、短期の循環売買とポイント経由の需給流入が交錯するため、初期ボラ拡大と出来高集中が想定される。
流動性と取引所施策
資金調達率の自動調整は、相場極端時の両建てコストを適正化し、清算連鎖の抑制に資する一方、裁定・回転系の収益機会は縮小し得る。
イベント
香港FinTech Week(11-03〜11-07)ではVC・大手取引所・トークン化(RWA)関連の議題が中心となるため、アジア時間の材料フロー増加が見込まれる。
▽ FAQ
Q. FRBのレポ$29.4Bはいつ・どの規模?
A. 2025-10-31に$29.4Bのオーバーナイトレポ。短期資金の逼迫緩和を狙う時限的供給です。
Q. EUの一元監督案は何を強化?
A. ESMAに越境大手の直接監督権限を付与し、取引所・CASP等の分断監督を解消します(MiCA補完)。
Q. KITEの上場・Airdropは?
A. Binance上場は11-03 13:00(UTC)、請求は12:00(UTC)開始、初期流通約18%想定と案内されています。
Q. BTC・ETHの直近水準は?
A. 11-02時点でBTCは$110,000割れ、ETHは$3,900台回復。材料反応が早くレンジ継続です。
Q. $15B相当のBTC押収とは?
A. Prince Group関連の詐欺事件で米当局が127,271BTC超を押収、被害者補償に充てられる公算です。
■ ニュース解説
FRBの資金供給と利下げ観測が下支えとなったため、規制・政策の先行き見通し改善(EU案)と個別材料(KITE上場)が重なっても、価格はフロー均衡でレンジに収れんした。
投資家の視点:短期はイベント消化までレンジ取引・ガンマ活用が合理的、現物は押し目の板状況とCEX入金監視、先物は資金調達率の変化点と清算密度に合わせたサイズ管理が無難。
※本稿は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
(参考:U.S. Department of Justice,U.S. Treasury)





