BlackRock、5.24億ドルのビットコイン購入

▽ 要約

フロー速報 8/14のIBIT純流入は+5.24億ドルで首位。全体は+2.31億ドル。
ファンド概況 IBITはAUM約760億ドル、保有70万BTC超と報道。
市場影響 BTCはPPI後に反落も大口買いで下げ渋り、清算は約10億ドル。
規制動向 SECがインカインド解禁、創設・償還の効率化が進展。

米インフレ指標で相場が乱高下するなか、BlackRockが5.24億ドルのビットコイン購入でIBITへの資金流入を牽引し、市場の下支え要因となった。本稿はIBITの構造・AUM・当日のフローと執行手法、価格・出来高・心理への影響、他機関の動向を解説する。

IBIT(iShares Bitcoin Trust/ティッカーIBIT)の概要と運用状況

IBITは2024年1月に設定・上場しCoinbase Custodyを保管に採用する現物連動型で、手数料0.25%の低コストのため需要を集めている。

商品構造・保管体制と手数料

現物保管はCoinbase Custody Trust Company、売買執行はCoinbase Prime(アルゴ執行・OTC接続)を用い、当初は現金創設中心だったが2025年7月のSEC決定でインカインド創設・償還が可能となり執行効率が高まった。

AUM・保有BTC・パフォーマンス

2025年7月時点でAUM約760億ドル・保有70万BTC超と報じられ、2025年8月14日時点の年初来騰落率は+25.99%で、BTC自体も8月に史上高約12.4万ドルを更新した。

上場日・設定日の整理

設定(Fund inception)は2024年1月5日、取引開始は同年1月11日で、世界最大級のビットコインファンドへと急成長した。

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今回の購入(5.24億ドル)の詳細

8月14日(米東部)にIBITへ+5.237億ドルの純流入が入り、同日の米現物BTC ETF全体は+2.308億ドルの純流入、同時にETH現物ETFは+6.40億ドル(ETHAが+5.20億ドル)と対照的だった。

購入量・タイミングと執行

相場がATH(約12.4万ドル)直後にPPI上振れで急落した局面での創設需要に伴う現物取得で、AP経由の創設・償還とCoinbase Primeの流動性接続によりスリッページを抑えた大口執行が行われた。

当日の出来高と価格動向

8月14日のIBIT出来高は7,119万口(終値約67ドル換算で約47.7億ドル)に達し、BTCは一時11.9万ドルへ反落後に下げ渋った。24時間清算は約10億ドル規模と報じられた。

市場への影響(価格・ボラティリティ・取引量)

機関主導の資金流入が価格の下支えとして機能し、清算連鎖後のボラティリティを相対的に抑制、投資家心理は恐怖から中立圏へ回復したとの指標も観測された。

短期の価格安定化メカニズム

IBITなど現物ETFの創設需要は現物買付を直ちに誘発するため、下落時に需給タイト化を通じた反発圧力となり得る。一方で他ETFの資金流出が同日に観測され、ネットでは+2.31億ドルにとどまった。

投資家心理と出来高の連動

IBITの大商いは株式市場の主力ETF水準に匹敵し、現物市場・先物市場の板厚化を通じてスプレッド縮小に寄与した可能性がある。Fear & Greedは急低下後に中立近辺へ復帰したとの報。

他の大手機関投資家の動きとの比較

Brevan HowardがIBITに約23億ドル、ポートフォリオの約22%を配分したとの13F報、ハーバード大学基金が1.16億ドル相当のIBIT保有、ノルウェー政府年金基金は関連株経由のBTCエクスポージャーを上期に+192%と、多層的な機関マネーの流入が続く。

競合ETFのフロー動向

同日、ARKBは-1.50億ドルの流出、GBTCの流出鈍化やMini Trustの台頭も観測され、低コスト・高流動性銘柄へのシェア移転が続く。

企業の保有動向と再編

MicroStrategyは2025年に「Strategy Inc.」へ改称しBTC保有企業としての戦略を継続、ETF(IBIT)はわずか1年半でその複数倍の現物を吸収する規模へ達した。

アナリスト・メディアの評価

Balchunas氏は「IBITはBlackRockの約1,200本のETFの中で収益上位3位」、Geraci氏は「18か月で70万BTCはridiculous」と指摘。ReutersはBlackRockのJacobs氏の「富裕層・独立系アドバイザーからの乗り換え」を報じるなど、需要の裾野拡大を示す声が多い。

▽ FAQ

Q. 5.24億ドルの買付は何を意味する?
A. 8/14のIBIT純流入に対応する現物取得で、他ETFの流出を差引後も全体純流入+2.31億ドルを牽引した。

Q. IBITの保管・売買体制は?
A. 保管はCoinbase Custody、執行はCoinbase Prime(アルゴ・OTC)で、SECの決定によりインカインド創設も可能に。

Q. IBITの規模はどの程度?
A. 2025年7月にAUM約760億ドル・保有70万BTC超、8/14時点の年初来NAVは+25.99%と公表・報道された。

Q. 同日のETH現物ETFは?
A. 純流入+6.40億ドルで、BlackRockのETHAが+5.20億ドルと首位、出来高も過去最高水準と報じられた。

Q. 他の大手機関の動きは?
A. Brevan HowardがIBITに約23億ドル、Harvard基金が1.16億ドル、ノルウェー政府年金基金は間接保有を+192%増。

■ ニュース解説

IBITへ単日+5.24億ドルの流入がありPPI上振れでの反落局面でも需給を下支えしたため、BTCは11.9万ドル付近で下げ渋り、清算約10億ドル後に心理が中立圏へ回復した。

投資家の視点:割安局面のETF経由の資金流入が短期の下支えとなる一方、他銘柄の流出やレバレッジ清算の連鎖でボラが拡大し得る。現物ETFのコスト差・流動性・創設方式(現金/インカインド)の変化を注視し、配分比率と執行手段(指値・時間分散)を明確にして臨むべきだ。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:BlackRock,SEC,NASDAQ