▽ 要約
ビットポイント:国内取引所でライトニング対応を検討開始。実装なら“初”。
SOFi:UMA+LNで米→墨送金を年内開始予定。手数料と為替を事前提示。
テク概要:オフチェーンで即時・低コスト、1サトシ水準のベース手数料例。
産業影響:取引所間資金移動や小口決済が滑らかになり流動性向上。
国内交換業者の対応は進むのかという疑問に対し、2025年8月22日にビットポイントがライトニング対応の本格検討を公表し、米SoFiはレイヤー2を国際送金に組み込む方針を示した。結論として、ビットポイント ライトニングネットワーク対応は国内初の実装候補であり、送金速度と手数料の課題を同時に解きうる。読了メリットとして、技術の要点、実装時の利用シナリオ、業界への波及を一次情報を中心に短時間で把握できる。
発表の要点—国内“初”の可能性と当面の論点
国内交換業者でライトニングの量産運用は未到達のため、ビットポイントは安全性とオペレーション確立を優先し、段階導入を示唆した。
ビットポイントは導入が実現すれば「国内初」と明記し、まず提供体制の確立と技術検討を進めるとした。優先すべき論点は、①出金・入金の対応順序、②最大・最小額や手数料設計、③チャネル運用と流動性確保(LSP活用)である。国内では手数料高騰時のオンチェーン送金が遅延・高コストになりやすく、LN導入はアービトラージや店頭決済の実務面を大きく改善しうる。
国内の先行例—ビットバンクの発表と現在地
方針公表は先行したが開始時期は未定のため、“初”の地位は実装順に左右される。
ビットバンクは2024年9月、LUD‑16(Lightning Address)対応方針を表明し入金無料等の設計案に言及したが、時期は未定としている。独自開発のNLoopでチャネル流動性を自動化するなどR&Dは厚いが、量産運用とサービス告知は別工程であり、現時点の“初”は実装タイミング次第だ。
ライトニングネットワークの技術要点
オンチェーンのボトルネックを回避するため、ユーザー間のチャネルで更新差分のみを最終コミットする。
LNはビットコイン上のレイヤー2で、支払いチャネルを開いた後はオフチェーンで複数回の更新を行い、最終残高のみをL1に確定する。これにより承認待ち(平均約10分)の制約を回避し、秒〜ミリ秒オーダーの清算と低コスト化が可能になる。
チャネルとルーティング—手数料の内訳
ルーティング経路の各ノードに対しベース手数料と比例手数料が設定されるため、少額でも経済性が維持される。
多くのノードはベース手数料を1サトシに設定する事例が多く、これに微小な比例料率が加わる。開閉時はオンチェーン手数料が発生するため、日常送金はチャネル維持とルーティング最適化(例:Predict等)で成功率とコストを管理するのが実務的だ。
ユースケース—マイクロペイメントと即時送金
投げ銭、サブスク課金、IoTの自動決済、海外送金で実用域にある。
少額送金でも費用対効果が立つため、クリエイター課金やニュース単品課金、Nostr系の小口送金が拡大した。さらにFiat↔BTC↔Fiatの“裏配線”として使えば、国境を越えた数秒送金や24/7提供が可能で、既存の営業時間・回線依存を回避できる。
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グローバル導入の進展—SoFi・Coinbase・Binanceほか
米銀SoFiはUMA+Lightningで送金を年内開始予定のため、銀行業のユースケースが現実化する。
SoFiはLightsparkのUMAを介し、米ドルを即時にBTCへ変換してLN経由で送電、着金側で現地通貨に自動換算・銀行口座に入金する構成を公表した。Coinbaseは2024年にLightningを実装し、2025年4月時点でBTCトランザクションの約15%がLightning経由と報告される。Binanceは2023年に入出金を対応、Krakenは2022年に対応済み。B2CではCash Appが主要アプリとして統合し、SNSではX(旧Twitter)が2021年にStrike経由のチップ機能を導入した。
主要企業の導入状況
企業・サービス | 導入状況・用途 | 導入時期・特記事項 |
---|---|---|
BITPOINT(日本) | BTCのLN入出金に向け検討開始。導入実現なら国内交換業で初見込み | 2025-08-22 公表(進捗随時) |
SoFi(米) | UMA+LNで国際送金(米→墨から)をアプリ内提供 | 2025年内開始予定/米銀として先駆例 |
Coinbase(米) | Lightspark経由でLightning実装。選択制で送受金 | 2024-04 実装、2025-04 時点で約15%がLN経由報告 |
Binance(国際) | BTCのLN入出金を統合 | 2023-07 完了 |
Kraken(米) | LNでBTC入出金に対応 | 2022-04 対応開始 |
Cash App(米) | 個人間送金アプリにLN統合(送受対応) | 2022-01 段階導入 |
▽ FAQ
Q. ビットポイントは何を発表した?
A. 2025年8月22日にLN対応の本格検討開始を公表。体制整備後にサービス詳細を案内するとした。
Q. SoFiの送金はどのように動く?
A. 米ドルを即時BTC化しLNで転送、受取側で現地通貨に自動交換して銀行口座に入金する。24/7提供予定。
Q. 手数料はどれくらい安いのか?
A. 多くのノードでベース手数料1サトシ例が一般的で、比例手数料も小さいため小口送金でも採算化しやすい。
Q. Coinbaseの採用度合いは?
A. 2024年実装後、2025年4月時点でBTCトランザクションの約15%がLightning経由と報告されている。
Q. 国内“初”の条件は何か?
A. 方針公表ではなく実装開始の確認が条件。開始順によって“初”の帰趨が決まるため続報が重要となる。
■ ニュース解説
国内取引所がLN導入を検討し、米銀SoFiがUMA+LNで国際送金に踏み出すため、決済インフラとしてのBTC活用が現実解に近づいた。一方でチャネル運用・流動性・KYC/AML設計など運用要件は重く、段階導入と信頼性評価が鍵となる。
投資家の視点:取引所間移動や出金コストの低減で裁定取引や入出金の回転が改善しうる。企業サイドはLN対応でユーザー獲得と手数料構造の最適化が見込めるが、チャネル維持費や限度額設計、規制順守コストを織り込む必要がある。ボラティリティとオンチェーン混雑時のフォールバックも要確認。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:株式会社ビットポイントジャパン,PR TIMES)