【要約】
・ビットコイン(BTC)が2024~2025年に急騰し、10万ドル超えを達成
・ETHは過去最高値を更新できず、DeFiやNFTブームも不発
・Memeコインやエアドロップによる「一獲千金」事例が相次ぎ、一方で多くの投資家が苦戦
・BTC保有者、チェーン上P元帥、エアドロップハンターが今回の大相場の最大勝者に
・巨鯨James Wynnによるビットコインの大胆予測と膨大なレバレッジ多頭ポジションが話題
ビットコイン(BTC)が牽引した2025年サイクル
2024年から2025年にかけて、ビットコインは底値1.5万ドルをつけた後に一気に10万ドルを突破し、暗号資産(加密)市場の注目度が再び最高潮に達しました。トランプ大統領の再任と、その下での加密政策緩和、さらにビットコイン現物ETFの承認が重なり、トラディショナル・ファイナンス(TradFi)からの巨額資金が一気に流入したことが背景にあります。
実際、昨年までは「眠っている間にでも稼げる」と言われたマーケットに慣れていた古参投資家ですら、2024年の相場では大きく損失を出すケースが目立ちました。たとえば小ス(シャオスー)という投資家は、前回の2021年バブルではVC銘柄の急騰で大きな利益を得ることに成功。しかし今回のサイクルで再び重倉したVCトークンは市場動向に乗れず、累積利益の大半を吐き出してしまったと言います。
一方で、ビットコインだけに焦点を当て続けた投資家は大成功を収めました。たとえば2022年に設立されたファンド「NDV(NextGen Digital Venture)」は、ビットコイン現物ETFの思惑や関連株への投資を軸にトレンドを捉え、2025年2月までに3.75倍という好リターンを確保。その後、新たな二期ファンドをスタートさせています。大手金融機関がETFの形でビットコインに資金を振り向け始めた結果、ビットコインは他のアルトコインを大きくアウトパフォームし、多数のホルダーが歴史的な利益を享受している状況です。
イーサリアム(ETH)の失速とMemeブーム
ところが今回のサイクルでは、これまで常にビットコインと並び市場の牽引役だったイーサリアム(ETH)が苦戦を強いられています。DeFiやNFTといった2021年の主要叙事は再燃せず、ETH自体も過去最高値を更新できなかったため、投資家の期待を大きく裏切る結果となりました。
逆に盛り上がりを見せたのが、Memeコインの投機ブームです。2024年には、PEPE・TURBOなどのMemeトークンが誕生後わずか数日で莫大な時価総額に膨れ上がるケースが続出。一部の投資家は数百万ドル相当の利益を得たとされ、「BOME」というトークンでは200ドルの投資が72時間で200万ドルに化ける事例も伝えられています。さらに、トランプ大統領の名前を冠した「TRUMP」というMemeコインでは、0xSunやCryptoDなどのトレーダーが単一銘柄だけで数千万ドル規模の利益を記録。まさに「一攫千金」の夢を見られる、非常に過熱した投機の舞台となりました。
もっとも、多くの一般投資家は天井を掴んで損失を出すことも少なくなく、「Memeはただの宝くじにすぎない」との批判の声も上がっています。大勝者は一部の先行者と情報に長けたトレーダーだけで、大半の参加者は刮(こす)っただけで終わる、いわゆる「売り逃げた人だけが勝ち」という市場構造が改めて顕在化しました。
エアドロップハンターの台頭
Memeに続く形で、エアドロップによる資金獲得も引き続き注目トピックでした。DeFiやレイヤー2プロジェクトが相次いでトークンを配布した2020~2021年が「エアドロップ黄金時代」と呼ばれ、Uniswap、ENS、dYdXなど、単体で数千ドルから数万ドル規模のリワードが得られた例もあります。
しかし今サイクルでは、アクティブにエアドロップを狙う「エアドロップハンター」によるアカウントの多重運用や、同一人物が大量のトークンを取得する「女巫(ウィッチ)攻撃」対策の強化により、難易度は格段に上昇。大きな利益を得られるのは、一部の高い技術力や情報網を持つプレイヤーに限られるようになっています。
それでも、ArbitrumやSuiなど一部の大型プロジェクトでは依然として億単位のリワードが発生。プロ投資家の豊密(ほうみつ)氏は、Arbitrumエアドロップだけで日本円にして3,000万円を超える利益を得たほか、Wormholeのエアドロップも時価ではさらに大きい数字だったと明かしています。一方で、エアドロップのタイミングを誤って売却機会を逸し、結局ほとんど利益を残せなかった「帳簿上だけの大勝利」も珍しくありません。
総じて「エアドロップは一夜にして人生を変える可能性のある手段」である一方、プロジェクトによる選別や情報格差が大きく、継続的な時間投下や研究が必要な世界です。近年はプロジェクト側がエアドロップ量を厳しく制限する流れも強まり、かつてのような「誰でも得をする」状況は過ぎ去りつつあるという見方が一般的です。
巨鯨James Wynnの大胆なビットコイン予測
こうしたなか、X(旧Twitter)上で注目を集めているのが、巨鯨投資家James Wynnです。彼は「ビットコインは来週に11.8万~12.1万ドルに到達する」と予想し、短期的にも11.05万ドルまでの反発があるとSNSで言及しました。ただしあくまで予測であり、財務的な助言ではないと強調しています。
さらに、James Wynnはハイパーリキッド取引所でのビットコインロングポジション状況も公開。現在40倍レバレッジで約11,588BTC(およそ12.66億ドル相当)を保有しているとされ、開倉(エントリー)価格が10万8,916ドル、清算価格は10万5,179ドルという大規模なポジションです。こうしたリスクテイクの大胆さは多くの投資家の目を引きつけており、今後の値動きによっては市場に大きなインパクトを与えることが予想されます。
ニュースの解説
今回紹介したJames Wynn氏の大口多頭ポジションや、ビットコインが引き続き10万ドル超の水準を保っている背景には、ETF承認や米国政府の加密政策緩和など複合的な好材料が存在しています。一方でイーサリアム系の山寨プロジェクトやMemeコインは、相変わらず「大勝か大損」かの二極化が進んでおり、余剰資金とリスク管理が欠かせません。
ビットコイン保有者の多数がすでに利益圏内にいることを考えると、さらなる上昇を見込む資金が流入し続ける可能性は十分あります。とはいえJames Wynn氏のように大規模レバレッジを活用する手法は、急落時の清算リスクが高く、真似するには相当の経験や資金力を要するでしょう。
今サイクルでは、シンプルなビットコイン現物ホールドから超短期のMeme投資、エアドロップリサーチに至るまで、投資スタイルの多様化と格差が大きく拡大しました。誰もが以前のように「寝ている間に稼げる」相場ではなくなりましたが、それでもなおビットコインは不動の地位を保ち、そこに政策とETF需要が加わり一気に爆発的な価格上昇をもたらしたといえます。市場環境が再び大きく変化する可能性は十分あるため、各プレイヤーが引き続き慎重に相場を観察していく必要があるでしょう。