▽ 要約
国際:BITCOIN法案が「戦略的備蓄」構想を前進
規制:SEC円卓で監視とプライバシーの均衡を討議
財務:TetherとMetaplanetが大型積増し
電子証券化:ナスダックが株式の連動取引を申請
国家・企業・市場インフラの三層でビットコイン財務戦略が加速しているため、米国の「戦略的備蓄」法案から企業の大量保有、証券のトークン化まで最新10件を一次情報で横断整理する。投資判断の前提となる規制・需給・技術の要点を、150字ブロック最適化で短時間に把握できるように解説する。
米「戦略的ビットコイン備蓄」法案の要諦
米連邦政府が分散金庫でBTCを保有し、最大100万BTC(供給の約5%)を段階取得する構想が上院提出済みで、財務省管理と透明性条項が柱となる。
法案S.4912(BITCOIN Act, 2024-07-31提出)は、既存保有の政府BTC移管、州の任意預け入れ口座、FRB余剰等の活用で費用相殺を含む。成立は未了だが、国家資産としての公式取扱いに道筋を付ける試みだ。
SEC「監視とプライバシー」公開円卓(10/17)
監視と個人情報保護の最適点を探る公開円卓を2025-10-17に開催し、Crypto Task Forceとピアース委員が主導するため、ルール形成の現場知に触れられる。
同委員会は春から「Crypto Clarity」シリーズを継続。監視技術・自己主権型ID・ゼロ知識系の実務論点が俎上に載る見通しだ。
企業トレジャリー最前線:Tetherと「Twenty One」
USDT発行体Tetherは2025年Q2に純利益49億ドル、米国債保有1,270億ドル超を開示し、BTC・金の評価益を含め備蓄を拡大した。CEOは「上位3ETFを除くETF合計超」の年間積増しを示唆した。
一方、Tetherと関係各社は新設の「Twenty One Capital(XXI)」にBTCを移転・拠出。XXIは4万BTC規模で上場準備を進め、企業向けBTC融資などを構想する。市場売却ではなく内部移転との説明も出ている。
米デジタル資産市場構造(CLARITY法案)
機能ベースでSEC/CFTC管轄を明確化するH.R.3633(CLARITY)は2025-07-17に下院可決し、上院審議待ちとなった。市場の登録・開示・保護義務の骨格を整える。
州証券当局や法律事務所からは修正意見も出ており、最終像は上院版と調整のうえ収斂していく公算だ。
学術フロンティア:火星貿易×ビットコイン
惑星間通信の遅延・断続性を踏まえた「Proof‑of‑Transit Timestamping(PoTT)」で、地球L1を変えず火星側をフェデレーションやBMM系で補完する設計が提案された。
長距離の改ざん耐性ある監査証跡を実現し、将来の惑星間経済に向けた通貨基盤の議論を促す位置づけだ。
地政学のレトリック:ロシア側発言
東方経済フォーラムでプーチン大統領顧問が「米国は35兆ドル債務の“暗号・金”リセットを画策」と主張し、安定性リスクを喚起したが、米政府の公式計画は未確認である。
発言は政治的文脈の色彩が濃く、事実評価は慎重を要する。一次資料の開示や政策立案の動向監視が必要だ。
ブランド新参:easyBitcoin(Stelios)
イージージェット創業者ステリオス氏がUphold提携で「easyBitcoin」を開始予定と発表し、低手数料と1%ボーナス・USD年利4.5%をうたう。
「航空の低コスト革命」を暗号にも――とのメッセージで、一般投資家の参入障壁低減を狙う。詳細はローンチ時の約款確認が必須。
アジアのトレジャリー:HashKeyの5億ドルDAT
香港HashKeyは企業バランスシートの暗号資産組入れを支援するDATファンドを5億ドル規模で立ち上げ、BTC/ETHを主軸にアジア機関の橋渡しを図る。
規模・規制整備・標準化の三点で、企業の「暗号準備」導入を制度設計から押し上げる狙いがある。
上場と評価益:トランプ家×ABTC/WLFI
ABTC(American Bitcoin)上場やWLFIの値付けで、トランプ家の純資産は数週間で約13億ドル増と推計された(変動性は極めて高い)。
ABTCはGryphonとの統合後に乱高下、2.1億ドルのATM増資登録も。WLFIはロックアップ資産を除外した試算が前提である。
アフリカ初の本格財務戦略:Altvest
南アのAltvestはBTCをトレジャリー資産とする方針を開示し、社名を「Africa Bitcoin Corp」へ改称検討、さらに3.7bnランド(約2.1億ドル)調達計画を公表した。
JSE上場企業が間接的に機関資金へBTCエクスポージャーを提供する試みで、地域の採用拡大の試金石となる。
日本の大型保有:Metaplanetが2万BTC超
Metaplanetは直近136BTCを追加し総保有20,136BTCに到達、平均取得約10.3万ドルで約20億〜22億ドル評価とされる。
年内・中期の積増し計画も示唆され、国内企業のBTC財務戦略のベンチマーク的存在に浮上している。
取引所の独自チェーン:Upbit「GIWA」観測
韓国最大手Upbitの親会社Dunamuが「GIWA」を商標出願し、UDC会期に合わせたカウントダウンサイトが確認され、L1/L2いずれかの独自網観測が強い。
公式詳細は未発表だが、BaseやBNBに類するエコシステム強化の布石となる可能性がある。
巨鯨の動き:Strategy(旧MicroStrategy)
Strategyは9/2–7に1,955BTC(約2.17億ドル)追加し、総保有638,460BTC、平均取得7.388万ドルとなった。発行済み供給の3%超を単独保有する。
指数採用の思惑と調達手段(普通株・優先・社債)を織り交ぜつつ、企業型BTCエクイティの代表リスク/リターンを体現している。
国家証券インフラ:ナスダックの株式トークン化
ナスダックは株式・ETFをトークン化し、従来株と同一板・同一優先規則で取引可能とする規則改正をSECに申請した。
承認されれば主要市場で初の本格導入となり、DTC連携の下でオンチェーン決済と既存決済の選択制を想定する。
関連:ビットコイン保有 企業トレジャリーTOP100(9/4時点)
▽ FAQ
Q. 米BITCOIN法案の上限と期間は?
A. 100万BTCを数年で取得し財務省が分散金庫で保管、2024-07-31に上院提出(S.4912)で現在も審議段階です。
Q. SEC円卓の日時と焦点は?
A. 2025-10-17、監視(サーベイランス)とプライバシー。Crypto Task Forceとピアース委員が主導します。
Q. CLARITY法案はどこまで進んだ?
A. 下院は2025-07-17に可決(294–134)。SEC/CFTCの管轄分担や登録・開示の枠組みを整備します。
Q. Metaplanetの保有BTC・取得単価は?
A. 2025-09-08時点で20,136BTC、平均約$103,000/BTC。直近で136BTCを追加取得しました。
Q. ナスダックの申請は何が画期的?
A. トークン化株を同一板・同等権利で扱う点。DTC連携でオンチェーンと従来決済の選択制を打ち出しました。
■ ニュース解説
国家(BITCOIN法案・SEC円卓・ナスダック申請)が制度と市場インフラを整備しつつ、企業(Tether・Strategy・Metaplanet・HashKey)がトレジャリーと商品化を進めたため、需給と資本コストの両面でBTCの制度的受容が加速した。
投資家の視点:各トピックは規制・会計・流動性の前提が異なる。①法案・規則は成立・承認前提を切り分ける、②企業のBTC積増しは資金調達手段と含み益/希薄化のバランスを見る、③トークン化は権利同等性と保管・決済の運用実装を確認する、の三点をチェックリスト化したい。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:Congress.gov,Lummis事務所,SEC)