2月9日 ビットコイン急落と規制総括

▽ 要約

価格:BTCは$60,017まで急落後に$71,464へ反発。
規制:米法案前進、EUはMiCA/DAC8の実装を督促。
事件:Bithumb誤配布とDeFiハックで運営リスクが露呈。

2026-02-08までに、ビットコイン急落の値動き、米欧中の規制整理、主要企業・取引所の再編と事故、セキュリティ被害を投資家目線で俯瞰する。

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ビットコイン急落はどこで止まるのか、規制は追い風か逆風か。2月初旬の市場は急落と急反発が交錯し、政策・企業動向がボラティリティを増幅した。本稿は価格、規制、企業・セキュリティを整理し、次に見るべき指標を短時間で掴めるよう解説します。

市況総括(価格・フロー・センチメント)

2月第1週は急落と“深V”反発が同居し、薄い板とヘッジ需要が値動きを拡大させた。

2026-02-06、ビットコインは一時$60,017.60まで下落した後、同日に$71,464.96まで急反発した。
24時間で振れ幅が大きく、週次では約8%下落と不安定さが残った。

暗号資産全体の時価総額は、2025-10初旬の約$4.379Tから2月時点で約$2.38Tへ縮小したとされる。
イーサリアムも2026-02-06に$1,753.98まで下げ、戻り局面でも週間ではマイナス圏が意識された。

急変の背景には、マクロのリスク回避と流動性収縮への警戒がある。
米国では次期FRB議長に引き締め色の強いケビン・ウォーシュ氏が指名されたとの報道もあり、リスク資産全般のボラティリティが上がった。

デリバティブでは下方ヘッジが目立ち、2月末に向けて$60,000〜$50,000のプット需要が増えたとの指摘がある。
一方向のヘッジが積み上がる局面では、清算と反発が連鎖しやすい点に注意したい。

規制・政策アップデート

米国は立法と当局運用が同時進行し、EUは統一ルール順守を督促、中国は全面禁止を再確認した。

米国:市場構造法案と当局の運用

上院では市場構造の議論が進み、監督権限の線引きが投資家の関心テーマになっている。

2026-01-29、米上院農業委員会は暗号資産の市場構造法案を可決し、CFTCの権限拡大を含む枠組みを前進させた。
一方でステーブルコインを巡っては、利回り(リワード)付与の扱いなどで調整が続き、2026-02上旬にはホワイトハウスが関係者を招集したと報じられた。

2026-02-02、SECは米国初期のDAOとして知られるAmerican CryptoFed DAOに関する手続を取り下げた。
2026-01-30にはOFACがZedcex/Zedxionを制裁対象に指定し、暗号資産交換業者への制裁適用が現実味を帯びた。

2026-02-04、CFTCは政治イベント契約(予測市場)を一律で禁じる方向だった規制案を撤回した。
禁止から「商品取引法に沿った整理」へ舵を切った形で、予測市場や関連トークンの規制解釈にも波及し得る。

関連:2月7日:ビットコインETF流出と規制動向

EU:MiCAとDAC8の“実装”フェーズ

EUではMiCAの統一運用と、税務情報交換ルールの国内法化が同時に走っている。

欧州委員会は2026-01-29の侵害手続パッケージで、暗号資産の税務報告(DAC8/指令(EU)2023/2226)の国内法化が不十分な加盟国に是正を求めた。
MiCAに関してもハンガリーの独自制度が問題視され、域内ルールと整合させるよう求められている。

DAC8は2026-01-01に適用が始まり、CASPに取引データ収集と報告体制整備を促している。
投資家側も、EU居住者の取引情報が税務当局間で自動交換される前提で、コンプライアンスコストが価格に織り込まれる可能性を意識したい。

中国・日本:線引き強化と制度見直し

アジアでは「何を許容し、何を禁じるか」の線引きがより明確になりつつある。

中国では2026-02-06、人民銀行・証監会など関係当局が「虚拟货币等相关风险」への対応を強化する通知について説明し、仮想通貨関連活動の違法性を改めて強調した。
域外業者の中国居住者向けサービスも対象になり得るため、流動性の逃避先としての期待は持ちにくい。

日本では、利用者保護と市場育成の両面で制度の“再設計”が進む。
金融庁の検討資料では暗号資産規制の見直し論点が整理されており、2026年は改正資金決済法の施行準備と並行して議論が続く見通しだ。

企業・プロジェクト動向

価格調整は「暗号資産保有企業」と「取引所」の収益構造を揺さぶり、運営リスクも顕在化した。

暗号資産保有企業:含み損と資本政策

ビットコインを大量保有する企業は、価格下落がそのまま損益・資本政策に跳ね返りやすい。

Strategy(旧MicroStrategy)は2025年第4四半期に$12.4Bの純損失を計上した。
同社は713,502BTCを取得総額$54.26B(平均$76,052)で保有しており、価格水準次第で評価変動が大きくなる。

取引所:撤退・事故・当局対応

取引所ビジネスは、規制対応と市場低迷の同時進行で固定費の重さが増している。

Geminiは人員を約25%削減し、英国・EU・豪州などの口座を2026-03-05から出金専用、2026-04-06に閉鎖する方針を示した。
地域集中とコスト削減は合理的だが、流動性が分散する局面ではスプレッド拡大や価格乖離の温床にもなる。

韓国では2026-02-06にBithumbが販促の誤設定で合計620,000BTC(約$44B相当)を誤配布し、翌2026-02-07に公表した。
同取引所内のBTC価格は一時17%急落し、当局が緊急会合と現地検査の可能性に言及するなど、内部統制がテーマ化している。

セキュリティ:人間系リスクが主戦場に

相場低迷期ほど、攻撃者は「人」と「運用」を狙い、被害が表面化しやすい。

CertiKによれば2026-01の暗号資産流出は$370.3Mで、主因はフィッシング等のソーシャルエンジニアリング($311.3M)だった。
コード監査だけでは防げないため、権限管理・端末管理・承認フローの設計が重要になる。

Solana系のStep Financeは2026-01-31、トレジャリーウォレット侵害で261,854SOL(約$27M)を失ったと報じられた。
またTruebitは2026-01-08、整数オーバーフロー脆弱性を悪用され約$26.6M相当が流出し、古い実装のリスクが再確認された。

投資家心理・オンチェーンの注目点

センチメントは「極度の恐怖」寄りで、戻り局面でも下方ヘッジと流動性が値動きを支配しやすい。

短期では、オプションのプット需要と現物の薄さが重なると、下落→清算→反発の連鎖が起きやすい。
同時に、株式・金利見通しなどマクロ材料で相関が跳ねる局面では、暗号資産単体の材料だけで説明しにくい値動きも増える。

長期目線では、過去サイクルでも50%超の調整は繰り返されてきたため、下落=終わりと決めつける必要はない。
ただし規制の方向性、取引所の健全性、セキュリティ被害の質は「同じ下落」でも中身を変えるため、分解して観測したい。

▽ FAQ

Q. 直近のビットコインの安値と反発幅は?
A. 2026-02-06に$60,017.60まで下落後、同日$71,464.96まで反発。

Q. 暗号資産の時価総額はどの程度縮小した?
A. 2025-10初旬の約$4.379Tから、2月時点で約$2.38Tへ縮小と報道。

Q. Bithumbの誤配布は何が起きた?
A. 2026-02-06の販促で計620,000BTCを誤付与し、翌日99.7%回収と公表。

Q. 1月のセキュリティ被害の規模は?
A. CertiKは2026-01に40件で$370.3M、うちフィッシング$311.3Mと集計。

■ ニュース解説

急落局面で清算とヘッジ需要が強まったため価格が振れ、当局・企業の対応が同時に進んだので情報の取捨選択が難しくなった。
一方で米欧中の制度は方向性が見え始めつつあり、ただし運営事故や人間系攻撃が増えるほど市場の信頼コストは上がりやすい。
投資家の視点:価格だけでなく、(1)流動性、(2)規制の確度、(3)取引所の内部統制、(4)セキュリティの被害類型を並行して点検したい。

※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

(参考:Strategy