▽ 要約
マクロ:FRB9月利下げ確率87%でリスク資産に追い風。
ETF:米スポットETFが新規発行の3.6倍を買い越し。
ホールディング:IBIT約74.6万BTC、総計約129万BTC。
公的資金:州年金がMSTRで間接投資を拡大。
8月下旬の暗号資産市場では、ビットコインETF3.6倍買い越しやFRBの9月利下げ観測上昇が同時進行し、需給と金利の両面で追い風が強まった。直近の価格は高値圏からの調整局面でも、ETFの現物需要と政策転換期待が下支えしている。記事では最新データと一次情報を整理し、2025年後半の見取り図を解説する。
8月下旬の相場と需給——ETFフローが示す実像
8月下旬はBTCが年初来+18%で過去最高12万4,480ドル更新後に11万ドル前後へ調整したが、米スポットETFが新規発行の3.6倍を買い越したため需給は引き締まった。
8月28日はUSスポットETFのネット流入が1億7,890万ドル、約1,620BTCの純買いで、同日の新規採掘量(約450BTC)を大幅に上回った。4営業日連続の資金流入が続き、半減期後の固定的な供給制約がフローの価格感応度を高めている。
総在庫(フロート)と価格弾力性
ETFの連続流入は保管に伴い市場流通在庫を減らすため、フローが続く局面では上値が伸びやすく、一方で反転時は流動性不足が急落要因になり得る。
米スポットBTC ETFの合計保有は約129万BTCに達し、最大のIBITは約74.6万BTCを保有する。需給のタイト化が続けば、浮動在庫の薄さがボラティリティを増幅しやすい。
米金融政策の転機——9月利下げ観測の現在地
フェドウォッチで9月0.25%利下げ確率が87%へ上昇したため、実質金利低下期待が広がり、マクロ面でBTCのリスク選好を支える構図が強まった。
PCEデータが想定線で、9月16–17日のFOMCでの利下げ観測が優勢に。市場は年末までの複数回利下げを織り込みつつあり、為替・株式でも金利低下前提のポジショニングが進んでいる。
ウォラー理事のシグナルと政策パス
ウォラー理事は9月の0.25%利下げ支持と今後3〜6カ月の追加利下げを示唆したため、政策金利を中立3%方向へ近づける道筋が意識された。
講演はエコノミック・クラブ・オブ・マイアミで行われ、現行4.25~4.50%からの段階的な引き下げに言及した一次情報が公表済みである。NY連銀ウィリアムズ総裁も「データ次第で9月利下げは選択肢」と発言しており、市場の期待形成を後押しした。
公共マネーの間接投資——州年金とMicroStrategy
州年金など公共マネーがMSTRなどを通じて間接的にBTCへ投資しているため、直接保有を避ける機関の受け皿が拡大している。
フロリダ州年金は2025年Q1にMSTRを約22.2万株(約8,800万ドル)保有し、Q2末時点の外部集計では約24万株(約9,700万ドル)に達した。さらに2025年Q1には14州の年金・財務ファンドが合計6億3,200万ドル相当のMSTRを保有していた。
著名人の強気予測とセンチメント
著名人の強気発言は短期的な期待を高める一方で裏付けは不十分なため、需給と政策の実データを優先した観測が肝要だ。
エリック・トランプ氏は香港「ビットコイン・アジア」で「100万ドル到達」と発言。BTCは年初来+18%、8月中旬に12万4,480ドルの最高値を付けた後、11万ドル前後で推移している。
▽ FAQ
Q. 9月のFOMCで利下げはある?
A. CMEフェドウォッチで0.25%利下げ確率87%(2025-08-29時点)。
Q. 米スポットBTC ETFの総保有量は?
A. 約129万BTCで拡大傾向(2025-08-28時点の推計)。
Q. IBIT(ブラックロック)の保有量は?
A. 約74.6万BTC(2025-08-28)。単独で最大の受け皿。
Q. フロリダ州年金はMSTRをどれだけ持つ?
A. Q1に約22.2万株(約8,800万ドル)、Q2末は約24万株推計。
Q. 直近のビットコイン高値は?
A. 2025年8月中旬の12万4,480ドルで年初来は約+18%。
■ ニュース解説
ETFが新規発行を上回る買いを続け需給が逼迫した一方で、FRBの9月利下げ観測とウォラー理事の緩和シグナルが重なり、機関投資家と公的資金の間接投資も拡大している。
投資家の視点:フロー(ETF資金動向)とマクロ(FF金利・インフレ)を併観し、①ETFの連続流入・反転、②政策金利パスの修正、③流動性の薄さに起因する急変動を前提にポジションサイズ・損切りルールを設計するのが一般的だ。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:Federal Reserve)