2月16日 Bitcoin ETFと規制で読む暗号資産

▽ 要約

市況:反発もFear&Greedは12
需給:米スポットBTC ETFは乱高下
国内:金融庁がサイバー強化案を公表
米国:SECがCLARITY法支持を表明

2026-02-16時点、暗号資産は反発したが投資家心理は弱く、規制とフローが短期変動を左右している。

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戻り局面でも安心できないのはなぜか。2026-02-16朝の暗号資産市場は、Bitcoin ETFの資金フローが日次で揺れ、制度面でも日米で監督強化が進む。短期はセンチメントとフローが値幅を作り、中期はルールの確度が追い風・逆風を分けるため、主要数字と期限をまとめて解説します。

市況総括(価格・フロー・センチメント)

BTCは+4.73%と反発したが、Crypto Fear & Greed Indexは12で急変しやすい地合いが続く。

投資家心理指標のCrypto Fear & Greed Indexは12(Extreme Fear)で、反発局面でも慎重姿勢が強い。
前日は8、1週間前は14とされ、短期の回復よりも「恐怖の定着」がテーマになっている。戻りの途中で急落・急騰が混在しやすいので、値幅の拡大を前提に観測したい。

主要銘柄ではBTCが10,648,208円、ETHが318,835円となり、アルトも広く反発した。
24h変動率はBTC+4.73%、SOL+4.53%、DOGE+6.40%と高ベータが優位で、XRPは+0.53%と相対的に落ち着いた。なおDOGEは参照時点で24h高安レンジの機械抽出が難しく、レンジ以外の数値を優先して整理している。

グローバルの規模は維持されており、短期資金の出入りで値幅が作られやすい。
データベンダー集計では総時価総額は約$2.4T台、24h出来高は$100B台とされ、薄い市場ではない。だからこそ需給の偏りが出た瞬間に、短期の価格反応が大きくなりやすい。

出来高ではUSDTが12.20兆円と突出し、現物購入よりも待機資金の回転が目立つ。
BTCの出来高は5.66兆円、ETHは3.42兆円で、取引所内の流動性は戻っているが方向感は固まり切っていない。USDCが152.67円近辺で推移している点は、便宜的に1USD≒152.7円という換算の目安にもなる。

主要8銘柄の24hサマリー

24hレンジではBTCが10,165,153〜10,659,579円で推移し、高値圏で引けた。

本レポートの「始値」は24h変動率からの推定を含み、厳密なOHLCではない。
その前提で見ると、BTCは推定始値10,167,295円から現値10,648,208円へ上昇し、レンジ上限に接近した。SOLも推定12,815円から13,395円へ上昇し、短期の買い戻しが優勢だった。

時価総額面ではBTCが212.93兆円、ETHが38.49兆円で、資金の軸足はBTC側に寄りやすい。
一方でXRPが12.09兆円、BNBが14.93兆円と大型アルトの規模は維持されており、「全面弱気」ではなく資金の行き先が分散している状況がうかがえる。

関連:暗号資産:出来高減でボラ継続、規制とアンロック総点検

規制・政策アップデート

国内はセキュリティ監督の実務が前面に出て、米国は市場構造法制に向けた線引きが焦点になった。

金融庁は2026-02-10に「暗号資産交換業等におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針(案)」を公表した。
意見募集は2026-03-11 17:00(必着)までで、交換業者の管理態勢を「鍵管理」だけでなく運用・委託先管理まで含めて底上げする狙いが読み取れる。

方針案はソーシャルエンジニアリングやサプライチェーン経由の侵入など、間接攻撃を前提にした設計へ寄せている。
コールドウォレット運用があっても、委託先や運用手順の弱点から事故が起こり得るため、インシデント対応や復旧力が監督の中心テーマになりやすい。国内投資家にとっては、取引所選定の軸が「品ぞろえ」から「体制と開示」へ動きやすい。

米国ではSECのポール・S・アトキンス委員長が2026-02-11と2026-02-12の議会証言で、CLARITY Act支持を明言した。
訴訟で線引きする発想から、市場構造法制で監督分担と登録要件を整理する方向へ重心が移る可能性がある。実務では、上場基準、仲介、カストディ、発行体の開示負担の再配分が論点になる。

同氏はCFTCのマイク・セリグ委員長と進めるProject Cryptoで、トークン分類(taxonomy)やオンチェーン取引を想定した免除の検討にも触れた。
「どのトークンが何として扱われるか」が明確化すれば中期的には不確実性低下が期待される一方、過渡期は事業者の対応コストやサービス提供地域の見直しが起きやすい。

需給・フロー(ETF・ステーブル・オンチェーン)

機関フローは出たり入ったりが続き、ステーブル高回転とオンチェーン需要が短期の値幅を作る。

米スポットBTC ETFの合計フローは2026-02-09が+144.9mUS$、02-10が+166.5mUS$の後、02-11が-276.3mUS$、02-12が-410.2mUS$と急変した。
02-13は+15.1mUS$と小幅プラスに戻ったが、連続した方向性よりも「反転が交互に出る相場」として扱う方が無難だ。

日次フローが振れる局面では、価格の方向性よりも流動性イベントに備える発想が重要になる。
例えば急落局面では清算連鎖が起きやすく、急反発局面ではショートカバーが値幅を拡大させるため、指標は「転換点の確定」ではなく「変動率の上昇」を示すサインとして使いたい。

DeFiの体温:TVLと取引需要

TVLはスマートコントラクトに預けられた資産総額で、DeFiのリスク選好を測る代表指標だ。

DeFiLlamaの定義では、TVLはプロトコルにロックされた資産価値で、伝統金融のAUMに近い。
相場が荒い局面でもTVLやDEX出来高、パーペチュアル出来高が維持されるなら、投機需要が完全に消えていないことを示唆する。逆にTVLが急減する局面は、レバレッジの縮小や担保価値低下が連鎖しやすい。

ステーブルコインは待機資金・決済・DeFi担保として使われやすく、出来高の偏りが資金の温度感を示す。
代表的なステーブルとしてUSDT/USDC/DAIなどが挙げられ、用途と同時に信用・規制の論点がつきまとう。ステーブルが「安全」かどうかは、価格の安定だけでなく発行体・準備資産・規制枠組みを含めて判断したい。

実務リスクと今後の注目点

相場材料になりにくい事故やルール変更が、急変時の「動ける/動けない」を左右する。

韓国ではBithumbがプロモーション報酬で620,000BTCを誤配布し、内部統制とシステム検証の重要性が再確認された。
本来は620,000ウォン相当の配布が想定され、誤配布はハッキングではなくシステム上の不備と説明されている。短時間に売却された1,786BTCが報じられた点は、運用ミスでも市場へ波及し得ることを示す。

国内送金ではトラベルルール対応が進み、bitbankは2025-07-31から送付先VASPの指定方法を変更した。
リスト外VASPへの直接送付が制限されるため、急変時に「送れる前提」で組んだ戦略が崩れる場合がある。実務では、(1)対応VASPか、(2)反映時間、(3)KYC情報の整合を平時に確認しておきたい。

地政学や金融政策のニュースは短期のリスクオフを誘発し、暗号資産のボラティリティを拡大させやすい。
中東情勢では米国とイスラエル、イランを巡る強い発言や協議報道が重なり、資金が金など伝統的ヘッジへ向かう観測も出ている。SNSでは中国の米国債保有比率が7.3%まで低下したとの投稿、Ray Dalioの金コメント、金・S&P 500・ビットコインのリターン比較が共有されたほか、NVIDIAが2026年にゲーミングGPUを出さないとの観測や、10年後のAI格差(同職種比+56%など)が話題になった。

今後の注目点は「期限」と「制度実装」の2本立てだ。
国内は2026-03-11 17:00の意見募集締切を経て、監督実務や自主規制の運用がどう具体化するかが焦点となる。米国はCLARITY Actの審議進展とProject Cryptoの具体策が、取引所・発行体・DeFiの提供形態に波及しやすい。

▽ FAQ

Q. 米スポットBTC ETFフローは何を示す?
A. Farside集計で2026-02-12は-410.2mUS$、流出入の急変で短期の値幅が拡大しやすい局面と言えます。目先は注意が必要です。

Q. 金融庁の意見募集の締切は?
A. 金融庁の意見募集は2026-03-11 17:00必着で、取引所の委託先管理や復旧手順、報告体制、外部統制も論点です。提出は期限厳守です。

Q. Project Cryptoで何が変わる?
A. SECのアトキンス氏は2026-02-11に、CFTCとトークン分類や免除検討を示し、米市場構造ルールの設計が焦点です。

Q. トラベルルールで送金が止まる理由は?
A. bitbankは2025-07-31以降、リスト外VASPへ直接送付不可で、相場急変時の送金機動性が落ちる場合があります。

■ ニュース解説

反発局面でも恐怖が強いので、フローと制度の変化が値動きを増幅しやすい一方で、実務リスクは価格と無関係に顕在化する。
ただし制度整備が進めば中期の不確実性は下がり得るため、短期は急変耐性、中期はルールの確度を分けて点検したい。
投資家の視点:価格だけでなく、取引所の運用体制、送金制限、指標の算出差を織り込み、複数ソースで照合する習慣を持つ。

※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

(参考:米SEC