▽ 要約
オンチェーン｜2/24にWintermuteが3,820万ドル相当SOLを引出し
ＰｏＲ｜BinanceはSOLの100％超カバーと説明も齟齬議論
マクロ｜8月にBNB900ドル台、SOL時価総額は1,000億超
ファンド｜Galaxyらが10億ドルのSOLトレジャリー検討
BinanceとWintermuteのSOL価格操作疑惑は、オンチェーン移動とPoR表示の食い違いが火種となり、投資家の不信を招いているため、一次情報と主要報道を整理して実像を検証する。本稿は「BinanceとWintermuteのSOL価格操作疑惑」をキーフレーズに、中立的に事実・背景・影響を分解し、短期の価格要因と長期の需給ドライバーを分けて理解する助けを解説する。
疑惑の核心—大口移動と価格反応
大量のSOL・ETHが短時間で移動したため、通常の個別ユーザー出金に比べ市場インパクトが大きく、価格下押しと清算を誘発したとの見方が強まった。
2025年2月24日、WintermuteがBinanceから約3,820万ドル相当のSOLを24時間で引き出した事実は、3月1日に予定された約1,120万SOLの大型解禁と重なり、当日のSOLは24時間で7.5％超下落したと報じられた。8月1〜2日にはBinance→Wintermuteへ11万SOLおよび8,000ETH規模の移動を示す観測も拡散し、相場の下押し要因として警戒が広がった。
Arkhamと取引所ラベルの読み方
Arkhamのエンティティ・ダッシュボードは相手先別の入出金と残高推移を可視化するため、短期の大口移動の検出に有効だが、全口座網羅やオフチェーン在庫は反映されないため、解釈には注意が要る。
「Binance→Wintermute」ラベル間の連続的なSOL移転は度々観測され、24,000SOL単位のバッチ送金なども画面上で共有されたが、マーケットメイクの在庫移動なのか、実売りの前段なのかはオンチェーンだけでは断定できない。
PoR（準備金証明）と表示のギャップ
PoRは時点撮影の在庫証明であるため、掲出タイムスタンプと実フローが乖離すれば、短期の大口移動と数値が噛み合わないことがある一方、BinanceはSOLのカバレッジが100%超である旨をコミュニティ投稿で繰り返し説明している。
一部メディアは「ユーザー負債分以外の余剰SOLが見当たらない」とPoRの粒度や開示範囲を問題視したが、オンチェーン観測の時点・対象とPoRの会計単位が一致しているかは個別検証が必要で、ただちに不備と断じることはできない。
公式見解と説明責任
Binanceは「当社はマッチングの仲介であり自社勘定で大量売却はしない、マーケットメイカーの資産移動は各社の戦略」とし、SOLやETHの「ダンピング」疑惑を否定した。現時点でWintermuteの公式声明は確認できない。
PoRの検証容易性や在庫の見せ方は引き続き議論の焦点であり、四半期単位の監査拡充やエンティティ横断のアドレス公開など、第三者検証可能性の向上が透明性の鍵となる。
SOLとBNB—時価総額の攻防と需給ドライバー
2025年8月下旬、SOLは時価総額1,000億ドル超でBNBの1,200億ドル前後に接近し、BNBは同月に900ドル前後の史上高値圏を付けた。一方でSOLはNFT・DeFi・ミーム資金の流出入で変動が大きい。
機関投資家の需給では、Galaxy Digital・Jump Crypto・Multicoinが約10億ドルのSOLトレジャリー組成を協議との報道が出ており、需給の下支えとして注目される。
イベントカレンダーとリスク
3月1日の約1,120万SOL解禁や、市況急変時の強制清算は短期ボラティリティを増幅しやすい一方、長期ではネットワーク採用とトレジャリー需要が支えになる可能性がある。
▽ FAQ
Q. 2/24のWintermute引出しは相場に何をもたらした？
A. Arkham観測で約3,820万ドルのSOL流出が確認され、3/1の1,120万SOL解禁前で24時間に7.5％超下落が報じられた。
Q. Binanceの公式スタンスは？
A. 「取引所は仲介であり自社売却はしない、MMの移動は各社方針」とし、SOL・ETHのダンピング疑惑を2/26時点で明確に否定した。
Q. 8月時点のSOLとBNBの規模感は？
A. 報道ベースでSOL約1,097億ドル、BNB約1,206億ドル。BNBは8月に900ドル台の史上高値圏を付けた。
Q. 10億ドルSOLトレジャリー計画の含意は？
A. Galaxy・Jump・Multicoinの資金組成が実現すれば、発行体外部の長期保有需要が増し、需給の安定化が期待される。
Q. PoRとオンチェーン観測のどちらを優先すべき？
A. PoRは時点在庫の証跡、オンチェーンはフローの観測で性質が異なるため、双方の時点整合と範囲を突き合わせて評価する。
■ ニュース解説
オンチェーンでは2/24の3,820万ドルSOL引出しや8月上旬の大口移動が報告されたため、短期の売り圧と清算を誘発した一方で、PoRは100%超カバーとされ整合性論争が続く。
投資家の視点：証拠不十分の段階で断定は避け、①PoR更新の時点と計上範囲、②Arkham等のエンティティ範囲、③イベント（解禁・ETF・トレジャリー）の時系列を突合せ、建玉は証拠金余力を厚めに維持するなど流動性リスクを管理したい。
※本稿は投資助言ではありません。
（参考：Arkham Intelligence,Binance）
