3月25日の暗号資産:米BTC取得構想とメタプラネット、ETHの申請

2025年3月25日は、米国政府によるビットコイン取得の構想と、企業の実際の買い増しが同時に話題になった。金を活用する案、金融政策を根拠にした価格予想、金融商品の変更申請は、それぞれ進んでいる段階が違う。同日昼までの公表資料を基に、五つの話題を整理する。

米国のBTC準備は、大統領令と購入法案を分けて読む

トランプ大統領は3月6日、戦略的ビットコイン準備を設ける大統領令に署名した。初期の原資とされたのは、没収手続きなどを経て財務省が保有し、被害者への返還などに充てる必要のないBTCである。政府が既に持つ資産を準備へ移す仕組みと、市場から新たに買う取引は同じではない。

大統領令は財務長官と商務長官に対し、納税者へ追加費用を負わせない、予算中立的な追加取得策を策定するよう求めた。一方で、購入数量や発注日を定めてはいない。準備制度の設置が決まったからといって、特定の規模の買い注文まで実行されたとは読めない。

Cynthia Lummis上院議員は3月11日、BITCOIN Actを提出したと発表した。100万BTCの取得計画や保管体制などを法律に位置づけようとする提案である。3月25日時点で紹介する際には、提出された法案と、既に効力を持つ大統領令を明確に区別する必要がある。

市場への影響を見るうえでは、保有数量だけでなく、その増加が新規購入によるものか、既存資産の移管によるものかが重要になる。さらに資金源、執行権限、実施時期が明らかにならなければ、今後の需要を具体的な数量として見積もることは難しい。

金を使う取得案は、売却決定ではない

TheStreetの3月21日付記事によると、大統領のデジタル資産諮問組織で事務局長を務めるBo Hines氏は、予算中立的なBTC取得の方法としてLummis氏の法案に言及した。報道が紹介したのは、金証券の評価を見直して生じる差額を取得資金に充てる考え方だ。

インタビューでは、Fort Knoxに保管する金を売ってBTCを買うことが理論上可能かという質問も出た。Hines氏は、予算中立的で納税者に費用を負わせないなら検討できるという趣旨で応じている。これは条件付きの回答であり、金の売却を命じた発表ではない。

金証券の再評価と現物の金の売却では、資産をどう扱うかが違う。前者は証券の評価と財務上の処理を巡る構想であり、後者は保有する金を実際に手放す取引になる。「金を活用する」という共通点だけで両者を一つの実施計画にまとめると、発言の範囲を超えてしまう。

また、予算中立という政策上の条件は、取得後のBTC価格が下落しないという意味ではない。資金を用意する方法と、保有資産の価格変動は別の問題である。当時のニュースから確認できるのは取得手段を巡る議論であり、具体的な売却・購入の成立を示す取引記録ではなかった。

Hayes氏の11万ドル予想と、FRBの実際の決定

3月24日のChainCatcherは、BitMEX共同創業者Arthur Hayes氏が、BTCは7万6,500ドルの水準を再び試すより先に11万ドルへ向かうとの見方を示したと報じた。これは値動きの順序についての本人の予想であり、途中に小さな下落が一切起こらないという説明ではない。

同報道は、Hayes氏が米連邦準備制度理事会(FRB)の政策を量的引き締めから量的緩和への転換として捉えていることも伝えた。ただし、その解釈を中央銀行が正式に決定した政策として扱うことはできない。確認すべき一次資料は、3月19日の連邦公開市場委員会(FOMC)声明である。

声明で維持された政策金利の誘導目標は4.25〜4.50%だった。保有証券の縮小は続けながら、米国債については、毎月の償還上限を4月に250億ドルから50億ドルへ引き下げる。政府機関債と住宅ローン担保証券の上限は350億ドルのままとされた。

この変更は、保有資産が減るペースを緩めるものだ。資産購入を増やして保有残高を膨らませる量的緩和の再開とは区別される。市場参加者が流動性への好影響を期待する余地はあっても、それが特定価格への到達を保証するわけではない。予想を読む際は、根拠とされた政策が実際に何を変えたのかを照らし合わせたい。

メタプラネットは150 BTCを追加、総保有は3,350 BTC

メタプラネットの3月24日付開示は、150 BTCの追加購入を報告した。今回分の平均取得価格は1 BTC当たり1,257万173円、取得総額は18億8,600万円。取得後の総保有数量は3,350 BTCとされた。政府の取得構想とは異なり、会社が実施済みとして公表した購入である。

同じ開示には、保有するBTC全体の平均取得価格として1,260万1,820円が記載されている。今回の買い増しに使った単価と、過去の取得も含めた全体の単価は別の数字だ。平均単価の変化を確認するには、同じ範囲の数値を比較する必要がある。

同社は、年初から3月24日までのBTC Yieldを68.3%と報告した。この指標は、完全希薄化後の発行済み株式数に対するBTC保有数量の比率が、期間中にどれだけ変化したかを表す。BTCそのものの値上がり率、株価の上昇率、あるいは配当利回りではない。

保有量が増えても、資金調達に伴って株式数が変われば、一株に対応するBTC量の増え方は異なる。だからこそ会社は数量だけでなく比率の指標を示している。ただし、この指標から株主の売買損益を直接計算することはできない。取得実績、資金調達、株式数、株式市場での評価をそれぞれ確認することが、企業によるBTC保有を理解する基本になる。

FidelityのETHステーキングは、商品変更の提案段階

Cboe BZXが公表した規則変更案は、Fidelity Ethereum Fundが保有するETHのステーキングを認めるよう求める内容だった。既存の商品について、ステーキングを行わないという記述を変更し、保有ETHの全部または一部を事業者を通じて運用できるようにする提案である。

提案文では、ステーキングによって生じた報酬の全部または一部をファンドが受け取る仕組みが示されている。一方、償還や支払いに対応するための流動性を確保する方針も記載された。報酬を得る機会だけでなく、必要なときに資産を利用できるかが商品設計の論点となる。

文書は、Ethereumの検証参加に伴う仕組みや、規則違反などでステークしたETHの一部を失うスラッシングについても説明している。ステーキングを導入すれば、価格への連動に加えて運用上の条件を確認する必要が出てくる。報酬があることを固定利率の預金と同じように捉えるのは適切でない。

3月25日時点でこの記事が取り上げるのは、上場先の取引所から出された変更案である。申請文に書かれた仕組みを、規制当局が承認して実際の運用が始まった事実へ置き換えてはいけない。今後は審査の判断と、実施される場合の条件や開始日を別々に追う必要がある。

Walrusは1億4,000万ドルを調達、3月27日の稼働を予定

Walrus Foundationは、非公開のトークン販売による1億4,000万ドルの資金調達を発表していた。3月21日に出資者のRaptor Groupが掲載した発表では、Standard Cryptoが主導し、複数の投資家が参加したと説明されている。資金調達額は、データ保存サービスの利用者が支払った売上を表す数字ではない。

分散型ストレージを手掛けるWalrusの初期開発はMysten Labsが担い、基盤にはSuiを利用する。画像や動画、AI関連のデータなど、大容量の情報を保存する用途を想定している。保存サービスを構築する技術と、その上で動くアプリケーションの開発を支えるために、資金を使う方針が示された。

発表されたメインネットの稼働予定日は3月27日だった。したがって、25日のニュースとして記録できるのは、調達の公表と稼働に向けた予定までである。稼働後の保存量や利用者数を、開始前から確立した実績として説明することはできない。

技術の評価には、調達規模の大きさに加え、保存費用、読み出しやすさ、必要な期間にデータを維持できる仕組みなどが関係する。発表時の構想と、運用開始後に確認できる性能や利用状況をつなげて追うことで、資金調達のニュースをサービスの実態に照らして判断できる。

よくある質問

Q. 米国は金を売ってBTCを買うと決めたのですか。

A. ここで確認した発言は、予算中立などを条件とする検討の話です。金証券の再評価案とも区別が必要で、金の売却実施を示す発表ではありません。

Q. メタプラネットのBTC Yieldは投資利回りですか。

A. 完全希薄化後の株式数に対するBTC数量の比率の変化を測る同社の指標です。BTCや株式の価格リターンとは異なります。

Q. Fidelityのファンドは当時ステーキングを始めていましたか。

A. 取り上げた資料は、保有ETHのステーキングを可能にする規則変更の提案です。申請と承認、運用開始を分けて読む必要があります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。