▽ 要約
概要 PUPはUpheaval配布のXPブースター。
疑惑 9月は供給急増観測と急落で詐欺疑惑が浮上。
対応 Upheavalは不正否定、MLM氏は洗浄取引を指摘。
市場 0.15→0.038ドル急落後、0.1ドル前後で推移。
Hyperliquid圏のBased/Upheavalが配布したPUPを巡り、追加供給と急落をきっかけにPUP詐欺疑惑が広がった。公開情報を精査すると内部者の不正を断定できる証拠は示されておらず、主張は配分・会計・取引慣行の解釈に集中する。本稿は設計、論点、価格推移、留意点を中立に解説する。
PUPの基本設計とBASED/Upheavalの位置づけ
PUPはUpheavalが2025年8月22日に配布したXP増幅トークンで、BASEDの報酬獲得量を高める設計のため、保有インセンティブを与える。
BASED(BasedApp)はHyperliquid上の取引基盤で、先物・スポット・カード連携などを展開する。協業するUpheavalはHyperEVM上のCLMM型DEXで、低手数料のスワップとLP提供を担う。PUPはBASEDコミュニティへのエアドロップとして導入され、主にHYPE建てで取引される。最大供給10億枚、初回配布は既存ユーザーの貢献度に応じて厚く割当てられ、チーム割当なしとされた。配布後はPUP/WHYPE等のプールで二次流通が始まり、Hyperliquid圏の需要を取り込んだ。
配布とインセンティブ設計
初回エアドロで約6.5億枚を既存ユーザーに配り、35%・70%・110%の保持閾値でXP+25%/+50%/+60%を付与したため、売り圧の抑制を狙った。
段階的ボーナスはロイヤルユーザー重視の設計で、元配布超過の買い増しにも加点を与える。新規参加者には「200万枚保持で+25%」の参加枠が示され、既存・新規の双方に長期保有の動機付けを与えた。
マーケット構造の特徴
PUPはUpheavalのLPで主にHYPE建てで約定しCEX未上場のため、流動性が局所化してスプレッド拡大と変動の振れが大きくなりやすい。
価格発見は主としてHyperliquid圏内で起きる。LP残高の薄さとクジラの注文偏在は、急伸・急落を招きやすい市場構造上の弱点となる。
詐欺疑惑として指摘された論点
9月中旬の供給急増観測と価格急落を契機に、内部者売り抜けや価格操作の可能性が議論されたが、決定的証拠は示されていない。
主な論点は①循環供給の急増と同時期の暴落、②大口アドレスへの配分偏在と売却のタイミング、③ウォッシュトレード奨励の有無、の三点である。これらはいずれも疑念提示の域を出ず、断定には至っていない。
供給増観測と急落
市場に2.9億枚が出回る観測が広がり当日最大56%下落したため、短期流通の増加と需給悪化が疑惑の引き金となった。
一連の下落は数時間で0.15ドルから0.038ドル近辺まで進行し、その後反発した。出来高の急増とLP流出も同時に発生しており、構造的な脆弱性が露呈した。
配分の偏在と資金フロー
大口アドレスへの集中と暴落直前の売り越しが指摘され、内部者関与の噂が拡散した一方で、出所の検証は限定的に留まる。
オンチェーンでは一部ウォレットの売却が確認されるが、当該アドレスが内部者か否かの厳密な特定は難しい。配布設計がクジラ有利だったことへの批判も強い。
ウォッシュトレード(洗浄取引)疑惑
MLM氏はPUPでのウォッシュトレード奨励を批判し投稿の表現は謝罪したため、手数料目当ての取引水増しの有無が争点化した。
氏は「過度にドラマチックだった」と発言を修正しつつ、出来高インセンティブの設計が不自然な取引を誘発すると主張。Upheavalの少量売却や個別トレード事例(約3万ドル利確)も材料視された。
関係者の主張とこれまでの対応
Upheavalは不正利益を否定し透明性を強調、BASEDは長期保持者優遇を継続したため、コミュニティ内の対立は解消していない。
Upheavalは「HIP‑2により初期時価総額が抑制され価格乖離を調整するため一時買い支え、後に清算した」と説明。残余16.5%はビルダー手数料ウォレットで保管しBased側は「Upheavalの指示なしに動かさない」としている。BASEDはPermanent XP Boost Programを開始し、保持率に応じXPを加点。短期売却の抑制とロイヤルユーザー重視を再掲した。
Upheavalの説明と保管扱い
HIP‑2で初期時価総額が低く設定されたため乖離是正の買いと清算が生じ、その後の16.5%は保管扱いと説明された。
この説明は「チーム保有0%」の宣言と矛盾するとの受け止めもあり、監査・開示の精緻化が求められている。
関係者の反応と議論の継続
MLM氏は断定表現を撤回したが、洗浄取引の動機付けは残ると主張し、BasedOneXの収支例などが議論を加速させた。
一方で「無料配布ゆえ自己責任」とする声も一定数あり、コミュニティ内の評価は割れたままだ。
制度継続と開発ロードマップ
BASEDは9月5日にプログラムを有効化し、保持率に応じXP加点を提供したため、長期志向の設計を強めた。
併せてローンチ機能や提携発表を進め、プロジェクト継続の意思を示している。
トークン価格の推移と現在地
エアドロ直後は急騰したが9月中旬に0.15→0.038ドルへ急落、現在は0.1ドル前後で荒い戻りのため、投機的な値動きが続く。
FDVはピークで約1億ドル規模に達したが、暴落後はランクを下げた。24時間出来高は急落局面で急増し、その後漸減。流動性はLP依存で薄く、外部のMM不在がボラティリティを高止まりさせている。
リスクと留意点
一次配分の偏在、LP流動性の局所化、開示の不足という三点で不確実性が高く、短期投機色が強いため資本管理と検証が不可欠だ。
特に大口の動向と追加供給のイベントは価格に直結する。オンチェーンでの資金移動、LP残高、インセンティブ変更の通知を継続監視したい。
▽ FAQ
Q. PUPとは何か?
A. Upheaval配布のXPブースターで最大10億枚。2025-08-22にBASEDユーザーへ配られ、報酬獲得量を増幅する。
Q. 9月の急落要因は?
A. 2.9億枚の流通観測と大口売却が重なり56%安。LP依存の薄い流動性が下落を加速させた。
Q. 洗浄取引の疑いは事実か?
A. MLM氏が指摘し表現は謝罪。奨励の有無は係争中で、現時点で確証は公表されていない。
Q. チームはPUPを保有?
A. 「0%」宣言と並行し16.5%がビルダー手数料ウォレットに保管との説明。扱いが争点。
Q. XPブースト条件は?
A. 元配布の35%保持で+25%、70%で+50%、110%で+60%。新規200万枚保持で+25%に参加可能。
■ ニュース解説
供給増観測で急落が発生したため、配分偏在と開示不足が背景にあり、信頼低下とボラ拡大が影響として表れた。
2025-08-22にPUPが配布され、9月中旬に0.15→0.038ドルへ急落し、16.5%保管説明や洗浄取引の指摘が浮上したため、LP局所化とインセンティブ設計が短期需給を増幅した。結果として価格は乱高下し、コミュニティは分断した。
投資家の視点:少額・分散・非レバレッジを基本に、オンチェーンの保有集中とLP残高、追加供給イベント、報酬設計の変更を監視することが有効だろう。価格はニュース感応度が極端に高く、逆張り・順張りともに損失管理の徹底が必要。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:X(@mlmabc),X(@Upheavalfi),Hypurrscan)