Baseチェーン:TVLトップのLayer 2スター・プロジェクトの包括的解析
- 2024/12/2
- L2
要約
Coinbaseが展開するEthereumのLayer 2ネットワーク「Baseチェーン」が、TVL(Total Value Locked)でArbitrumやOptimismなどの老舗Layer 2プロジェクトを凌駕し、現在トップの座に立っています。本記事では、Baseチェーンの技術基盤、エコシステムの発展状況、主要なプロジェクトやパートナーシップについて詳細に解析します。特に、USDCの統合やDefi、Memeコイン、SocialFiといった多様な分野での成長が注目されています。
1. Baseチェーンの概要
Baseチェーンは、Coinbaseが開発したEthereumのLayer 2ソリューションであり、OptimismのOP Stackを基盤としています。Optimistic Rollups技術を採用することで、Ethereumとの高い互換性を持ちながら、計算コストを低減し、スマートコントラクトの実行や複雑な計算タスクに適しています。しかし、現時点では分散性の向上やオンチェーンガバナンスの最適化といった課題が残されており、継続的な技術改良が進められています。
2. TVLとユーザー数の急増
2.1 TVLの急成長
BaseチェーンのTVLは2024年9月以降、14.19億ドルから23.88億ドルへと68.28%の増加を遂げ、現在Layer 2プロジェクトの中で最も高いTVLを誇っています。この急成長は、Baseチェーンの信頼性とユーザーからの支持を示す重要な指標です。
2.2 ユーザー数の飛躍的な増加
2024年8月以降、Baseチェーンのアドレス数は2455万から7488万へと205.01%の増加を記録しました。このユーザー増加は、Meme文化の拡散やソーシャルインタラクションの強化が寄与しており、Baseチェーンが人気のソーシャルプラットフォームとしての地位を確立していることを示しています。
3. 基盤となる技術とエコシステム
3.1 OP StackとSuperchainの構築
Baseチェーンは、OP Stackを活用し、Superchainの開発に積極的に参加しています。これにより、異なるLayer 2を容易に統合し、相互運用性の高いエコシステムを構築しています。OP Stackはデータ可用性層、ソーティング層、派生層、実行層、決済層、ガバナンス層の6層から成り、各層がカスタマイズ可能なオープンソースモジュールを提供しています。
3.2 エコシステムの多様性
Baseチェーンのエコシステムは、Defi、Gaming、NFT、SocialFiなど多岐にわたる分野で構成されており、現在323のDappが稼働しています。これにより、ユーザーは多様なサービスやアプリケーションを利用でき、エコシステム全体の活性化が図られています。
4. Circle(USDC)とのパートナーシップ
4.1 USDCのネイティブ統合
2023年9月にCircleはBaseチェーン上でUSDCをネイティブに発行しました。これにより、ユーザーや開発者はブリッジを介さずにUSDCを利用でき、操作の簡素化と効率向上が実現しました。また、CCTP(Cross-Chain Transfer Protocol)の導入により、異なるブロックチェーン間でのUSDCの安全な移動が可能となっています。
4.2 CoinbaseとStripeの協力
CoinbaseとStripeは協力し、Baseチェーン上でのUSDCの利用を拡大しています。具体的には、Stripeの暗号決済システムにUSDCを統合し、150以上の国々への迅速かつ低コストな送金を実現。また、CoinbaseウォレットにStripeの法定通貨から暗号通貨への入口を追加し、ユーザーの利便性を向上させています。これにより、USDCのDEX取引額は200億ドルを突破し、Baseエコシステムの繁栄に寄与しています。
5. Baseチェーン上の主要Defiプロジェクト
5.1 Aerodrome
Aerodromeは2023年にBaseチェーン上で初めて展開されたDEXであり、Ve(3,3)モデルを採用しています。このモデルは、長期保有者とアクティブなガバナンス参加者をインセンティブすることで、エコシステムの安定した成長を促進します。現在、AerodromeはBaseチェーンのTVLの半分以上を占めており、その経済モデルとCoinbaseのサポートにより重要なプロジェクトとして位置付けられています。
5.2 Morpho Blue
Morpho Blueは、非管理型の分散型貸出プロトコルであり、DAOに依存しないリスク管理を実現しています。単一のスマートコントラクトで複数の市場を運営し、ガスコストを削減する設計が特徴です。2024年7月以降、Baseチェーン上で急速にTVLを拡大しています。
5.3 Extra Finance
Extra Financeは、Optimismネットワークを基盤とした分散型借入および自動レバレッジ戦略のプロトコルです。最大3倍のレバレッジを提供し、ユーザーは多様なファーミング戦略に参加できます。VelodromeやUniswap V3との統合により、柔軟な資産運用が可能です。
6. MemeコインとSocialFiの台頭
6.1 Memeコインの影響力
Baseチェーン上では、TYBGやDegen、BrettなどのMemeコインが短期間で高い人気を博しています。これらのプロジェクトは、コミュニティの共感と市場の盛り上がりを背景に急成長していますが、価格のボラティリティや基盤経済の不確実性といったリスクも伴います。
6.2 SocialFiの革新
SocialFiプロジェクトは、従来のWeb2から新たなユーザーを引き付ける重要な役割を果たしています。Baseチェーンでは、friend.techやFarcasterといったプロジェクトが急速に注目を集めています。特にFarcasterは、DEGENトークンを用いたインセンティブモデルにより、ユーザーの積極的な参加を促進しています。
6.2.1 Friend.tech
Friend.techは、Twitterアカウントと連携した分散型ソーシャルプラットフォームであり、ユーザーは特定のクリエイターとの直接対話やコンテンツへのアクセス権をトークン化することができます。初期の成功にもかかわらず、継続的なユーザーの維持が課題となっています。
6.2.2 Farcaster
Farcasterは、分散型ソーシャルネットワークプロトコルであり、Warpcastアプリケーションを通じて高いユーザーエクスペリエンスを提供しています。DEGENトークンの導入により、ユーザーの参加と貢献を促進し、SocialFi分野でのリーダーシップを確立しています。
7. Coinbaseによる革新的な取り組み
7.1 AIエージェントの導入
Coinbaseは、AIとCryptoの融合を推進し、Baseチェーン上でAIエージェント「Based Agents」を提供しています。これにより、ユーザーは数分で暗号ウォレットを持つAIエージェントを作成し、自動的な取引や資金管理を行うことが可能となります。
7.2 Virtuals Protocol
Virtuals Protocolは、Baseチェーン上でAIエージェントを発行・展開・収益化するプラットフォームです。Pump.funモデルを採用し、AIエージェントを経済的価値のある資産へと変換します。LUNAのデジタル人IPなど、注目のAIエージェントが市場で活躍しており、ゲームやエンターテインメント分野での新たな可能性を切り拓いています。
8. Baseチェーンのエコシステム全体の健全性
Baseチェーンのエコシステムは、資金(TVL、取引量、収入)と流量(アドレス数、活発なユーザー数)の両面で強固な成長を遂げています。優れたオンチェーンパフォーマンス(TPS66.28)も加わり、Ethereum Layer 2の中で最も有望なプロジェクトの一つとして評価されています。多様なDefiプロジェクト、Memeコイン、SocialFiの活性化により、Baseチェーンは今後も持続的な成長が期待されます。