PayPal新機能で米加盟店100種超の仮想通貨決済

▽ 要約

サービス開始     :2025年夏、米国加盟店が「Pay with Crypto」を利用開始
手数料メリット:初年度0.99%でカード決済比最大90%安  
対応通貨幅広:BTC・ETHからミーム Fartcoin まで100種超
即時換金安全:受領はUSD/PYUSD、価格変動リスクなし
規制動向注視:NY州は承認待ち、税務・KYC対策が必須

PayPal 仮想通貨決済は本当に使えるのか――。2025年7月28日に発表された「Pay with Crypto」は、米国のオンライン加盟店が100種類以上の暗号資産をほぼ即時・低コストで受け入れられる新インフラだ。この記事では同機能の要点と影響を整理し、導入前に把握すべきポイントを解説する。

サービス概要

Pay with Crypto は国際決済のコストと複雑さを劇的に削減する。 公式リリースによれば、取引手数料はプロモーション期間0.99%、標準でも1.5%で、カード決済比最大90%のコスト削減を標榜する。

対応通貨とウォレット

ビットコイン、イーサリアム、USDT/USDC など主要通貨に加え、XRP、BNB、Solana といったアルトコイン、さらには Trump MEME コインや Fartcoin まで網羅。
ウォレットは Coinbase、OKX、Binance、Kraken、Phantom、MetaMask、Exodus などをサポートし、利用者は外部ウォレットをチェックアウト画面で接続するだけで良い。

決済フロー

  1. 購入者が暗号資産で支払い
  2. PayPal が即時売却し PYUSD へ変換
  3. PYUSD を自動で USD に両替し加盟店口座へ着金
    このため加盟店は暗号資産を保有せずに済み、価格変動リスクも負わない。

手数料と報酬

  • 取引手数料:0.99%(~2026/7/31)。以降1.5%へ。
  • PYUSD報酬:売上をPYUSDで保持する場合、年4%のリワードを取得可能。

導入の背景と狙い

PayPal は「法定通貨とデジタル通貨を接続する統合プラットフォーム」を掲げ、650万人超の暗号ユーザー市場(時価総額3兆ドル)にリーチすることで、国際商取引を加速させる戦略だ。
競合の Visa も USDC 決済実証を進めるが、ウォレットから店舗までワンストップで提供できるのは PayPal の強みであり、市場主導権を狙う動きといえる。

関連エミレーツ航空がビットコイン決済導入へ

業界インパクト

  • 中小企業の国際展開促進:カード手数料3〜5% → 0.99% で薄利ビジネスの参入障壁が低下。
  • 金融機関への圧力:伝統的カードネットワークから手数料が暗号経由にシフトし競争激化。
  • 規制強化の可能性:NYDFS 未承認など規制未整備領域が顕在化。税制やKYC 義務の明確化が急務。

利用者メリットとリスク

消費者メリット

  • 暗号資産を現金化せず直接支払い
  • 海外ECで両替不要・即時決済
  • PayPal独自の不正補償(上限5万ドル)が適用

消費者リスク

  • 決済毎にキャピタルゲイン課税が発生(米国)
  • ウォレットの秘密鍵管理は自己責任
  • 支払後はブロックチェーン上で不可逆

加盟店メリット

  • 取引コスト圧縮&即時入金
  • 新規顧客層(暗号保有者)を獲得
  • PYUSDでの利息4%と即時ベンダー決済

加盟店リスク

  • 規制変更に伴うサービス停止リスク
  • 大口決済時の流動性不足・スリッページ
  • 既存Buyer Protection による紛争処理工数

今後の展望

Pay with Crypto は暗号資産のマスアダプションを推進する起爆剤となる可能性が高い。 首都圏やITスタートアップを中心に早期導入が進めば、決済インフラの常識が書き換わるだろう。一方で、税務・規制・KYC の整備が追い付くかがカギとなる。

▽ FAQ

Q. 手数料は本当に0.99%だけ?
A. はい。2026年7月末までは0.99%、以降は1.5%へ移行します。

Q. どんな仮想通貨が使えますか?
A. BTC・ETH・USDT・XRP・SOLなど主要通貨に加え、Trump MEMEコインやFartcoinなどのミーム系も含め100種超です。

Q. ニューヨークでも利用可能ですか?
A. NYDFSの承認待ちのため、現時点で同州居住者向けには提供されません。

Q. 売上の受け取り通貨は?
A. 加盟店は米ドルまたはPayPalステーブルコインPYUSDで即時受け取りが可能です。

■ ニュース解説

本件は暗号資産が「投機」から「決済」へシフトする象徴的事例だ。決済手数料の劇的圧縮は中小企業に恩恵をもたらし、カード業界は手数料競争を迫られる。一方で税務負担とKYC強化は必至であり、利用者はリスク管理が欠かせない。投資家としては、決済関連株と暗号関連トークンの両面で波及効果に注目しつつ、規制動向を常にチェックすることが肝要だ。

本記事は情報提供であり、投資助言を目的とするものではない。

(出典:PayPal Newsroom,PANews,PR Newswire