▽ 要約
ETH財庫急拡大:Tom Lee 主導の2.5億ドル調達が開始、目標は1万ドル到達
株式トークン化:Kraken×Backed が60銘柄対応、規制モデルを二極化
香港の逡巡:ステーブルコイン優先で株式トークン化は様子見
DeFi落とし穴:一括操作で資産全損事例、物理的脅迫も増加
デリバティブ動向:BTC OI 700億ドル突破、機関マネー優位
「ETH はもう伸びない」という悲観論が渦巻く中、Tom Lee は2.5億ドルの私募で“ETH財庫戦略”を宣言した。なぜ今、企業はETHをバランスシートに積み上げるのか。本稿ではその背景と、株式トークン化・デリバティブ市場の最新データを総ざらいし、読者が次の一手を考える材料を提供する。
ETH財庫ブームの本質
企業がETHを自社株式でレバレッジ取得する動きは“アルト版マイクロストラテジー”へ進化し、株価プレミアムとステーキング利回りの両取り狙いが可能になった。
Tom Lee × Bitmine の設計図
- 2.5億ドル私募で ETH を一括購入
- 余剰ETHは自社バリデータでステークし年率3.5%超
- 株価がNAVを上回れば新株発行で ETH/株 を希釈なく追加
“ETH 財庫 KPI” の脆弱性
- 株主価値は新規投資家の買い圧に依存=疑似ポンジ
- ETH価格が長期下落した場合は株価と同時にダブルパンチ
株式トークン化 二つの道
xStocks の「1株=1トークン」モデルと Robinhood の「CFD型デリバティブ」モデルが規模を拡大、前者は DeFi 可組性、後者は規制順守を優先。
xStocks:DeFi型
- 列支敦士登 SPV で現物株保有
- Chainlink PoR で準リアルタイム残高開示
- Solana 流動性+Jupiter/Kamino 組み込み
Robinhood:囲い込み型
- 立陶宛 MiFID II のCFD扱いで非株主
- アービトラムL2 にホワイトリスト実装
- 未上場株(OpenAI 等)まで拡張=情報非対称リスク
香港と米国、規制スタンスのねじれ
米国はトランプ新政権の親加密姿勢で ETF ・トークン化双方に前向き。香港はステーブルコインを優先しつつ、HKEXの専売権を守るため株式トークン化に慎重。
ユーザーリスクと犯罪トレンド
DEX の一括操作簡便化に比例し、資金権限の過信と物理的な誘拐事件が増加。5ドルレンチアタック件数は過去最高。
“ワンクリック爆損” 主要パターン
- 全資産Infinite Approve
- 偽UIによるチェーン切替
- スパムトークン経由のFake Approve
デリバティブ市場で機関優位続く
CME OI が Binance を初めて上回り、現物ETF マネーがヘッジ需要を急拡大。期間ボラは歴史的低水準で売りIV戦略が優位。
▽ FAQ
Q. Tom Lee のETH 1万ドル予想は実現性ある?
A. 財庫企業が株式発行プレミアムで ETH を買い増し続ける限り、需給は改善するが、市場がポンジ性を認識し始めると急速に収縮するリスクも。
Q. Robinhood 版株トークンは本物の株ですか?
A. いいえ。CFD デリバティブ契約であり議決権はなく、Robinhood Europe の信用に依存します。
Q. 香港が株式トークン化に慎重な背景は?
A. HKEX のクリアリング独占を守り、チェーン外収益モデルを維持したい思惑が強いためと言われます。
Q. DeFi 一括承認を安全に使う方法は?
A. Approve 上限を必要額に限定し、取引後は Revoke;未知コントラクトはまずテストネットで署名すること。
■ ニュース解説
本日まとめた諸トピックは、一見バラバラだが「資本市場とチェーンの収斂」という一本の線で結ばれる。ETH財庫は株式市場のレバレッジを取り込み、株式トークン化はチェーンへ証券清算を押し出す。規制当局はその中間で主導権を争い、ユーザーは利便性とリスク管理の板挟みになる。
(出典:CoinGlass 半期レポート,Foresight News,SlowMis,Aiying Report,Bitmine IR)