8月10日:ETH現物ETFに資金流入続く

▽ 要約

ETFフロー ETHは8/8に4.61億ドル流入で4日続伸
マクロ BTC現物ETFも4.04億ドル流入で3日連続
プロダクト CoinbaseがApp内DEXを米国で解禁
レギュレーション 香港の安定通貨条例が8/1施行

投資家の関心は資金フローと規制に集約され、ETHは現物ETFの継続的な純流入で一時4,200ドルに接近したため、短期の過熱を警戒しつつも基調は強い。ETH現物ETF資金流入の持続性、香港の安定通貨条例がもたらす制度的需要、そしてセキュリティ面のリスク回避が、8月相場の勝敗を分ける。

市況・フロー──ETHに資金回帰、BTCも続伸

短期資金がETHに傾きETFへ流入が続いたため、ETHは4,200ドル台を試す一方、利確で上値が重い。
8月8日(米東部)にETH現物ETFは合計4.61億ドルの純流入で4日連続の資金流入となり、ブラックロックETHAが2.55億ドル、フィデリティFETHが1.32億ドルと牽引した。スポットではETHが一時4,214.96ドルまで上昇後に反落し、短期筋の回転が速い。ETFの累計残高増は機関投資の裾野拡大を示すが、価格は先行したフローの反動で振れやすい。

BTC現物ETFと相関の再強化

BTC現物ETFにも8月8日に4.04億ドルの純流入が入り、IBITが3.60億ドルで主導したため、暗号資産全体のリスク許容度は改善した。
ETF経由の資金はトレンド安定性に寄与する一方、CPIやPPIといった米インフレ指標の結果次第でフローの向きが変わりやすい。来週の主要マクロ指標はボラティリティの源泉となるため、建玉の期間分散が有効だ。

クジラの利確とBNBの相対強さ

長期保有アドレスの売りや空売りの清算が報告され、ETHは上髭を残したため、短期では突っ込み買いより押し目待ちが機能しやすい。
一方、BNBの時価総額は1,128.5億ドルに到達し、主要伝統銘柄の時価総額を一部上回った。チェーン需要と取引所エコシステムの稼働が支えとなり、相対的な強さを演出している。

企業動向・プロダクトアップデート

現物ETFと取引機能の整備が進むため、個人と機関のオンチェーン移行が加速した。
Coinbaseはアプリ内にDEX取引機能を実装し(米国・NY州除外)、Base上の数百万資産に自托管でアクセス可能となった。主要DEXを横断して最良価格を提示し、既知の悪性トークンをフィルタリングする設計だ。El Salvadorは“Bitcoin Banks”構想を公表し、暗号資産の銀行的受け皿の整備を掲げた。

ETHトレジャリー戦略の台頭とL2の次段

ウォール街の強気派Tom Leeが率いるBitmineは短期で大口のETHを積み上げ、MicroStrategy型の「国庫」モデルをETHで再現しようとしているため、株式市場経由のETHエクスポージャーが拡大している。
一方、Lineaは今後9か月のロードマップを示し、0.5 gGas/s相当のスループットやType-1 zkEVM化を掲げた。ZK実用化の進展は、L2の手数料・最終性・信頼最小化での差別化に直結する。

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規制・合規──香港の制度化、中国本土の実務リスク

香港が安定通貨規制を施行したため、100%準備・即時償還・AML/CFTの厳格化が標準化され、港元・オフショア人民元の資金池拡大に追い風となる。
一方、中国本土では「義烏での安定通貨大規模利用」報道に確かな一次データが見当たらないとの検証もあり、税務・結汇・銀行取引履歴の要件から、内地企業が直接ステーブルコインを受領する実務は大きな合規リスクを伴う。現実解としては香港法人のブリッジ運用(受取・換金・本土送金)にとどまる。ウクライナは8月末までに暗号資産法案の初読を計画し、EU整合を進める見込みだ。

KYC/CDDの射程と実務

香港の指針は8,000HKD超の購入・償還でCDDを要求し、非托管ウォレットの取引監視やブラックリスト管理を求めるため、発行・流通の双方でトレーサビリティが前提化する。
合規ルートを外れたOTCや越境両替は、内地では外為・電信・詐欺関連罪のリスクが高く、大学生や若年人材の「副業」的関与も摘発例が散見される。

セキュリティ・リスク──“面接”型のマルウェアに警戒

採用面談を装いGitHubリポジトリのクローンと実行を迫る手口が確認されたため、ローカル環境での不審コード実行は厳禁である。
マルウェアはブラウザ拡張やウォレット保管域からの機密窃取を狙い、C2へ送信する。直近ではDeFi/レンディング関連のSNS侵害やXアカウント消失も報告され、公式情報源の検証手段(PGP署名、コントラクトのEtherscan検証、DNSSEC等)の併用が必須だ。

▽ FAQ

Q. ETH現物ETFはいつ、どの程度資金が入った?
A. 2025年8月8日に合計4.61億ドルが純流入し、4日連続の流入。ETHAが2.55億ドル、FETHが1.32億ドルと主導。

Q. BTC現物ETFの直近は?
A. 2025年8月8日に4.04億ドルの純流入で3日連続。IBITが3.60億ドル、FBTCが3,049万ドルと続いた。

Q. 香港の安定通貨条例の要点は?
A. 8月1日施行。100%準備・即時償還義務、非托管ウォレット監視、8,000HKD超の取引でCDDを要求。

Q. CoinbaseアプリのDEXは何が新しい?
A. Base上の数百万資産を自托管で直接取引、主要DEXを横断ルーティングし、既知の悪性トークンを遮断する。

Q. 義烏のステーブルコイン利用は本当に大規模?
A. 証拠は限定的で、現地商流のヒアリングでも普及度は高くない。内地の税務・外為要件も普及の壁となる。

■ ニュース解説

ETHとBTCの現物ETFに連続流入が観測されたため、価格は上向きだが短期の利確や指標イベントで変動が大きい。一方で香港の制度化が安定通貨の実需を後押しし、セキュリティ事案は継続的な警戒を促す。
投資家の視点:ETFフローの継続性、CPI・PPIなどマクロ指標前後のデルタ管理、香港発の合規ステーブル需要、そしてコード実行やSNS乗っ取り型のサプライチェーン攻撃対策に注力したい。分散保管とハードウェア署名、公式ソースの検証を徹底する。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:PA一线,imToken,白话区块链