ALT5シグマ、15億ドル増資でWLFI財務戦略

▽ 要約

オファリング:登録直接1億株+私募1億株を7.50ドルで実施
トレジャリー:WLFI総供給の約7.5%を取得・保有予定
使途:WLFI購入中心/最大1,000万ドルは債務・訴訟等
ガバナンス:Witkoff会長・Eric Trump取締役が就任

暗号資産と伝統金融の接合が加速する中、ALT5シグマは「ALT5シグマ 15億ドル増資 WLFI財務戦略」に踏み切り、登録直接と同時私募を併用して資金と$WLFIを調達したため、トレジャリー構築とガバナンス再編を同時に進める狙いが明確になった。

資金調達の全体像と条件

2億株を1株7.50ドルで売り出し登録直接と私募を併用したため、総額15億ドルで現金と$WLFIの双方を受け取り、8月12日頃にクロージング予定となった。
登録直接増資(Registered Direct)は普通株100百万株を7.50ドルで機関投資家に販売し、同時私募(PIPE)は100百万株を同条件で実施した。総額は各7.5億ドルで合計15億ドルに達する。価格はNASDAQ規則の「市場価格」に準拠し、ディスカウントを抑えた設計だ。
A.G.P./Alliance Global Partnersが単独プレースメント・エージェントを務め、両取引は慣例的条件の充足を前提に2025年8月12日頃の成立が見込まれている。

スキームの内訳:Registered DirectとPIPE

登録直接は現金調達で、私募は対価に$WLFIを用いたため、現金とトークンのミックスで希薄化コントロールと実行性を両立した。
私募の内訳は、普通株1,000,000株とプレファンド・ワラント99,000,000株分(行使価格0.001ドル、購入対価7.499ドル)で構成される。既存の発行可能株数制約を踏まえ、ワラントは株主承認(定款の発行枠増)後に行使可能となる。株主総会は2025年9月30日までの開催がコミットされ、否決時は90日ごとに再提案が義務付けられる。

資金使途とトレジャリー戦略

最大1,000万ドルを訴訟・債務・運転資金に充当し残余は$WLFIの取得に向けるため、ALT5は取得後にWLFI総供給の約7.5%をバランスシートに保有する。
登録直接で得た現金は主として$WLFI購入に充てられ、私募ではWLFIトークンそのものを対価として受け取る。これにより、現金支出とトークン保有を同時に進める設計となる。暗号資産トレジャリーの構築は、ビットコイン中心だった過去の事例から裾野を広げ、プロジェクト固有トークンを取り入れる新類型といえる。

規制・手続とコミットメント

S-3棚卸登録と424B5補遺で公募を実施し、私募は4(a)(2)/Rule 506(b)の枠組みを適用したため、RRAの15日以内登録義務と9/30までの増資枠承認が条件となった。
具体的には、登録直接分は2025年8月8日に有効化されたForm S-3の下で実施し、最終目論見書補遺をSEC提出。私募証券は即時転売不可だが、登録権利契約により私募クローズ後15日以内の再販登録を義務付ける。また経営陣・取締役には90日間のロックアップ(50%)が課される。加えて、別途最大10億ドルのATM枠も設定済みだ。

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WLFIとの関係とガバナンス変更

WLFIがリード投資家となり$WLFIを拠出したため、ALT5はトレジャリー構築と同時に取締役会を再編し戦略的提携を強化した。
取引成立後、WLFI共同創業者兼CEOのZach Witkoff氏がALT5会長に、Eric Trump氏が取締役に就任する。WLFI共同創業者兼COOのZak Folkman氏はボード・オブザーバー、投資家Matt Morgan氏はCIOに就任する。WLFIはUSD建てステーブルコイン「USD1」を展開しており、$WLFIは一般取引前段階と報じられる。創業者陣にトランプ一家とWitkoff兄弟らが名を連ね、話題性と動員力を備える。

WLFIの位置づけ(USD1/トークンの上場状況)

$WLFIは未だ一般流通前と伝えられるため、今後の流動化計画とマーケットメイキングが評価の鍵となる。
WLFIは「伝統金融とデジタル資産の橋渡し」を掲げ、トレジャリー・モデルによる需要創出を狙う。ALT5は大口保有者となるため、トークン価格・ボラティリティの財務影響が相対的に大きくなる点には留意が必要だ。

市場の反応とリスク

発表後にALTSは短期で乱高下した一方で、価格連動・規制・ガバナンス依存のリスクが顕在なため、トークン保有の評価変動が財務に与える影響は無視できない。
株式の大幅増発は希薄化懸念を伴うが、価格は市場価格準拠で極端なディスカウントは避けられた。WLFI側の経営参画により意思決定は迅速化し得る一方、関連当事者間の利益相反管理と開示の厳格運用が不可欠になる。登録義務と株主承認のタイムライン管理、ロックアップ解除後のフローにも注目が集まる。

▽ FAQ

Q. ALT5シグマの増資規模と価格は?
A. 総額15億ドルで200百万株相当、1株7.50ドル。登録直接100百万株と同時私募100百万株。

Q. WLFIトークンの保有比率は?
A. オファリング成立後に総供給の約7.5%を保有見込み。取得資金と私募対価の$WLFIで構成。

Q. 資金使途は何か?
A. 主に$WLFI購入。最大1,000万ドルを訴訟・既存債務・運転資金、残余は事業一般に充当とSECに記載。

Q. 規制・手続の要点は?
A. S-3と424B5で登録直接、私募は4(a)(2)/506(b)。RRAで15日以内に再販登録、9/30までに発行枠承認。

Q. 主な人事・ガバナンス変更は?
A. 成立後にZach Witkoff会長、Eric Trump取締役、Zak Folkmanオブザーバー、Matt Morgan CIOに就任。

■ ニュース解説

ALT5が登録直接と私募で15億ドルを確保しWLFIトレジャリーを構築するため、資金は$WLFI購入と一部の債務・訴訟に充当され、WLFIは出資と経営参画で影響力を強めた。
投資家の視点:希薄化・ロックアップ・承認リスクの進捗、RRAに基づく登録提出、$WLFIの流動化計画と保有評価の推移、ガバナンス体制の独立性と関連当事者取引の開示をモニターしたい。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:)