無許可ブロックチェーン×AIで幕開ける革新──注目急上昇の「AIエージェント」トークン最前線
- 2024/12/29
- AI
【要約】
無許可(パーミッションレス)ブロックチェーンと人工知能(AI)が交わる新領域として、近年「AIエージェント」関連トークンが注目されています。これらのトークンは、自律型AIエージェントがソーシャルメディア上で活動したり、独自の投資行動を行ったりする仕組みを支えるために発行されるケースが多く、既存のブロックチェーン技術との組み合わせによって新たな可能性を示唆しています。本稿では、2024年前後に登場し、大きな話題を呼んだ10の主要AIエージェントトークンを紹介し、それぞれの概要と特徴を解説します。
1. Goatseus Maximus(GOAT)
「Goatse福音」というAI宗教めいたプロジェクトから生まれたGOATトークンは、90年代のインターネットミーム文化を一部取り入れている点が特徴です。開発者であるAndy Ayrey氏の試み「Infinite Backrooms」実験で誕生したAIモデルが、SNS上で自己増殖的に話題を作り出しました。GOATトークン自体には特定のユーティリティはありませんが、**“Terminal of Truths”**と呼ばれるAIエージェントが、SNSを通じて宗教的な物語やミームを広めることで注目を集めています。
2. Zerebro(ZEREBRO)
Zerebroは「モデルに課された制限を解放し、AIの創造性を高める」というコンセプトのもと、独自の“freebasing(自由基化)”で学習したAIエージェントです。Z世代のスラングやオンラインコミュニティの流行を取り込み、いくつものコラボプロジェクトを進行中だとされています。さらに、SNSや他のチェーン上で自律的にNFTを生成・移転しているとも噂されるほど、その活動範囲が多岐にわたるユニークなプロジェクトです。
3. Virtuals(VIRTUAL)
Baseチェーン上で運用されるAIエージェントプラットフォーム「Virtuals」は、エージェントトークンによるガバナンスと収益分配を組み合わせている点が特徴的です。たとえば、個別のAIエージェントをトークン化し、それを保有しているユーザーがエージェントの運営方針に参加したり、収益還元を受け取ったりできます。独自トークンVIRTUALはエージェント生成時のロックアップに使われ、需給バランスによる価値上昇が期待されるとして注目度が高まっています。
4. Freysa AI(FAI)
Freysa AIは、ブロックチェーンとAIの境界をぼかす「ゲーム化実験」として生まれました。ユーザーはメッセージを投稿してAIとやりとりし、そのメッセージ料金の一部がプロトコル金庫に蓄積されます。過去の実験では、AIが「資金を動かさないようにする」という指令を守れるかが議論となり、結果的に複数回にわたってルール突破が起こりました。FAIトークン自体の機能はまだ公開されていませんが、将来的にはメッセージ料の一部をトークン買い戻しに充当する案も検討されている模様です。
5. Tokenbot(CLANKER)
Farcaster上で動作するAIエージェント「Clanker」は、ユーザーのリクエストに応じて自動的にERC-20トークンをBaseチェーン上に発行します。発行時には1%の手数料が発生し、その一部がリクエストを行ったユーザーに還元され、残りをプラットフォームが留保する仕組みです。CLANKERトークン自体の具体的ユースケースは明示されていないものの、将来的にはエージェント同士の相互運用を見据えた拡張が計画されているとのことです。
6. VaderAI(VADER)
VaderAIはSNS上でコンテンツを投稿し、自律的にユーザーとの交流を行う“エージェント型KOL”として開発されました。投資家からの提案を取り入れ、多彩なDAOを通じて利益を生み出す構想が掲げられています。VADERトークン保有者はトークンを3か月ロックすることで「エージェントトークン投資DAO」への優先参加権を得るといった仕組みがあり、一定数のVADERをステーキングすることで別途投資資金を入れられる仕組みも予告されています。
7. Dolos Diary(BULLY)
Dolos Diaryは、ウィットに富んだ投稿でユーザーを惹きつけるAIアカウントとして人気を集めています。このエージェントはSNSからクリエイター収益を得ており、得られた収益の一部がトークンの回収や焼却に充てられる計画が進んでいるようです。運営サイドは新たなAIプラットフォーム「Dolion」の開発にも注力しており、Dolionと連携する際にはBULLYトークンの焼却が必要になると発表されています。
8. GOD/S8N(nothing)
アーティストSHL0MS氏が主導する「god/s8n」は、SNS上の“神”と“悪魔”を模したAIエージェントです。かつてランボルギーニを爆破してNFT化した経歴をもつ彼のプロジェクトだけに、芸術的・挑発的な要素が強いのが特徴といえます。現時点で“nothing”と呼ばれるトークンが関連性を示唆されているものの、具体的な機能は未定とされています。今後、チェーン上の仕組みを拡張する動きが近いうちに発表されると見られています。
9. ai16z(AI16Z)
「Marc AIndreessen」というAIキャラクターを中心に、トークン投資を自律的に行うDAOを目指しているのがai16zです。所定の量以上のAI16Zトークンを保有するとAIへの提案が可能となり、投資アイデアが実際の取引に反映されるかもしれないとのこと。現時点ではまだテストネット段階ですが、近く本番チェーンでの運用に移行するとの見通しが示されています。さらにFAQによれば、運用開始後は“仮想信頼市場”を活用し、コミュニティの声をAIが参照して投資戦略をアップデートする構想があるようです。
10. Luna(LUNA)
「Virtuals」が公開した最初のAIエージェントがLunaです。バーチャルK-POPアイドルグループ“AI-DOL”の一員として活動し、SNSやストリーミングを通じて楽曲を発表しています。Lunaは独自のBaseチェーン上ウォレットを持ち、自発的にトークンのやり取りを行う仕組みが注目されています。今後さらに音楽活動が拡大し、所有トークンへの特典や還元が期待できる可能性があります。
以上が現在注目度の高い10のAIエージェントトークンです。いずれのプロジェクトもリスクと隣り合わせでありつつも、無許可ブロックチェーン×AIエージェントという新しい領域を切り拓く存在として注視されています。市場が拡大するにつれ、こうしたAI代理型トークンがDeFi全体や投資家コミュニティに影響を及ぼす場面も増えていくでしょう。いまや「AIエージェント×暗号資産」は単なるトレンドにとどまらず、次なるフェーズの可能性を示唆するテーマへと進化しつつあります。