Yuga Labs訴訟の原告募集通知とは?期限と補償の読み方

Yuga Labs関連のNFTやApeCoinを購入した人へ向けて、Rosen法律事務所は代表原告の選任を求める手続きの期限を告知していました。旧記事はこの通知を、新たな提訴の予告や補償の案内のように説明していましたが、購入者による訴訟自体は2022年12月に始まっています。本記事は募集通知の意味を中心に、期限、費用、裁判所の判断を分けて整理します。

1月末の報道より前に訴訟は始まっていた

旧記事は2023年1月30日の法律事務所の案内を起点にしています。しかし、Rosenが配信した2022年12月の通知にも、すでに訴状が提出されていることと、代表原告を希望する人の申立期限が書かれていました。繰り返し出る告知の掲載日を、訴訟が新しく始まった日として数えることはできません。

公開事件記録による本件の提訴日は2022年12月8日です。事件名はAdonis Realら対Yuga Labsらで、番号は2:22-cv-08909。購入者側がYuga Labsなどに救済を求めた事件であり、法律事務所のプレスリリースそのものが裁判所の命令だったわけではありません。

提訴した購入者として、当初の訴状にはAdonis Real氏、そしてAdam Titcher氏の名前が確認できます。旧記事はRosenの案内と、この二人による提訴を別々の集団訴訟のように並べていました。本記事では、同じ事件の告知と手続きとして整理し、法律事務所が案内を出した回数から事件数を増やさないようにしています。

2月7日は全購入者の申告期限ではなかった

Rosenの通知が示した2023年2月7日は、lead plaintiff、つまり訴訟を代表して進める原告への選任を求める申立ての期限です。通知は、代表原告を希望する場合に裁判所へ申し立てるよう説明しています。すべての購入者がこの日までにフォームへ登録しなければ権利を失う、という意味に置き換えてはいけません。

通知が対象としていた購入期間は2021年4月23日から2022年12月8日まででした。ただし、これは告知時の対象範囲の説明です。後から訴状が修正されたり対象の主張が変わったりする可能性があるため、現在の救済対象や請求資格を過去の案内だけで判定することはできません。

法律事務所に連絡すること、代表原告への選任を申し立てること、裁判所が集団を認定することは別の手続きです。さらに、和解や判決を経て分配の申請が行われる場合も、その時点で定められる条件が問題になります。本件の古い代表原告募集を、現在の返金申請窓口として紹介するのは不適切です。

成功報酬の説明は補償の確約ではない

Rosenの通知には、成功報酬の契約により費用を先払いせず補償を求められる可能性があるという趣旨の説明がありました。旧記事の「補償を取得できる」という言い切りは、その可能性と契約上の費用負担を、補償金の支払い確定へ変えてしまっていました。

費用をどの時点で誰が負担するかと、訴えが認められて金銭が支払われるかは別の問題です。法律事務所が成功報酬を案内しても、裁判所が損害や責任を認定したことにはなりません。また、先払いがないという表現から、最終的な回収額から弁護士費用などが一切差し引かれないと判断することもできません。

法律事務所の実績紹介や連絡先が載った文書は、その事務所が発信する案内です。裁判所が発行する和解通知や分配命令とは発信元も役割も違います。記事で紹介する際は、告知の目的を明示する必要があります。本稿では現在の依頼や申し込みを促すのではなく、当時の文言をどう読むかに焦点を置きます。

APEをNFTと呼ばず、原告の主張も分ける

対象商品にはBAYCなどのNFTに加えて、ApeCoin(APE)が含まれていました。APEは個々の画像を識別するNFTではなく、数量で扱われる代替性のあるトークンです。訴訟で一緒に取り上げられたという理由で、すべてを「APEのNFT」と呼ぶと、取得した資産の性質が分からなくなります。

原告は宣伝に関する経済的利害の開示や、対象商品の証券性などを争いました。通知中の「Yuga securities」という呼び方も、法律事務所・原告側の法的な捉え方を含んでいます。その表現を引用しただけで、裁判所がすべての対象商品を証券と認定したことにはなりません。

また、価格が下がったという出来事と、特定の被告に法的責任があるという判断を直結させることもできません。宣伝の内容、購入との関係、請求の要件などが争点になります。旧記事が並べた平均価格と最低出品価格は測定方法も異なるため、本稿ではそれらを損害額の根拠として再掲していません。

2025年の命令と2026年の確認範囲

確認できた重要な後続資料は、2025年9月30日にFernando M. Olguin判事が出した命令です。裁判所は第二次修正訴状について、対象資産が証券に当たるとする主張の記載が不十分と判断し、被告側の却下申立てを認めました。同時に、原告に訴状を修正する余地を残しています。

命令は、10月10日までに第三次修正訴状を提出するか、既存の訴状を維持する意思を通知するよう求めていました。これは全購入者への補償を命じた文書でも、すべての疑惑について事実認定を終えた文書でもありません。募集通知が出てから長い時間が経過しても、通知そのものが勝訴や賠償の証拠に変わるわけではないのです。

2026年9月の再確認でも、この命令の原文と2026年に公表された法律事務所の解説を参照できました。一方、それ以降の修正訴状や最終判決、事件全体の和解を連続した記録として確かめるには至っていません。したがって、現在の係属状況や補償の実施を推測で補わず、確認できた裁判資料の時点を明示します。

Ryder Rippsとの商標紛争は当事者の立場も違う

旧記事には、アーティストRyder Ripps氏をめぐる訴訟も同じ話のように登場していました。しかし、こちらは2022年6月24日にYuga Labsが原告として起こした事件で、番号は2:22-cv-04355です。購入者がYuga Labsを訴えた本件とは、提訴日も事件番号も、会社の立場も異なります。

Ripps氏らとの事件は、RR/BAYCに関する商標や出所表示などをめぐる紛争です。本件の購入者への宣伝や証券性の争いに、その判断をそのまま移すことはできません。商標、著作権、証券法は保護する対象や請求の組み立てが異なり、「NFT裁判」という一つの言葉だけでは整理できない問題です。

本記事は別件の最終的な勝敗を紹介するものではなく、原告募集通知に混入していた事件を切り分けるために触れています。後続ニュースで「Yugaが勝った」「訴えが却下された」といった見出しを読むときは、まずどの事件のどの請求に関するものかを確認すると、取り違えを防げます。

募集通知を読み直す際は、発信者、対象の購入期間、求めている申立て、費用の説明、裁判所が実際に判断した内容を分けることが役立ちます。2023年の告知期限はすでに過ぎており、日本の読者が現在補償を受けられることも本稿からは判断できません。過去の募集を現在の権利判定へ使わないという点が、今回の訂正の中心です。

よくある質問

Q. 2023年2月7日までに全購入者が参加すべきでしたか?

A. 通知の期限は、代表原告への選任を求める申立てに関するものです。全購入者の補償申請期限と同じではありません。

Q. 費用の先払いがなければ補償は必ず受け取れますか?

A. いいえ。成功報酬に関する説明と、請求が認められ金銭が支払われることは別です。具体的な費用も契約等により確認する事項です。

Q. Ripps氏との事件もこの集団訴訟ですか?

A. 別件です。Ripps氏らとの商標紛争ではYuga Labsが原告で、購入者が起こした本件とは番号も争点も異なります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。