y00tsとDeGodsの歩み|Solana発のNFTが繰り返したチェーン移転

y00ts(ユーツ)は、Solanaで人気を集めたNFTコレクション「DeGods」の運営チームが2022年に立ち上げた、1万5,000体のNFTコレクションです。旧版の記事はミント(発行)の直前に書かれたもので、「Solanaのファーストになれるか注目」と締めくくっていました。

ところが、y00tsとDeGodsはその後、Solanaを離れてPolygonやEthereumへ移り、2025年には中心人物が退任するなど、NFTの世界でも特に変化の多い道をたどりました。この記事では、旧版の誤った説明を直したうえで、2022年のミントから2025年までの経緯を時系列で整理し、チェーンを移るNFTを持つときに知っておきたい点をまとめます。特定のNFTの売買をすすめるものではありません。

「ブルーチップNFT」の本当の意味

旧版は、ブルーチップを「OpenSeaが独自の基準で認証したときに付く青いチェックマーク」と説明していました。これは誤りです。

ブルーチップという言葉は、もともと株式市場で、業績が安定した大型の優良銘柄を指す言い方です。NFTの世界でも、取引の歴史が長く、取引量が多く、広く知られたコレクションを指す通称として使われます。はっきりした認定の基準があるわけではなく、どのコレクションをブルーチップと呼ぶかは人によって異なります。

一方、OpenSeaの青いチェックマークは、コレクションが本物の運営者のものであることを示す認証のしるしです。偽物と区別するための表示であり、価値の高さや将来性を示すものではありません。この二つを混同しないことが大切です。

2022年9月のミント:延期のあと9月6日に開始

y00tsのミントは当初、2022年9月2日に予定されていました。しかし、運営チームが不具合を見つけたとして延期し、9月6日に始まりました。

ミントでは、まず「t00b(チューブ)」と呼ばれるNFTが配られ、これを焼却すると本体のy00tsのNFTと交換できる、という二段階の仕組みがとられました。Decryptなどの報道によると、y00tsは公開直後からSolanaのNFTの取引額で上位に入りました。

同じ時期、DeGodsとy00tsの運営会社であるDust Labsは、700万ドルの資金調達を発表しています。出資者には、FTX Ventures、Solana Ventures、Magic Eden、Metaplex、Foundation Capital、Jumpなどが名を連ねました。FTXはこの2か月後の2022年11月に経営破綻しています。

旧版にあった、y00tsが8月に商標を出願したという記述や、DeGodsの底値に関する数字は、一次情報で確認できませんでした。

Solanaを離れる決断:DeGodsはEthereum、y00tsはPolygonへ

2022年12月、DeGodsとy00tsはSolanaを離れると発表しました。DeGodsはEthereumへ、y00tsはPolygonへ移る計画です。FTXの破綻をきっかけにSolanaの市場が冷え込んでいた時期で、発表は大きな驚きをもって受け止められました。

2023年1月には、運営会社がPolygon側から300万ドルの助成金を受け取っていたことが報じられました。チェーンの運営側が、有力なNFTプロジェクトを呼び込むために資金を出すことは珍しくありませんが、移転の判断に資金が関わっていたことは議論を呼びました。

DeGodsは2023年4月にEthereumへの移行を終え、y00tsも2023年中にPolygonへ移りました。

当時、Solanaを代表するコレクションが相次いで去ったことは、Solanaのエコシステムにとって痛手と受け止められました。一方、移転先のチェーンにとっては、知名度の高いコレクションと熱心なコミュニティを呼び込めることが大きな利点でした。NFTのコレクションが、チェーン同士の利用者の取り合いの対象になっていたことがうかがえます。

Polygonからも離れてEthereumへ、そして2025年

2023年8月、y00tsはPolygonを離れてEthereumへ移ると発表しました。受け取った300万ドルの助成金は全額返すとしています。中心人物のFrank氏は、二つのコミュニティを一つにまとめるためだと説明しました。

その後もプロジェクトは形を変え続け、ビットコインのインスクリプション(ビットコイン上にデータを刻む仕組み)版の展開なども行われました。The Blockの2025年5月の報道では、DeGodsとy00tsの取引がSolanaとEthereumの両方で行われている様子が伝えられています。

2025年5月12日、Frank氏(本名Rohun Vora氏)は、DeGodsとy00tsの運営から退くと発表しました。3年間、眠れない夜を重ねて取り組んできたと振り返り、運営はチームに引き継がれました。発表の直後には、両コレクションの取引が一時的に大きく増えたと報じられています。2026年9月時点の運営の詳しい状況は、確認できませんでした。

時系列で見るy00tsとDeGods

時期 出来事
2022年9月6日 y00tsのミントが延期を経て始まる
2022年9月 Dust Labsが700万ドルの資金調達を発表
2022年12月 DeGodsはEthereum、y00tsはPolygonへの移転を発表
2023年1月 Polygonからの300万ドルの助成金が報じられる
2023年4月 DeGodsがEthereumへの移行を終える
2023年8月 y00tsがEthereumへの移転と助成金の返還を発表
2025年5月12日 Frank氏が運営からの退任を発表

チェーンを移るNFTを持つときの注意点

NFTはブロックチェーンに記録されるため、別のチェーンへ移るには、元のチェーンのNFTを預けたり焼却したりして、移転先で新しいNFTを受け取る手続きが必要です。この手続きには、次のようなリスクがあります。

  • ブリッジのリスク:チェーン間でNFTを移す仕組み(ブリッジ)に不具合や攻撃があると、NFTが失われるおそれがあります。
  • 取引の分散:移行した人としない人が分かれると、売買の相手が減り、売りたいときに売りにくくなります。
  • 偽の移行サイト:移行の時期には、公式を装って署名を求める偽サイトが出回りやすくなります。
  • 手数料:移行や受け取りに、チェーンごとの手数料がかかります。

手数料の考え方はガス代とはで解説しています。移行の案内を受け取ったら、公式サイトと公式のSNSの両方で同じ内容が告知されているかを確かめてから手続きしましょう。

創業者に頼るコレクションという側面

y00tsとDeGodsの歩みは、NFTコレクションの価値や方向性が、運営の中心人物の判断に大きく左右されることを示しています。チェーンの移転、トークンの設計、コミュニティの方針は、いずれも運営チームが決め、保有者はそれに従うか、NFTを売るかを選ぶ立場にありました。

NFTの世界で「ブルーチップ」と呼ばれるコレクションでも、会社の株式のように経営を監視する仕組みがあるわけではありません。保有を考えるときは、作品の人気だけでなく、運営チームの顔ぶれ、資金の出どころ、過去の方針転換の経緯にも目を向けることが大切です。NFTの基礎知識はNFTとは何かで、売却時の課税はNFTの税金の記事で整理しています。

よくある質問

Q. ブルーチップNFTとOpenSeaの青いチェックマークは同じですか?

A. 違います。ブルーチップは歴史が長く広く知られたコレクションを指す通称で、明確な基準はありません。OpenSeaの青いチェックマークは、運営者が本物であることを示す認証の表示です。

Q. y00tsは今どのチェーンで取引されていますか?

A. 2023年8月にEthereumへの移転が発表され、2025年5月の報道ではSolanaとEthereumの両方で取引されている様子が伝えられていました。最新の状況は、公式サイトと公式のSNSで確認してください。

Q. なぜSolanaを離れたのですか?

A. 運営は、コミュニティの拡大や二つのコレクションの統合を理由に挙げていました。Polygonから300万ドルの助成金を受け取っていたことも報じられ、y00tsはのちにEthereumへ移る際に全額を返すと発表しました。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。